当番ノート 第14期
“偽一番星注意報” 1989年4月1日 最高気温16℃ 最低気温5℃ 快晴 午后2時、動物園内にある食堂にて遅めの昼食をとる。今日は新鮮なサラダとボロネーゼ。本来ならメインデッシュはボロネーゼの方だが、私にとっては新鮮な野菜をふんだんに使ったサラダが食べられることの方が嬉しかった。南極で最も寒さが厳しい地域にある私の観測所では、生鮮野菜を食べることができなかった。年間の気温がプラスになることもな…
当番ノート 第14期
私は海外育ちなので、日本語の文章を書くのが苦手だ。苦手というか、自分ではわからないけれど文章を書くと必ず誰かに「英語を直訳した様な感じだね」と指摘されるので、書くのが恥ずかしい。先週の投稿も早速妹にそう言われた。 文章以外にも、周りから言われて初めて気づいた事がたくさんある。よく言われるのが、 1.相づちの「うん、うん」が集中してくると「aha, aha」になる 2.話しているときに寿司を握ってい…
当番ノート 第14期
「 黒豹と少女 」 ほんの少し意地悪な少女は 黒豹を騙して、奴隷にしてしまった。 見えない鎖が二人を繋いでいる。
当番ノート 第14期
その日もたぶん同じ朝ご飯を食べていた。 まだ、ビールをおいしく飲めていたころだったのでトーストと冷たいカフェオレ。 ジャムはイチジクだったような気がする。 僕は販売の仕事をしている。一応「長」がついていて、部下だって少ないけれど2人いる。 毎日それなりに忙しく、販売という仕事特有の苦悩も少なくなかった。 繰り返される日々に加えて、仕事を無理矢理こなした時に感じる違和感。 例えていうなら動かせるか、…
長期滞在者
写真展会場にいくと、時々会場内にファイルが置かれていることがある。グループ展などに行くと、出品メンバーそれぞれが立派なポートフォリオブックなどが、それぞれの壁の前にちょこんと置かれていることもある。 ファイルの中身は人によって考え方はあると思いますが、結構な確立で展示しなかった写真をファイルにまとめましたのでどうぞご覧下さい、という方がいます。展示しなかった作品というのは、すなわちボツということで…
当番ノート 第14期
わたしの左手と握手しましょう 平吹正名 伝染りたくないものほど伝染ってしまうものだ。 ずしりと重いわたし、 羊羮のようにまとまるわたし、 のたっと天井まで持ち上がりあの日の木目を探す。 「がんばれ」左手のわたしのシャーペンの軌跡。 攻めてばかりの毎日だから今日は右手を撫でてあげる。 昨日のあなたは発疹と喧嘩しただけ。 わたしもワンサイズ余裕のあるシャツを着るようになったから大…
当番ノート 第14期
ケーキを描いた絵画の中で 初めて「これは面白い!」と感じた作品は 高校の美術教科書に載っていたWayne Thiebaudの”Cakes”でした。 http://voices.washingtonpost.com/blog-post/2010/09/wayne_theibaud_google_cakes_an.html (The Washington Postより) 196…
長期滞在者
毎朝7時半から近所のプールで泳ぐのを日課にしているのだが、最近、疲れがたまってきたのか、泳ぐ事にすら集中できなくなっていて困っていたのだが、泳ぎながらふと思って「南無妙法蓮華経」をアタマの中でエンドレスループさせてみたら、結構テンポがキマってきて延々泳いでいられた。ちなみにぼくは日蓮宗の檀家でも創価学会員でもなんでもないのだが、般若心経の「ぎゃーてーぎゃーてーはーらーぎゃーてーはらそーぎゃーてーぼ…
当番ノート 第14期
写真が好きだ。 私が世界と繋がる橋を架けてくれたからだ。 私は写真に私は穴をあけ、光を透すことで作品を制作している。 光の空白は、空白だが無ではない。 空白は観る人それぞれの心に繋がっていってほしい。 思い、過去、託したかったこと、葬りたいこと、願望、悲哀、歓び。。 その空白の中にいくつもの物語を込めてほしい。 私がこのように考えだしたのはきっかけがある。 私が小学校の時に亡くなった祖父の存在。 …
当番ノート 第14期
#01 巻層雲を食む これは奇妙なアパートメントの住人にして、偏屈な哲学者でもある、私の唯一の友人の話である。 彼はフランスに住んでいる。私は南極に住んでいる。 私は南極大陸の沿岸部にある観測基地、昭和基地よりも1300kmも南に位置する、とある観測所の研究員である。私はそこで、ずっと単独で観測と研究を続けている。ご近所さんはアメリカの観測基地、プラトー基地だが私が南極へ移り住んだ時にはもう…
風景のある図鑑
「 宇宙の熱的死 」 : heat-death 世界滅亡のシナリオは、数多くのものが存在しています。 太陽が寿命を迎えれば、もちろん地球上の生態系は滅亡します。 膨張している世界が反転して収縮し、最終的にビックバンと同じ点になってしまうことも考えられています。 その中でもっとも緩慢な世界滅亡は、宇宙の熱的死(ヒートデス)でしょう。 熱力学の第二法則によると、世界は常に秩序から無秩序へ向かいます。 …
当番ノート 第14期
最初だからセルフポートレートを描くことにした。折角なので友人のイラストレーターから教えてもらったドローイングエクササイズをやりながら描くことにした。 「描いている最中は一切紙を見ず、顔(鏡)だけを見て絵を描く」 彼が主催者の1人であるドローイングワークショップではペアになってお互いの顔を描きあうのだけれど、今回は一人鏡相手にやってみた。自分の顔なんて毎日見ているし、メイクする際にも触るから、顔のパ…