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風景のある図鑑 16

風景のある図鑑


「オイラー線」


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レオンハルト・オイラー(1707-1783)は、これまでで最も多く、広範囲に成果を残した数学者と言われてます。その興味は数論、解析学、幾何学、そして物理学や天文学にまで及んでいました。彼の全集を作る計画は未だに完了しておらず、その全体は70巻にも登るだろうといわれています。


オイラーが残した数多くの成果の中に、シンプルで美しい一本の線があります。


その線を観察するためには、まず、任意の三角形を用意します。

その三角形に外接する円を描き、その円の中心を「点O」とします。(外心)

次に、それぞれ辺の中心点と、その向かいの頂点にそれぞれ線を引き、交わる点を「点G」とします。(重心)

さいごに、それぞれの頂点から向かい合う辺にそれぞれ垂線を引き、交わる点を「点H」とします。(垂心)

この三点O,H,Gの座標を求めると、この三点をつなぐ一本の直線があらわれます。これが「オイラー線」です。
驚くべきことに、どのような三角形を用意したとしても、この三点は同一線上存在し「オイラー線」があらわれるのです。

ユーグリットの「原論」に収められていても不思議でないほどのシンプルなこの定理は、1765年にオイラーによって発見されるまで誰も知らなかったのです。






「モーリーの定理」


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もうひとつ、1899年まで秘められていた美しい定理をご紹介します。

フランク・モーリー(1860−1937)が発見したこの定理も、まず任意の三角形から始まります。

任意の三角形を一つ用意し、その三つの頂点を三等分する線をそれぞれ引きます。
そして各辺に近い線同士の交点3つを点P、Q、R とします。するとこの3点は正三角形を形作ります。
どのような三角形を用意したとしても、その中には必ずこの正三角形、「モーリーの三角形」が潜んでいるのです。



すべての三角形に潜んでいたこの「モーリーの三角形」は、1899年に発見されるまで誰にも知られていませんでした。
今この瞬間にも、驚くほどシンプルで美しい真実が、だれも知られていない場所で息を潜めているのかもしれません。

coca

coca

1988年、長野県生まれ。
coca、または古河郁という作家名で、絵や文章を書いています。
物理、数学、天文学、鉱物、錬金術を主なテーマとして作成しています。


書籍「風景のある図鑑」 https://minne.com/items/1739054

Reviewed by
中村 梨々

旅に出る前には、自分の持ち物を確認すると良い。もともと私たちは何を持っているかもわからず生まれてきたのだから、二度目の旅くらいは何を持っているのかを知って出かけるのもいい。役に立つ立たないは別として。

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