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2014年12月の相席(記/小鳩ケンタ)

イルボンと小鳩ケンタの空席商会

◇出てくるひと(順不同・敬称略)

イルボン(詩演家/gallery yolcha車掌):以下、イルボン
小鳩ケンタ(詩人):以下、鳩
エレコ(劇団ニッチ主宰/造形作家):以下、エレコ
小田文子(造形作家/ケのニ):以下、小田
坂本ミン(造形作家/ケのニ):以下、ミン
高橋かほり(舞台美術家):以下、高橋
土江田賀代(造形作家):以下、土江田
wassa(美術作家):以下、wassa
米田みちのぶ(音楽家/瓦町プレイボーイズ):以下、米田
じゅんいち(照明):以下、じゅん
五十嵐さん(中津アトリエ空白オーナー):以下、五十嵐

◇◆◇◆◇
【2014年12月の相席】

2014.12.13(土)14(日)
劇団ニッチ第0回公演「のべおくりの巨人」
中津アトリエ空白 内
楽日、公演直後の打ち上げにて

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イルボン:今回ね、エレコさんが(劇団ニッチのメンバーを)集めた訳ですよ。

鳩:いつ頃集めたんですか?

イルボン:1年前ですね。僕もその頃ヨルチャに来るお客さんが人形劇やってますって言ってて、興味あって話を聞いたり見に行ったりしてたんですけど。同じタイミングでエレコさんが人形劇をやりたいって話をしてたんで、同じやつを見に行ったんかなあと思ってたら、全然別件やったんやけど。面白いシンクロやなあと思ってたら、僕の知らないうちにヨルチャで展示とかしてた色んな作家さんとかに声掛けてて。あ、そういう言い方悪かったですね(笑)でも、そんな感じで集まった訳なんですけど(笑)

鳩:はいはい。

イルボン:最初、どうなるかと思いましたよね。

鳩:1年前に声が掛かった割には、直前にとても皆さん頑張ってる空気が(笑)

イルボン:集まったんは1年前ですけど。(制作は)ほぼこの3ヶ月です(笑)

鳩:ていうか、2週間ぐらいでしょ(笑)

全員:笑

イルボン:(笑)バレバレじゃないですか!

鳩:だって先週(イルボンに)会った時さ、(青ざめて)何にも喋んないからさ、そのまま帰ってきたもん。

イルボン:いっぱいいっぱいやもん。

鳩:てるちゃんとヨルチャ行ったやんか。後で「大丈夫かな?イルボン」って話したもん(笑)

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鳩:今回、0回公演という事でね「今日の公演、そしてこれからの事」を聞こうかなと思って。

イルボン:これからの事はエレコさんの頭の中にしか無い(笑)

エレコ:いやいや、そんな事はない。0回公演が出来たという事で、たぶん皆の中にも何か生まれてるんではないかと…。

鳩:ふふふ、ていうかこんな大人数でインタビューした事無いから、僕も急にお酒飲んじゃって今赤いんじゃないかと(笑)

全員:笑

高橋:赤い。

鳩:のびのびしていいのか、集中せなあかんのか分からんくなって(笑)

イルボン:のびのびして下さいよー。

鳩:どうしていこうかね?

高橋:じゃあ続き、自己紹介。(とwassaに手でパスを出す)

wassa:wassaです。

鳩:知ってます(笑)wassaさんは(公演の中で)普段絵描きなのに、絵描きという説明も何にも無く、演者さんとして、一人だけ普段の技を使わずに、人形を操る指先が震えてましたね(笑)

全員:笑

鳩:周りのフォローも無く(笑)みんなそれぞれの専門分野の事をのびのびやってるけど。wassaさん大丈夫かな(笑)と思って。

イルボン:バレバレじゃないっすか(笑)

鳩:それがかわいいのはもちろん皆分かってるからアレなんですけど。

イルボン:面白いなーって思ったのは、エレコさんがwassaに声掛けてるって聞いて、何か作るんだろうなーって思ってたら、演者さんでの役割で…。

鳩:ほぼ主役みたいな役割は最初から想定されてたんですか?

エレコ:うむー。。

イルボン:wassaさんが、ほぼ主演で劇を動かしていくんだって分かった時に、非常に僕は驚きを…。

エレコ:うん、(想定してたかは分からないけど)でも(メンバー集める時)1番に思いついた。

イルボン:(wassaへ)どうですー?本当にやる気あったんすか?(笑)

全員:笑

wassa:(うなずく)

全員:笑

エレコ:最高のメンバーが集まってくれました(笑)

鳩:その横にいるのがイルボンさんで、次、音楽家さん。

米田:はい、米田みちのぶと申します。(ときたま)音楽をやったりしてるサラリーマンなんですけど。

イルボン:ほぼ1ヵ月前に、たまたまヨルチャに寄られた時に(生演奏での劇伴を)お願いしました。

米田:今日よねみち(米田)さん来たの運命感じるな~、と言われまして(笑)

鳩:みんなにそんな事言ってね~(笑)

米田:詳しく聞いたら、脚本もまだ出来てないみたいな話で…。

イルボン:笑

米田:そんなんが成り立つのか?と思いつつ、もし(音楽)他におらんかったら考えるからと言って…。

全員:笑

米田:また決まったら伝えて下さいって言ってたら、チラシにはもう名前が入ってて…。

全員:笑

米田:ビックリしましたね。心細いから友達にも声かける為に詳しい情報調べたらもう自分だけの名前が印刷されていて…。それで腹をくくりました。

全員:笑

米田:それで2週間前になり、まだ脚本できてないという事で。

イルボン:笑

米田:なので制作途中のものを見ながら考えていったと。

イルボン:エレコさんが、全体のシーンの構成を決めてたんで。

鳩:あ、そうなんですか。脚本前に?

イルボン:そうそう。

鳩:でも、分かんないよね。セリフを出せっっちゅう話でね(笑)

米田:そうそう。

エレコ:笑

米田:エレコさんもシビレ切らしてみたいな感じだったですね。

鳩:だから顔青かったんですね(笑)

イルボン:タジタジやないすか。

鳩:ふふふ。

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鳩:次の方。ミンさんは月夜と少年さんの未来圏というウェブマガジンの記事で出てましたよね。

ミン:よくお世話になってます。

イルボン:ミンさんの隣の小田文子さんと「ケのニ」というクリエイティブユニットをされてます。

鳩:ケのニ、を詳しく教えて欲しいんですけど。

小田:ケのニっていうユニットで、色々作ってる。今回は人形を作りました、巨人の足とか、鳥とか、蟻(あり)男とか。

イルボン:エレコさんのほうから、彼女達には人形を作ってほしいという指示が。

鳩:舞台では、全部が溶け合ってるから、誰がどれを作ったっていうのが全然分からなかったです。

小田:うれしい!

イルボン:お、いい事言う。

鳩:(記事が)まとまりやすいでしょ?(笑)

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鳩:エレコさんは、プロデューサー的な立ち位置ですか? あ、でもガルシア=マルケス(※注1)をやりたいって言ったのはイルボンさんだって言ってましたよね。

エレコ:もともとイルボンが脚本書きたいって言ってたから…。

イルボン:また話がよろしく無い方向に行ってますよ(笑)

鳩:書きたいって言ってたのはオリジナルですか?(笑)

エレコ:そうそうそう。ケのニちゃんの展示がヨルチャでやってた時に、私が見に行ってて、そこでケのニちゃんに声掛けたんですけど。で、イルボンさんにも声掛けて。 でも、ガルシア=マルケスを選んでくれて今回よかったですよね。

イルボン:でも、僕はその原作本を持ってなくて、たまたまエレコさんは持ってて…。

エレコ:そうそう。

イルボン:あ、いい始まり方じゃん!と思って。

鳩:ガルシア=マルケスのこのお話、いい話でしたよね。僕今、お客さんとしてとても感動した直後でもあるので、インタビューがやりにくい(笑) 美しかったですね~ 劇…。

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イルボン:エレコさんは、人形劇をやりたいと思っていた訳では??

エレコ:無い。

イルボン:何か、ちっこいセットで?

エレコ:という訳でも無い。もうちょっと、、何なんすかね?

全員:笑

エレコ:でも今回一個の完成形は出来たかな。空間を十分に生かしつつ、ケのニちゃんの作品が動いたら面白いという最初(のビジョン)も出来た。でもそれを(創っていく時に完成形のイメージを)示されへんかったから、、、まあ。

イルボン:まあ、大変でした(笑)

全員:笑

鳩:劇の内容の半分ぐらいの比重が、wassaさんの輝きに掛かってるっていうか(笑)

全員:笑

イルボン:(wassaへ)断ろうって気は無かったの?

じゅん:大変やって分からんかったんやね。

wassa:全然分からんかったです。面白そうっていうだけで。

鳩:一人だけ、生々しーく、キャラが(笑)とても良かったです。普段からwassaさん、生きてる状態が皆から愛されてますけど。それが作品の中で昇華されるという…。アイドル化ですよね(笑)

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鳩:贅沢でしたよね、畳み掛けるような演出で…。偶然なんですか?40分になったのは。

イルボン:偶然です。

全員:笑

イルボン:とりあえず30分は越えたいなっていう。

鳩:なるほど、サイズも気持ちよく見れました。絶対満足して皆さん帰られたと思いますよ。

エレコ:今回はこの場所を貸してくれた五十嵐さん(中津アトリエ空白オーナー)が居てくれたから感謝してます。

五十嵐:脚本が出来るまでは(劇の最初で)くるくる(ロウソクの火でプロペラが)回るセットの調整をずーっとやってた。

全員:笑

米田:かれこれ半年くらい最初のくるくるをやってたらしい。

鳩:技術面のハードルがあれは高かったんや(笑)

高橋:なのに(エレコさん舞台終えたら)すぐ壊してました…バラシが早い!(笑)

鳩:エレコさん、回すのが難しかったんですか?

エレコ:ロウソクの火で回すのを作ろうと思って。回り燈篭の作り方みたいなのをネットで調べるところから入って、でもなかなか全然うまくいかなくて。バランスとか、火力とか…。

イルボン:でまあ、カージー先生(※注2)がね。

エレコ:そうそうそう。

イルボン:カージー先生も同じような仕組みの(作品)があるんですよ、それがまあー良く回るんですよ。

鳩:ふんふん。

イルボン:ご助力を仰ごうと思ったんですけど、連絡取れなくて(笑)

鳩:なるほど、で、それの開発に半年間。

イルボン:というか(この一年)ほぼ、それですよ(笑)

エレコ:大笑

米田:でも、2週間前の段階でちゃんと回ってなかったですよ。

全員:大笑

エレコ:そうそう!

鳩:でもそのシーン、あっという間に終わりますよね。

エレコ:大笑

鳩:つかみに半年かけて…(笑)

イルボン:2週間前、やっと回り始めて。「何か見えそう」って言ってたのは劇の最初の3分間ですからね。後の37
分をそれからやってた訳ですから…。まさかその劇が形になるとは僕自身も思ってなかったし…。

エレコ:笑

五十嵐:僕も箱貸してたけど、来るたび来るたびオープニングの所しかやらへんから、大丈夫かな?って(笑)

エレコ:(笑)だって他にやる事無いんやもん(笑)

鳩:「こりゃどうも、出来てないな」って気づかれる訳ですよね?

五十嵐:週2回くらい来はって、作りもんしたり打ち合わせしたりするんやけど、大丈夫かな?って。

小田:全員不安でしたよ、全員等しく不安でした。

鳩:何故そんなに脚本が遅れたんですか?

エレコ:笑

イルボン:それがですね。

全員:(笑)言いたかった、それが。

鳩:僕だったら聞いていいよね(笑)劇団のかた聞けないでしょ?

イルボン:あのね、僕一人のひとり芝居だったらどうにでも書けるといえば書けるんですよ、でも今回僕が何か書いちゃうと、例えばここで「子供が出てきました」って言ったら(小道具で)子供を作らなきゃいけない訳じゃないですか。

鳩:うん。

イルボン:自分が一言一言書く事でまわりが影響受けちゃうからというのと、時間が無いというのと。

鳩:でもさ、結局子供は出てきたり、男は出てきたりする訳じゃん。

全員:笑

イルボン:それは…(笑)

鳩:て言うかさ、原作とはだいぶ遠いんですか?

イルボン:遠からず、です。

鳩:「蟻男」とかは出てくるんですか?

イルボン:「蟻男」と「鳥女」とかはエレコさんの演出です。

鳩:あ、そうなんや。

エレコ:原作では村人の男達とか女達とか、一人じゃないんで。

イルボン:エレコさんの方で、そういう作りたい物のイメージが有りそうだったのでー。それならエレコさんにある程度シーン分けのプロットをもらおうと(笑)それが、苦々しく思われていたかもと…(笑)

エレコ:笑

鳩:ま、人と何かを作るというのは色んな局面がありますしね(笑)

イルボン:それをようやく形にして頂いたので、僕も1週間くらいでバーっと出来ました。

鳩:セリフじゃないですもんね、もともと原作は。

イルボン:そうそう、僕も脚本っていっても、まだ舞台ならまだしも、人形劇の脚本ってどう書いたらいいのかと…。ものすごい分からなくて…。

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イルボン:例えば原作で「女が泣きました」ってあったら、女が泣きましたって(僕が)言ってwassaが演じるんじゃ無くて、「女はこう言いましたって」言ってwassaが人形を動かせるようにと、考えたり。全体が、長さのスパン的にうまく転換するように、セリフの長さを調整したりしました。

じゅん:いい脚本でしたよ。

鳩:ね。よく出来てましたよね。この人怖いなと思いました。

イルボン:(笑)まあ、上げといて下さい。座談最後やし(笑)

(中略)

イルボン:僕、この中のメンバーで(ニッチを始めて)初めて出逢ったのが高橋かほりさんで、少し彼女の事を聞きたいなと思います。

高橋:えーっと、そうか。私は普段ものは作ってるんですけど、ギャラリーとかで展示するものは作らない訳です。それが舞台美術で。公演が終わったら道具自体は捨てちゃうし、かなり陽が当たらない周辺に居るんですけど。なのであんまりギャラリーに出入りする訳でもないです。

鳩:普段はダンスの?

高橋:フリーで。フリーランスで舞台美術をしてる舞台美術家に付いてます。助手ですね。人形劇は始めてです。

イルボン:普段、ギャラリーとかで展示されてる方とはギャップがあるじゃないですか。

高橋:そうですね。

イルボン:その間を埋めてく作業をエレコさんどうするんかなと。

鳩:皆さん、劇団に所属されてた方達?wassaさんだけ無い?

イルボン:(ニッチの中で)劇団というか、維新派にいたのはこの3人(エレコ、イルボン、土江田)だけです。なので3人だけですね。あ、よねみちさん帰りまーす。奥さんおかんむりなので(笑)

米田:何か聞きたいこと無いですか?

イルボン:今度お誘いする時は(家庭の)皿洗いとか僕がするんで(笑)

米田:あんまりそういう事書かれると問題になるんですけど。

全員:笑

イルボン:家の事をね、色々ほったらかしにして参加していただいたので。

米田:家庭不和を乗り越えて今回頑張りました!

エレコ:大笑

鳩:あるよね、そういう事ね。

高橋:何か40分も音楽連続でやったのは初めてって言ってましたよね。

米田:そう、初めて。

高橋:みんな初めての事してるー!って思いました。

米田:一回アニメーションの音を付けさせて頂いた事があって、上映しながら生で演奏するっていうのを18分くらい。

全員:ほー。

米田:40分、歌とかじゃなくて(1人で)演奏するのは初めてでした。

エレコ:うーん、凄い。ありがとうございました(笑)

米田:またお声が掛かかればうれしいなと思ってます。

イルボン:舞台の音楽ってなかなか頼めないですよ、普段音楽やってる人には…。直前でまだ誰にするか決まってなかったですもんね。僕の中では二つ選択肢があって、即興で作ってくれる人か、舞台に合わせて作曲してくれる人か…。

鳩:(米田さんは)どちらだったんですか?

車掌:後者ですね。作曲。僕は彼が柴田誠監督のドキュメンタリーに音楽を付けてはるの知ってて。

鳩:あ、あの西宮冷蔵。

イルボン:そうそうそう。彼はウクレレメインですけどマルチっていう事知ってたんで、割と頼みやすかったです。でもまさかここまでやって頂けるとは。素晴らしい。

高橋:子供の(登場シーンの)演出がどんどん変わっていったじゃないですか、もっともっと、ってハードルが上がっていったじゃないですか。右手の子供と左手の子供の性格を変えてみようとか。練習を重ねるたびに深まっていったんですけど、それに合わせてどんどん鉄琴も変わって頂いて(笑)

エレコ:笑

鳩:割と第2の主役のポジションでしたよね。

米田:びっくりしました。目立つ場所で。

エレコ:笑

鳩:そんで衣装も割と人形に近いというか。

全員:笑

イルボン:よねみちさーん、良かったじゃないですか(笑)

鳩:全体とのなじみ方が(笑)

米田:ある意味、出ずっぱりでした(笑)ありがとうございます。ではー。

イルボン:奥様によろしく。

米田:おつかれさまでしたー。

全員:おつかれさまでしたー。

米田:(出口のドアにカバンがぶつかる大きな音)

全員:大笑

(中略)

鳩:次、第1回公演になるんですよね。逆にハードル上げてますよね(笑)

エレコ:あっ!そうか!

イルボン:その考えは無かったー(笑)

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鳩:今日さ、終わった直後どんなテンションか分からんから緊張して来てさ、「お前、誰だ、触んなっ!」って感じだったらどうしようかと(笑)

イルボン:笑 (劇の)緊張はしなかったな…。

エレコ:wassaさんくらいかな。

鳩:wassaさん、指震えてたのはセットに服が当たって壊しそうやったからですか?

wassa:(首を振る)

鳩:全体として、だめダーっていう緊張ですか(笑)

wassa:はい、全体として(笑)

エレコ:笑

鳩:分かんないからさ(物語の緊張感を出すために)わざと震えてるのかなって(笑)

wassa:全力で。

鳩:まあ、全力でっていうのも分かんないんだけど(笑)何か、人形を動かしてんのがモッチャリしてんのがとても良かった。

エレコ:モッチャリ(笑)

鳩:でも人形劇見たっていう感じも無かったですね。たとえば浄瑠璃みたいじゃ無かったですね。燕尾服の人(イルボンの朗読)いるしさ、人形みたいな人(米田の子供用の鉄琴などの演奏)いるしさ。何のジャンルなんでしょうね、何なんでしょう?

イルボン:そもそも人形劇じゃないですよね。

エレコ:便宜的に、人形劇と。

イルボン:作り方分かんないんで、出来たものでバーン!と。

五十嵐:新たなジャンルを、切り開いたんじゃないですか?

エレコ:そうなんです!

全員:笑

鳩:でもそんな感じがマジでしましたけどね。

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イルボン:いやあ、何とかなるもんですね。

エレコ:いや!安心しては…(いけない)

イルボン:安心はまっったくしてないですけど。未だに。

(中略)

高橋:ニッチのメンバーで仕事で舞台をしてるのは私ぐらいだと思うんですけど、普段は本があって図面があって、仮道具作ってって順番があるんですけど、今回は一切そういうの関係ないところでやってるんで、みなさん。演劇の流れと全然違い…。

鳩:今回、物を作れる人多いですよね。小道具というか。

エレコ:みんな作れる。

鳩:出てくるもの(小道具など)が多いですよね、今回お話はゆっくり進んでいくのに凄いものがバンバン出てくる。

全員:笑

高橋:フルコースですよね。ランチ食べに来たと思ったら、どんどん出てくるみたいな。

鳩:おかずが凄い多かった。

高橋:なので、私の知ってる段取りとかを持ち込まない方がいいなと思って…。どんなものが出てくるのかなーと思って見ていました、実は…。

イルボン:みんながみんな、待ちの状況やったね、周りをうかがって(笑)

エレコ:お互い「お邪魔しまーす」みたいな(笑)

鳩:バンドより人数多いですもんね、よく出来ましたねえ(笑)

エレコ:えへへ。

鳩:皆さんお忙しい訳でしょう?

イルボン:みんな仕事をしながら。

鳩:この中にアートユニットの方が居るというのが面白いですね。

ミン:一応今回は個人としての参加という事にしてます。

鳩:あ、なるほどね、そこは分けているんですね。

ミン:はい。

鳩:ケのニ歴はどのくらいなんですか?

小田:えっとね、2007年くらいから?…。覚えてないです。

イルボン:そんな古かったんや。

ミン:ケのニの特徴としては、素材から入るんですよ。

イルボン:なので、ヨルチャで「MONOBOKE」っていう展示をやってもらった時は、こっちから「ねじ」とか「うちわ」とかお題を出して作ってもらうっていう方法を取ったりして。なので、今回も普通のかっちりした綺麗な人形は出来ないだろうなと思っていました。

鳩:そやけど今回の出てくる人形の異様な説得力の強さ(笑)

全員:笑

エレコ:間違いない。

小田:でも難しかったですね、二人でやるときは全く制約を設けないというのが決まりなので、テーマがあったり動かす必要があったりするのが難しかったです。迷いながら、色んな事がよく分からないまま進んでて(笑)

イルボン:大笑

鳩:(座談を通して)どうなってたかが全部バレてきました(笑)

小田:ミンはどうか分かんないけど、私がけっこう悩んでしまって。私は(仕事で)アニメを作ってて、その作り方の前提で考えたら進め方がよく分かんなくなって来て(笑)

高橋:それは私も分かりませんでした(笑)

イルボン:ふふふ。

小田:で、エレコさんにちょくちょく相談してて。そしたら、丁寧に質問ごとに返してくれて。その中で「ケのニの人形を見て、劇をしたいと思った」って事を改めて言ってもらえて、今まで通りの作り方でいいんだって思えたんですよ。

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鳩:wassaさんのキャラが濃いからさ、人形が3人いる感じでした(笑)

エレコ:(wassaの)存在感の消し方がすごい(笑)

鳩:消してるようで、消せてない(笑)

(中略)

イルボン:エレコさんのメンタルが強いなあと思って。僕やったら毎日ゲー吐いてる(笑)

エレコ:いやいや。

小田:大丈夫です、大丈夫ですって声かけてもらえたから出来たみたいな。

ミン:暗示ですね(笑)

鳩:だって、4回公演やからね。ひょっとしてひょっとすると大怪我を負うかもしれない。

エレコ:そうそう(笑)

鳩:4回こすれるかもしれない(笑)

全員:笑

高橋:でもどこかで加速しましたよね、物が揃って来て「こういう事なのかな?」っていうのが、それぞれ持ち寄った物を見て感じて…。そこからが大急ぎでしたけど(笑)

(中略)

鳩:この中で(客観的に)劇を見れたのは照明のじゅんいちさんだけ?

エレコ:ミンちゃんも。

鳩:面白かったですよね。

ミン:どうだったのかな…。

鳩:分かんないすか?

ミン:はい。ハラハラと見ていました。

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イルボン:とにかくこの話(原作「この世でいちばん美しい水死人」)を、何かしら舞台化したかったんですよ。まさか人形劇にするとは思わなかったですけど。

エレコ:でも、いい形やね。(普通の劇やったら)難しそうやもん、原作。

鳩:人形劇に合ってる、というか日本むかし話みたいな側面もありますよね。

エレコ:ああ、そうなんですよ。民話っぽいというか。

イルボン:めっちゃ調べたんですよ。もう舞台化されてるのかなって。僕が調べた限りでは見つからなかったですけど。

鳩:あの形には誰もしないでしょうけどね。

イルボン:同じ短編集の別の作品はいっぱい舞台化されてるみたいなんですけど。

高橋:あの話は村人メインの展開にしてしまうと急につまらなくなる…。人の出るセリフ劇になっちゃうと…。

エレコ:感情移入する先が、ね…。

鳩:wassaさん途中で何か落としましたよね?(劇の見せ場でwassaが椅子の上にすっくと立ち上がり、手を上に伸ばし、神々しい光の中、海に巨人を投げ入れるシーンを演じた。その際、手に持った15センチくらいの巨人の体を地面に落とした)

エレコ:海老フライ?(笑)

鳩:カーン!!!って音しましたよね。

全員:笑

鳩:お!重力どおりに(激しい音立てて)落ちたーと思って。音も海だったら鳴らさなきゃいいのにさ(笑)

エレコ:はじめはちゃんとお水張って(海を表すために)やってたんですけど…(笑)

高橋:水浸しになりますもんね。

鳩:カーン!!!ていうのがすっごい良かった。ちょっと神々しいというか…。

全員:笑

エレコ:みんなあそこ注目するしさ(笑)

高橋:実は… 本番までの練習でカーン!!ってなったこと無かったんですよ。言っていいんですか?こんな事…。

鳩:ほうほう。

高橋:枕に、ドン!と鳴ってたんですけど。

鳩:ふんふん。

高橋:本番からの全4公演、全部カーン!! で(笑)

鳩:え?? ほんとは枕の上に?

エレコ:そう、枕(笑)あるんだよね、枕。

高橋:あります。

イルボン:だって、こんなんなってんだもん。(と、ぎこちなく伸び、巨人を高く持ち上げ落とすwassaの姿勢を真似する)

全員:笑

五十嵐:震えてるからね。

wassa:うまいこと、落ちないです(笑み)

全員:笑

小田:違う回の(本番の)時、(カーンと)落ちてから、コロコロコロって(笑)前まで。

全員:大笑

鳩:でもあれが、良かったですね(笑)

(中略)

イルボン:今(録音)何分ぐらいですか?

鳩:57分。

全員:おー。

鳩:ちゃんと聞けてんじゃないの?

イルボン:多分、1年やってますけど、一番ちゃんと聞けてますね。

鳩:こんなに人数多いのに!

イルボン:では最後にエレコさんに今後の事を…。

エレコ:いやー、今回声掛けさせて頂いた時点から、絶対面白くなるっていう確信があって…。

鳩:そやけど、改めてよく声掛けましたね!

イルボン:それが凄い!

鳩:そのパワーが!

五十嵐:まずここに声掛けたん?(と、ケのニの小田、ミンを指す)

エレコ:小田ちゃんに言ったよね。

五十嵐:どういう順番で声掛けていったん?

エレコ:覚えてない。でも、ケのに、イルボン、wassaちゃんかな。で、かほりん(高橋)かな。土江ちゃん(土江田)はいつも一緒にいるから。

土江田:人形劇やりたいねんって(言われて)

エレコ:かほりん(高橋)は…言ってたよね。

高橋:何か、すっごい前ですね。3年くらい前とかに…(笑)その時は何にもまだ、人形劇でもなくて。

エレコ:言ってたよね。

高橋:でも、一緒にやりたいとかも言ってなくて… こんなんで、こんなんでと(エレコさんが)言ってて。超楽しく話をしてて。

イルボン:でも(昨年声掛けて頂いてから)ひと月に1回会ってましたけど、何も展開しなくて。ずーっと雑談なんですよ(笑)

エレコ:お互いに面識があまりなくて、様子を探る感じで(ヨルチャに)お邪魔します、みたいな感じで…。

鳩:何か(劇団ニッチは)瞬発力が凄いありそうですね! あ、あと即興の要素もあって、現場で思いついて何とか出来そうですよね、 前日に通し稽古やれば何とかなるぜ! みたいな。

エレコ:まさにその状況今回。

五十嵐:初めて通したのが、

エレコ:前日ー(笑)ハッハッハッハッハー

イルボン:これ(記事に)載せるの?

全員:大笑

鳩:これ(あくまで)0回公演やから、次からはそりゃもう、練りに練って1ヶ月くらい前にはお客さん1回入れてさー、プレ公演するくらいのペースなんでしょうけどー(笑)

全員:笑

写真

鳩:ずっとガルシア=マルケスをやるんですか?

イルボン:いや、ほんとはね、オリジナルをやりたいんですけど…。

鳩:今回ガルシア=マルケスって(情報が)出て来た時に、「うへー」っと思って。(と悪い顔をする)

全員:笑

イルボン:(ニヤニヤしながら)第0回やしー。イルボン原作て書いてあったら「誰だよ」ってなっちゃう。

鳩:いやいや、誰だよ、にはならないでしょう。「あ」と思うよ(笑)「あ、原作やった」って(笑)

鳩:では、1回目からイルボンさんの原作という事に、、なるらしいですね。なるほどなるほど。

鳩:これで結構書けるよね。

イルボン:じゅうぶん、じゅうぶん。あとは目の前にあるものを食べるだけ。

鳩:これで録音終わろうか?いいね!

イルボン:いい、いい。

鳩:63分です。ありがとうございました。いやぁ皆さま、お疲れさまでしたー!

エレコ:ありがとうございましたー!

※注1 ガルシア=マルケス: コロンビアの作家・小説家。架空の都市マコンドを舞台にした作品を中心に魔術的リアリズムの旗手として数々の作家に多大な影響を与える。1982年にノーベル文学賞受賞。(ウィキペディアより)

※注2 カージー先生(カージー):関西在住の造形作家。

[web link]

エレコ(木鳥works) https://www.facebook.com/3kotori
イルボン http://maigo-hoso.perma.jp
小田文子 http://buncoro.tumblr.com/ http://www.moogabooga.net/
坂本ミン http://www.minsakamoto.com/
wassa http://www.niccori.com

(文責:小鳩ケンタ)

小鳩 ケンタ

小鳩 ケンタ

詩人/コバトレーベル主宰

イルボン

イルボン

詩人/詩演家。またはgallery yolchaの車掌。
ジンジャーエールと短編映画と文化的探検が好物。

2006年、第一詩集「迷子放送」を上梓。
2007年、自らの詩の語りとパフォーマンスに半即興的に音を乗せる、活劇詩楽団「セボンゐレボン」を結成。
2010年、大阪で多目的ギャラリー「gallery yolcha」を運行開始。

※gallery yolchaは、大阪・梅田近くの豊崎長屋(登録有形文化財)に位置する特殊な木造建築です。この屋根裏部屋とバーカウンターがあるギャラリースペースを使って、共に真剣に遊んでくれる作家を常時募集しております。詳細は上記リンク先をご覧下さい。

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