走るようになって気づいたこと

第31期(2017年2月-3月)

速く走れるようになれば、楽に走れる。

2年半前に走り始めたころは、そんな風に思っていた。
個人競技は自分のがんばった分だけ結果がついてくる。ランニングはその正しい見本だ。個人差はあれども、トレーニングを積んで走れば走っただけ、速くなる。
他人と比べるとどうかは分からないが、僕も以前よりは速く走れるようになった。だからといって、何も楽になってはいない。

極地を1週間走るステージレースに出れば、毎日寝起きは体がバキバキに固まっている。毎朝、上体を起こしてテントから外に出るまでが、一番つらい。その点は出場回数を重ねても同じだ。スタートしてからしばらくは体が重い。走り始めはガマンのときである。
ひとしきり汗をかくと、体が温まって軽くなる。ここまで来ると後はゴールまでペースを保つだけ。それがいつまでたっても難しいのだが。

走り始めた2年半前に比べれば、現在の方がペースは上がっている。
初めて出場した大会にいま出場すれば、当時の4割減の力で走れるかもしれない。4割引といえば、なかなか悪くない割引率ですよ、奥さん。
とはいえ、ゆっくりすぎる。普段とは違う体の使い方をするので、変に疲れてしまう。精神的にも。自分のペースで物事が進められないというのは、じれったいものだ。惰性のようなペースで走るのも、楽ではない。

もちろん、ちゃんとしたペースで走ると、それはそれで疲労困憊になる。
走り終えた後には足の張りと筋肉痛がもれなくプレゼントされる。自分のペースでベストを尽くせば当然である。いつまで経っても楽に走れはしない。

自分が精一杯のところで、持てる力を出し切らないと筋肉痛にはならない。能力の高さは関係ない。惰性ではなく、ベストを尽くした証しともいえる。楽ではない、けれど完全燃焼し続ける日々を過ごせるのはとても楽しいことである。

だから、レースに出場しているときは毎朝キツいなあとぼやきながら、バキバキの体をほぐしてスタートを待っている。