白いページの余白に

第4期(2012年8月-9月)

白いページの余白に
 
 
八月の夏の勢いを過ぎれば予感がある

どんな人の中にも冬への覚悟がある

 

北のもう少し北の内陸に海を知らない盆地
二本の川に挟まれその合流を抱く街
そういう土地は
寒さを逃がそうとしない
雪の影は青く
昇華した氷晶が煌めき
忽然太陽柱が現れては消え
除雪車に削り取られた雪の道は
朝の一瞬鈍く虹色に反射を起こす
オーホーツク沿岸が樺太から流氷を招き入れる二月の頃
これでもかと凍れ上がる

北緯44度21分21秒
東経142度27分48秒

身を切るような冬の頂点から春へと消えない佳節がある
彼岸は堂々と昼と夜を等分し
此岸と最も近づく
それを歓喜する太古の仕掛けのように
地吹雪は
三月にも気紛れを纏いながら
やがて巡ることを受け入れてゆく

 

あの時
南向きの轍の続くところで
風に息を詰まらせながら何を訊いた、音の
手を擦り合わせ
指先より冷たい耳を抱き
瞼も開けられぬその瞳で何を願った、幸せの

感謝に尽くせないような豊かな不毛の中
彼方温もりの消えないが明滅し
足元の途方は
影の中に眩暈の様に軋む
それでも

 

八月になった

あと数日で郷里に向かう

秋の豊饒を見守るために空は広く高く
木々はまだ愈々と揺れているだろう

  

変わってゆくことを白いページの余白に恐れず委ねよ

早いような長いような、遠いような

 

一歩 一歩を