パソコンの前に座って 第7回

第22期(2015年8月-9月)

朝晩は少し寒くなり始めて、季節の変わり目を実感する今日この頃。
この当番ノートももう第7回。

本日は僕の絵本について。

今年の7月より、フランスの出版社『Lirabelle』より僕の初めての絵本「NE PLEURE PAS(英題 : Don’t cry 邦題 : 泣かないで)」が出版されました。

簡単にストーリーをご紹介させていただくと、なぜか自分で檻の中に閉じこもってしまった小鳥を、ネコが励まして、外へ連れ出してあげるという単純なストーリーです。
「repair」では言葉担当は相方の谷口さんですが、この絵本に関しては僕が考えました。

この連載をさせていただいて何度か書いてきましたが、「仕事」として成立するようにデジタルで絵を描くことを決めたと同時に、デジタルイラストレーションを芸術作品としても価値が出せないか模索していました。その一つが「repair」というユニットでの活動でしたが、もう一つが「絵本」を創るということ。

僕なりの考えですが、絵本とは児童向けに作られるれっきとした「商品」で、ここに「仕事」としての観念が生まれ、なおかつ絵やストーリーには作者本人の「芸術性」も問われる。「仕事」と「芸術」この二つが同居するものが絵本だと思い、絵本の創作を始めました。

ただ描き始めたはいいものの、この世界もとても奥が深く苦戦しました。絵本はやっぱり「商品」なので、一定ラインの分かりやすさも大事ですが、ストーリーや絵には芸術性も必要。わかりやすい文章で、絵に説得力を持たせないといけない。シンプルなストーリーの中にも伏線を張って、あらゆる角度から読んでも二重・三重の深みを持たせないといけない。そしてそれらを考慮した上で、一番重要な「誰かに何かを伝える」という使命も果たさなければいけない…

こんなことばかり考えていたら手は全然進まず、パソコンとにらめっこの日々が続きます。

色々考え、そぎ落としていった結果、「誰かのために描く」って考えたら悶々とした考えに一本の筋が入りスラスラーっと手が動き始めました。今回の絵本の場合ですと、「ある人を元気付けよう」とコンセプトを決めてストーリを考え始めました。そこからスタートさせると、まず、第三者からの立場でストーリーを説明するような言葉ではなくて、何か自分を偶像化したキヤラクターが問いかけていく感じにしよう。言葉もとてもシンプルで、例えば1ページに入る文章は「お腹すいた?」だけとか。そうすると読んでいる人の心にも直接響くんじゃないか!?って考えストーリーを仕上げると、絵の方も勝手にシンプルになり、この絵本が完成しました。

いつも何かを考えると頭でっかちになる僕ですが、結局のところ、ただ「誰かのため」に考えたものは形が何であれ、意味のあるものに仕上がるんだなーと改めて気付かされた気もします。

またシンプルな言葉は万国共通。今回の絵本はフランスでの出版なので全編フランス語ですが、シンプルな言葉は日本語も他言語に訳しやすく、誰かのための言葉は、単純な方が読んでくれる人が二重・三重に意味を汲み取ってくれるんだなーとも思いました。

絵本を創るということは、ページをめくるたびにワクワクする紙面構成を考え、そこに文章力、画力と総合的な力が身につくので良い経験になりました。

そこで今回はこの絵本の絵を。残念ながら日本では発売されていないので手に入れることは出来ませんが、なんとか日本でも出版できないか画策しています。というか誰か紹介してください!笑

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