長期滞在者
カラスが好きなので、カラスに関する著作の多い動物学者・松原始の本をよく読む。まずは年末読んでいた彼の本の中で見つけた「いい話」から紹介しよう。といってもカラスの話ではなく、ミツユビナマケモノの話なのである。ちなみに僕はナマケモノも大好きだ。神戸どうぶつ王国(旧花鳥園)という動物園があって、そこでは(ミツユビではないが)フタユビナマケモノを、かなり間近で見られる。勇気を出せば鼻先数センチにでも寄れる…
Do farmers in the dark
チャリスがやってくる。それはまるでずぶ濡れのハイソックスのように。(3) 前回までのあらすじ 両手に照り焼きのチキンレッグを持ちローラースケートを履いた純粋無垢な紳士クァンツ木村(カンツ木村)は駅のロータリーで剛之ヒストリアン天狗キヨポン(ゴウノヒストリアンてんぐきよぽん)を待っていた。背中には「ほら穴、カンツ」と書かれた旗を背負っていたのだが、その運命やいかに… —…
長期滞在者
日常の中で、フットボールが少なからず生活にいいリズムを与えてくれている。 赤いユニフォームに憧れて、中学生の頃からイギリスのリヴァプールというチームを応援してきた。 それから20年の月日が経ち、いまはプレミアリーグを配信しているSPOTV NOWに加入し、リヴァプールの大抵の試合はリアルタイムか録画で見てその後ハイライトでも見返している。 現在リヴァプールはプレミアリーグの中でも2位で、ここ最近は…
長期滞在者
最近怪我づいているのです。3か月くらい前に自転車同士の事故で手首を痛め、いまだに右手首に装具を着けて暮らしています。僕は普通に車道左側の自転車通行帯を走ってたのですが、脇から急に出てきた相手が何の躊躇もなく通行帯の中を逆走してきて正面衝突。二人とも地面に転がりました。あれは避けられんわー。こっちは右手首と肘を打撲。あと、買ったばかりのシャツが裂けた。ファッキン。でも向こうの方が怪我は重傷で、両膝か…
長期滞在者
まるでそこだけ世界から切り抜かれたような、そんな空間にいた。 ここ数年、仕事で多くの時間を過ごしているH村。 標高が高くこのシーズンでも氷点下に入り、雪が降っている。 先日、その村でイルミネーション点灯のイベントがあり、村の多くの人達が集まる会になった。 村といっても、簡単にひとつに括れるようなものではなく、その中には様々なグループがあり、もともと住んでいる人達の集まりや移住者達の集まりがあったり…
長期滞在者
最近、体重を減らすために夜歩きをしている。毎日5〜7kmを、かなり真剣に。住んでいる塚口から園田方面ルート、阪神尼崎へ向かうルート、伊丹方面ルートと色々試行錯誤するうち、最近は静かで信号が少なくて歩きやすい伊丹ルートに行くことが多い。このマンションで折り返せば5km,商店街入口で折り返せば7kmと距離の目星もつけてある。かかりつけの医師に次の検査(春)までに何々の数値を○○まで下げろ、と真顔で厳命…
Do farmers in the dark
前回までかっこいい名前の登場人物が何人も登場する物語を描いていてその途中だったのですが、すみません、本当に毎度の事で申し訳ないのですが、大盛りのご飯を食べて寝てしまう日々の連続で続きがうまく書けず、今回は展示の告知と日記を載せさせて頂きます。すみません、よろしくお願いします! 夏、願い叶う ああ、今まで生きてて良かった。こんなに素晴らしい出来事が私の、私たち家族の身に起こるとは。 朝起きたらさ、私…
長期滞在者
■最近の「写真」の拡張になかなかついていけない。何もファインアートの中での写真の立ち位置とか、境界の融解とか、そういう高次な話ではない。たとえば街中で小綺麗なお姉さんを呼び止めて「ストリートスナップいいですか」みたいなやつ。ストリートスナップというのは我々の年代では森山大道や中藤毅彦やブルース・ギルデンのような写真をそう呼ぶのだと信じていたが、小綺麗なお姉さんを望遠レンズで背景ぼかしてパシャ、素敵…
長期滞在者
人生で一番ハンコを押した一週間だった。色んな書類にハンコを押した。 最寄りの区役所で自分が印鑑登録をしていたかを確認したところ、未登録だったのでその場で登録し、印鑑登録証明書を受け取り、提出する。 行ったり来たりの生活をしていると、何かが欠けていく。 都心の店はあまり好きではないけれど、なぜか青山ブックセンターだけは落ち着く。 渋谷駅からブックセンターに向かって坂を登っいると、その途中に国連大学前…
長期滞在者
高校の頃、僕は文系だし数学なんて大の苦手だったが、数学部の何人かと仲が良く、部室には学校に秘密で煮炊きの設備があったりして、そんなこんなで部員でもないのによく数学部の部室にたむろしていた。ある日、その数学部の部室で、何人かでサッポロ一番か何かを食べながら、ふと誰かがつぶやいたのだ。 「もしかしたら、『正しいこと』っていうのは存在しないのでは」 何の会話の続きなのかも思い出せない。そこだけがクリアに…
Do farmers in the dark
前回までのあらすじ クァンツ木村(カンツキムラ)は50代の青ヒゲが目立つタイプの中年男性かつ純粋無垢な紳士で、バターが大好き。髪はくせ毛でねっとりしていた。ベターという単語が好きで、自身が所有するほら穴への招待券、ほら穴チケットを販売して毎日何不自由なく大好きなバターを3切れほど食べられる生活を送っている。 「う〜ん、バターがベタァ〜」 この日もライトニング数馬(ライトニングカズウマ)が仕事を手伝…