No pain, no gain./写真について(2)

第39期(2018年6月-7月)

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多分、世界は美しいもので満ち満ちている。
それは心地よいものだけじゃなく、目を背けたくなるようなものも含めて。
それを絶えず見つけ続けること、そして人に伝わる形で残していくこと。
そのために自分と世界をむすぶフィルターをしっかりと保つこと。

18歳の時に自分とした約束だ。

写真の面白いところは、見返すたびに新しい気づきがあること。
撮った時の新鮮な感覚や記憶は徐々に失われていく。その分、撮った直後には見えていなかった視点が生まれる。
それにもかかわらず、その時自分がどんなことを考えていたのか、何を思って撮ったのか、写真を見るとはっきり思い出すことができる。もし自分が写真を撮っていなかったら、記憶はもっと順序がばらばらになり、感情が拾いきれず、かといって消化されることもなく、混沌とし混乱もしていたと思う。




今回は一つ引用をしてみようと思う。感受性を磨くためにはどうすればいいか?という19歳の女子大生の質問に、作家の村上春樹が答えたものだ。

“ひとつだけ言えるのは、気持ちよく生きて、美しいものだけを見ていても、感受性は身につかないということです。
世界は痛みで満ちていますし、矛盾で満ちています。にも関わらずきみはそこに、何か美しいもの、正しいものを見いだしたいと思う。そのためには、きみは痛みに満ちた現実の世界をくぐり抜けなくてはなりません。その痛みを我が身にひりひりと引き受けなくてはなりません。そこから感受性が生まれます。

少なくとも僕はそのように考えています。No pain, no gain.ということです。僕がきみくらいの歳のとき、何かを書こうと思っても、何も出てきませんでした。でも29歳になったときに、何かを書きたいと強く思いました。たぶんいろんな苦痛が、僕を成長させてくれたのだと思います。”  村上春樹 「村上さんのところ」(新潮社・2015年)

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デッサンを習っている時に興味深いことを教わった。影の部分に沢山の色が見えてくるようになったら、一つの上達した証拠という。
始めたての頃は特に、ここは明るい部分、ここは暗い部分…と頭で分けて考えてしまいがちだ。
「対象をしっかり見なさい。もっと沢山の色があるよ。」そう繰り返し先生に言われたことをよく覚えている。

光と影、その間にどれだけの色を見つけられるだろうか。
分けてしまうことはあまりにもたやすい。

【お知らせ】
ここまで読んでくださってありがとうございます。近いうちに写真集を(できればいくつか)出そうと思っています。一つは卒業制作で展示した作品をベースに構成した内容です。Instagramとポートフォリオサイトで改めて告知しますので、よかったら時々チェックしてみてください。

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moku
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