ポエムポエムポエム!!!

第10期(2013年8月-9月)

ポエムタイトル

しあわせガール_タイトル

手が振り上がったまま、ブルブルする。
胸が高鳴って、笑顔でピースだ!
大声で叫びながら、今にも走り出したい!

わー
 わー
  わー

もう一回!

わー
 わー
  わー

息切れだって、気持ちがいい。
どんどん、行けるんだ。
どんどん、行ってしまおう。
バランスくずして、転んだって、平気。

友達とハイタッチ!
イエーイ!

お気に入りのスカート、ひらひらさせて、飛んじゃうよ。
雨が降ったって、まつ毛でみんな、跳ね返すんだ。
でも晴れがいい、晴れがよく似合うんだ。

もう一回ハイタッチしよう。
パチン!
イエーイ!

ほら、写真取ってよ。
この気持ち、体から溢れて、見えちゃってるよ。
カシャッ!カシャッ!

叫ぶんだ、もっと叫ぶんだ。
みんな、吹き飛ばしちゃう。

わー
 わー
  わー

しあわせガール_イラスト用

水をまく少年_タイトル

みんなが寝息をたてる午前1時。

時々、無性に腹が立つ。
時々、無性に叫びたくなる。
時々、無性にさみしくなる。

少年はそういう時、
二階にある自分の部屋の窓から水をまく。
バケツに水をためて、コップですくって水をまく。
コップから放り出された水は、半透明の闇になって、
地面にばらまかれる。

少年は、ほっとする。

どうして時々こうなってしまうのか、少年にはわからない。
なんでだろう。なんでだろう。
気持ちがこんがらがって、変になってしまう。
「どうして、ボクは…」
つぶやきかけた少年の声を、風が撫でるようにさらってく。

「私、好きな人がいるの」
少年は今日、はじめて失恋をした。
はじめての恋だったのに。
笑った時に小さくなってしまうあの子の目が、好きだった。
耳に生えた透明な産毛がさらさらしているのが、好きだった。
話しかけると喜んでくれたのに。
「こんなことになるなら友達のままで良かったな」

少年は水をまく。

ばしゃん。

ばしゃん。

地面でつぶれる水の音が今日はなんだか違って聞こえる。
ボクの世界ってつまんねぇや。
月がでっかい顔して笑ってるみたいで、
少年は思いっきりコップを振って、水をかけた。

ばしゃん。

水をかけられた月は、怒って夜を終わらせる。

少しずつ明るくなっていく午前5時。

コップを握ったまま眠る少年。
太陽がその寝顔に笑いかけると、
目にたまった水が、
ばしゃんと朝にばらまかれた。

水をまく少年_イラスト用

背骨ボーイ_タイトル

ピカッ! キューン!
ひらひらひらひらひら!
くらくらくらくら!

オレの体、背骨を中心にちりちり縮んでく。
心臓が中からやさしく、そっとなでられたみたいだ。
オレ、どんどん小さくなっていく。
背骨からどんどん縮んでく。

椅子に足がつかない。机遠くなる。
だれも気づかない。世界でっかくなる。
オレの手の平、どんな小さなものだって触れる。
オレの足、クローバーにだって乗れる。

オレ小さくなる!
草をよじ登り、てんとう虫の背中に乗って、水たまりでバタフライ。
だれもオレを見つけられない。
ポリ公だって、監視カメラだって、顕微鏡だって、関係ない。
オレの血管、血があったかくなって漂う。
オレの細胞、クスクス、ゲラゲラ笑い出す。
だれも知らないところへ行く。
だれも見つけられなかった秘密を知る。

オレの声、いくらでも叫べる。大声を上げる。まんぱんの声。
オレの耳、虫たちの楽しい歌声が聞こえる。
オレの鼻、花々のかわいい匂いを嗅ぎわける。
オレの目、空に浮かんだたくさんの結晶を見つける。

オレ、どんどん小さくなる!
ほこりに足を乗せて、ジャンプ!ジャンプ!空の階段を登る。
雲にだって、風にだって乗れる。どこから飛びおりたって無キズだ。
オレどんどん小さくなる!
オレどんどん生まれ変わる!

オレの背骨、恋をした!
オレの背骨、恋をしたんだ!

ちりちり縮む!オレの背骨ちりちり縮む!

小さい!小さい!大切なこの気持ち!

オレの背骨、恋をした!

背骨ボーイ

背骨ガール_タイトル

ズギャーン! ドカーン!
ギリギリギリギリギリ!
グリグリグリグリ!

ワタシの体、背骨を中心にずんずん伸びていく。
心臓が外から無理矢理、ぎゅっとつかまれたみたい。
ワタシ、どんどん大きくなっていく。
背骨からどんどん伸びていく。

家を突き破って、町内を壊滅させる。
雲を越えて、飛び抜けていく。
ワタシの手の平、もうお釈迦様みたいに大きい。
ワタシの足、もうどんなウルトラヒーローだって踏んづけちゃう。

ワタシ大きくなる!
ビルをなぎ倒し、山を踏み潰し、海に入ってクジラをつかまえる。
だれもワタシを止められない。
戦車だって、戦闘機だって、ミサイルだって、関係ない。
ワタシの血管、血が洪水みたいに流れてる。
ワタシの細胞、次から次へと生まれ変わる。
どんなところへでも行ける。
どんな遠くにだって行ける。

ワタシの声、突風になって、目の前のもの、全部吹き飛ばす。
ワタシの耳、海のむこうのウワサ話だって聞こえる。
ワタシの鼻、地中を焼くマグマの匂いだってわかる。
ワタシの目、宇宙のすべてを見渡す。

ワタシ、どんどん大きくなる!
月を投げ飛ばして、火星を粉々にする。
太陽を叩いて、2つに割る。
ワタシどんどん大きくなる!
ワタシどんどん生まれ変わる!

ワタシの背骨、恋をした!
ワタシの背骨、恋をしたんだ!

ずんずん伸びる!ワタシの背骨ずんずん伸びる!

大きい!大きい!大切なこの気持ち!

ワタシの背骨、恋をした!

背骨ガール