当番ノート 第11期
これはプシュケーでした。 分野を映し出す。そう激しく覚える。行方どこでどんな変換された懐疑。非常事態の模倣に取り組む人々がいた。五十路からのパルに耳鳴りも、そして、これからの無関係、今あらゆる感情の渦、一人でも多くの人にこの事実、情報を送る。 何とも言えない光景の裏、事情、効果。何とかこのセクタを”鏡”のような心で、私達に帰する暗唱。悲しく、あまりにも辛い。無力を誰もが調査、重視を立とうとした。そ…
長期滞在者
ゆうやけビルジングに映る私のまわりには 柔らかい泡ぶくが生まれては溶けていく 足元から大地の熱気を包んで皮膚をなぞり 指のまたを這い上がって 頬をつたいのぼって 頭をかき回してしがみつく らせんはきらい そう囁いて鼓膜をびるびる震わさして ひとしきり三半規管を縦横無尽に跳ね回って暴れると 小さいうめき声をあげて舞い上がる そうすると瞬く間に泡ぶくは飛行魚に喰われて溶けてしまうのだ それは誰かが誰か…
当番ノート 第11期
「雨過天青雲破処」 当時、僕にはこの単語が漢字の羅列として目に入ってきました。それでも、日本人の僕には表意文字である漢字を読みとろうとする欲があるので「雨の過ぎ去った空の雲の切れ間」にある ー「何か」ー に思いを馳せる感じなどと、ちょっとばかり格好の良い意味としての訳を捻り出したのを覚えています。実際はというと「雨の過ぎ去った雲の間から見える空の色」という意味で、「うかてんせいくもやぶれるところ」…
当番ノート 第11期
寄せては返す波のように 音は何度も繰り返す 水際に反射する光のような人々と共に ———————————– 美大に入ったのは学歴やら学びたいことの為ではなく、 環境やそこにいる人々と関わる為だった。 まだその頃は漠然とモノをつくることをしたいとしか思っていな…
当番ノート 第11期
とらえどころのないものや、どうしてもはっきりと言葉にできないものに、すごく惹かれます。たとえば「世間様」。たしかにあるんだけれど、だれもその実態をつかめないという不確かさ。音楽をやっていた時も、他者とのあいだに自分が作る表現があるのだと思っていたし、今も宿をしていて来てくださるお客さんとのあいだにこそ、「芸」があるのだと思っています。 間の大切さ、間の不確かさ。 ホトリニテで繰り広げられる、さまざ…
当番ノート 第11期
2012年 4月27日 当たって砕ける きのう、夜になっても胸のぼこぼこがおさまらなくて、時間外だったけれど病院へ行った。 行くまえに、どうしても彼に返事をしておきたかったけれど、 長文は打てそうになかったので、伝えたいことだけ書いて送った。 今朝、いつもと変わらぬ返事が来た。見事なスルーぶり。 短くさっぱり書いたつもりだったけれど、それでもびっくりさせてしまったみたいです。 当たって砕けるよりも…
当番ノート 第11期
面接官が入ってくるとざわついた空気がピンと張りつめた 500を超える受験者たちの目が一斉に面接官の姿を追う 面接官は受験者たちの前に立つと深々と一礼し 開口一番に言い放った 「男性はお帰りください」 会場がどよめいた 「前もって言っておけ」 「書類審査で分かることだろ」 そんなつぶやきがあちこちから聞こえた 無理もない 応募資格には「粘り強く仕事のできる方」としか明記されていなかったのだから だが…
虫の譜
例えば見ている映画に「マフィアのボス」が登場したとき、それが見るからに荒くれた悪そうな奴であるよりも、知的で品のいい小柄な紳士である方が、得体の知れない凄みを感じる。同じように小説の中の残虐な犯罪者は、それが愛想のいい隣近所のご主人であったり勤め先の楚々とした美女である方が、よりいっそうの不気味さを煽る。 ウマオイにはそういう「ギャップの凄みや不気味さ」がある。草食のものが圧倒的に多いバッタ型の昆…
当番ノート 第11期
コーヒーに睡眠薬とかして飲んだみたいなさ やったことないけど、そんな感じなんだよ カーテンの中みたいな 君といるとずっとそんな感じがするんだよ 君はなんだか知らないけど、 いっつもポッケに小銭入れててさ、 それみっともない感じがするからやめなよ と、私が言っても 子どもっぽいよ と言っても聞き入れてはくれない そうだ、私の言うことを聞いてくれたこ…
当番ノート 第11期
ある午前の雨が降りそうで降らない。 暗鬱な赤裸。眼球の裏側。 これはコマ落ちではない。運動場。数羽の鴉。無から有へ個体が成長する精神分裂のパロディ。小さなウィンドウはバランスを守り続けようとウエイトを積む。そして、どんな微細な動きも吸収する。 思えそうで思いつかない矢印。環状線が揺らぐ。ミクロコスモス。空に眼が浮かんで、偶発的に複数のイメージを濡らした。真剣にぐれている昔人達はページを飛ばされ、積…
当番ノート 第11期
必要なものがないことがどれだけ不便(ふびん)か、それを感じられる人は、何もないことによる不便(ふべん)がどれだけ幸せなことかにも気付くことが出来る。 数多ある布団の中で、おそらく心地の一番良い自分の布団の中で目覚めたとき、最初に聞く音はなんだろう? 日本の場合、夏であれば、おおよそクマゼミの大合唱で1日が始まるだろうし、冬ならばセットしたタイマーの指示通りに起動する石油ファンヒーターのスタート音、…
当番ノート 第11期
昔から周囲とのズレを感じて生きてきた。 違和感といってもいいかもしれない。 小学校で教えられた「赤信号を渡ってはいけない」「公共の場所では大きな声でおしゃべりをしてはいけない」というルールをやぶることが出来ない。 誰しも自分の中だけに適応されるルールがあると思うのだけれど僕の場合は嘘をつかない、というのが非常に大きい。 自分にとって都合が悪いことでも訊かれたら答えてしまうか押し黙るしかない。 もっ…