会場の灯り

長期滞在者

銀座でギャラリーも運営している会社の専務さんが照明器具のリニューアルでうちの会場を見に来られました。
うちで使っているのは大した器具でもなく、LED電球に変えてからは、毎年のように新しい球をテストして、より良いものに交換している程度で、そんなに参考になるようなものはあまりないと思いますが、日頃考えていることを率直にお話ししたりしました。小伝馬町移転にあたり照明器具は、会場全体を均一に照らす面光源は、大手の電気メーカーが作った美術館照明用の器具で、スポットライトは、それよりもだいぶ色温度が低く、やや赤っぽいライトを使っています。
写真をはじめとした作品の忠実な色再現には劣るのですが、それには理由があって、生活の中で作品と触れ合うことをテーマにしているギャラリーですので、どうしても美術館向けの色温度では暮らしの灯りにしては冷たすぎる。
多少再現性を犠牲にしても、室内でリラックスできるような光の下で、作品を味わっていただいた方が作品を自宅に持ち帰った時のイメージが掴みやすいのではないかと考えた結果のチョイスであります。
カメラや感材メーカーが主宰するスペースではそういう発想は許されないと思うのですが、僕たちは、解像度とか、発色性能などを見てもらうために、ギャラリーをやっているのではなく、作品と親しむ人たちを増やすためにやっているのだから、作品の品質と、落ち着いた空間の演出の両方を兼ねたギリギリの線がどこにあるかを考えながら、時々新しい電球が発売されるとテストしてみたりして、よりベストな方向を目指す努力は常にしています。

そういえば、写真と印刷の関係においても、近頃はオリジナルの忠実な再現から離れて、印刷物は別個に存在するものとして、オリジナルプリントとは違うゴールを目指している本作りなども見かけるようになりました。オリジナルプリントのカタログではなく、それ自体が作品のようなモノとしての魅力を目指すならば、そういう考え方もこれからふえてくるのではないでしょうか。