管理人室の往復書簡
かおりさん 今日は、車で20分くらいの港で「つるし雛」という催し物をやっていてね、それを見に行った。 各家庭の軒先に、小さな人形や鳥とか、玉とか、いろんな手で縫った小物を糸でつるして飾るの。でそれを愛でるという。 きゅうりとか茄子みたいのもあった。ちりめんの布で縫われた小さな人形たちがちんまりとつるされていて、色がいっぱいで目にまぶしかった。 昨日書いてくれた日記。 あれを読んでね、向き合うという…
当番ノート 第1期
先日、学生時代からの友人が奥沢の喫茶店でライブをする というので久しぶりに一人でいってきました。 ライブというには小さすぎる、ギターとピアノの弾き語り。 急な出演で告知も充分でなかったらしく、お客さんは十数名程度でした。 お客さんは彼をよく知る方ばかりで、 終始あたたかなムードでライブは終わりを迎えました。 いろんな音楽プロデューサーと呼ばれる人たちから声をかけてもらって デビューする、しないとい…
当番ノート 第1期
また二日酔いだ・・・。 というより今、いったい何日酔いなのだろう・・・。 安酒を来る日も来る日も浴びるように飲んで、時に暴れ、叫び、泣き、記憶を失くして頭痛と共に道で目覚める。 鉛のように重たい体を引きずりながらアルバイトに向かう道すがら、また思う 「俺は馬鹿か・・・」と。 去年4月、6年間苦楽を共にしてきたバンドが解散した。 理由は簡単、全員が全員と一緒に居る事にうんざりしたから。 積み上げてき…
当番ノート 第1期
「六角堂ってここからどうやって行くんですか?」 柳馬場六角の交差点で修学旅行中らしい学生三人に呼び止められた。 京都市内で暮らしていると道を聞かれることが多い。聞かれることが多いよねぇ、と話すと「そうかぁ?」と知人。道を聞かれたことなど一度もないと言う。道を聞かれやすい人というのがいるらしい。僕はそうなのだろう。 「このまま真っ直ぐ行けば右手に見えてくるよ」言い終わるより先に指さす方へ三人は駆けて…
管理人室の往復書簡
かおりさんへ 今日のいわきは晴れていた。寒かったけれど、気持ちのいい空です。 懐かしい、ってそのなかにいろんな想いがぎゅっと詰まっているよね。 楽しかったり、切なかったり、悲しかったり、暖かくなったり。 あんまり思い出したくない事とかもふくめて、 「いろいろな場所に、少しの思い出があって、そこにすぐに行くことができなくても、たしかに自分はそこにいた。そのほんの少しのことを思い出して、懐かしいと思う…
管理人室の往復書簡
かおりさんへ 東京駅のすぐ近くのカフェではじめて会ってハグをして、アパートの話をしてから、今日。 月日が流れるのは早いね。 アパートメントが始まるにあたり、カフェで話した原点のようなものを忘れずにいたいと思っている。 ひとが、そこにいること。 息づかいを感じられること。 いろんなひとが、ここを訪ねてくれたら嬉しいね。 東京で好きな風景があって。 新宿の友だちのアパートのベランダからは、すぐとなりの…
当番ノート 第1期
小中学生の時代の大の親友は、高校入学するとすぐににナントカという新興宗教に入信してしまった。 信仰の自由は自由として否定するでもなく、勧誘されるでもなく、まあ、そのままなんとなく疎遠になった。 他の仲良しだった友達は、地方都市に転勤したり、結婚して遠くへ行ったりで地元には今でもやりとりする ような仲間は残念ながら見当たらない。 高校はちょっと離れた私立を選び、夕日の綺麗な港町の学校まで毎日片道二時…