長期滞在者
松本大洋の漫画『花男』(傑作ですよねぇ!)の中に、茂雄が鏡を目の下に構えて360度青空状態で歩いて感動するシーンがある。 クールな茂雄が感動しているのである。真似してみたくなるではないか。 やってみたのである。 お・お・お 凄い。確かに感動する。 眼下に青空、天にも青空。360度真っ青である。 太陽が足の下にあるんだぜ! 花男「空、飛んでる気分なの」。 しかし感動した直後、恐怖が来る。 ふわっと重…
長期滞在者
写真から声が聞こえる。 彼女はもうこの世界にいないと。 今、自分だと認識している私は、 本当はもう死んでしまっているのではないだろうか。 ワタシハモウイナイ 私が死んでも、明日も普通に時間は流れる。 それが当たり前だ。 明日には死んでしまっているかもしれない、この世界の点である私へ。 12月の今、今年を振り返った時。 苦しさの記憶量が多くて、愕然とした。 特に、6月以降の私というのは、ほとんどの日…
当番ノート 第30期
皆様こんにちは。HALです。いかがお過ごしでしょうか。私が住んでいるポズナンでは町中がクリスマスを待ちわびているぞ!といった雰囲気に包まれております。各家庭でのクリスマスの準備に向けた気合の入り方も尋常ではない感じです。そんな状況を背中に感じながら、本日の投稿では、私が芸術作品を作りたい、アーティストになりたいと思った動機について少しお話しさせていただきたいと思います。 子供の頃、それは小学校に入…
当番ノート 第30期
こんにちは。 Tomomiです。 2回のコラムを経て、案外反響があることに結構びっくりしつつ、 そういえば仕事でライティングはちょろちょろしていたけど自分のことって書いてなかったな〜と。 で、書いて見たり感想を聞いて、いろんなことをまた教えてもらう日々。 日々日々感謝ですな。 島が好きだとか、移住したかったとか、なんやらかんやらやっていたら、レビューを書いてくれたたからさがしの宮ヶ原さんと東京で会…
長期滞在者
ギャラリーの白い壁とは、無を意味すると、ある美術館の学芸員の方から聞きました。何もない純粋な白い平面であることが、それは、作品ではなくただの壁なのだ、ということになる。そこにうっすらでも、線のようなものが出ていたら、美術の場合は、何かの作品ではないか、という見方をされる可能性があるのだそうです。 四谷のギャラリーの壁は、前の借主の小林紀晴さんの時代から数えれば、15年ほど使い続けて、無数の釘が打た…
当番ノート 第30期
戻りたい時間って、きっとどの人もあるんだろう。 私がよく思い出すのは、幼稚園生の時、帰宅後の昼下がり。 木洩れ日の漏れるマンションの一室で「げんきなマドレーヌ」を読み聞かせてもらっている時間。 なによりも大好きな絵本のそば、白いビニールの壁紙を戯れる午後の陽が好きだった。 もう少し傾くと夕方に違いなく、でもその手前の昼下がりの緩やかなひかり。 ひかりの傍、籐の電話台に落ちる影をお母さんのことよりも…
当番ノート 第30期
今日はダッフルコートの話から。 これは24年前、僕が19歳の時に7万円ぐらいで買ったものです。 一時期下火になっていたのですが、ここ数年復活の兆しを見せてきたので、僕も最近また着るようになりました。 このダッフルを買った頃、90年代は今と異なり、 今でいう「ビッグシルエット」の服が流行っていたんです。このダッフルもMサイズで購入したものの今となってはダボダボで、着て歩くにはどこか気恥ずかしいものが…
Mais ou Menos
今回わたしたちは、12/03に明治大学駿河台アカデミーコモンズで行われた「声の氾濫」という公演(講演)を、聴きに行きました。そこで考えたことをお便りにしました。 まちゃんへ 「声の氾濫」を聞きに行って、自分は、今まで自分から目を背けて逃げ続けて来たんじゃないか?と思った。 別に逃げているつもりはないんやけど、どこかで考えないようにしたり、他のことで気をそらしたりしているとこはあると思った。 今回の…
当番ノート 第30期
こんにちは、珈琲子です。2回目ですね。このアパートメントの中で、次にどの本を紹介しようかと考えはじめるとわっくわっくです。私の文章は「書評」というより「本の説明」もしくは「紹介」に近いので(全然本を評していないので)、気軽に読んで、興味が湧いた本を手にとってもらえたらと思います。 第2回 インターネット的 糸井重里 インターネットは人と人、人の考えや思いをつなげるだけですから、これによって社会が豊…
the power sink
表題:回転する人 こんばんは!今回も絵を載せます。ではよろしくお願いします! とてもリラックスできそうにないベッドだけど、すご〜く気持ちいいんだ 光を浴びる人 汚いような汚くないようなものが穴から出てきた 僕は平常心を装っていたけど、心拍数はどんどん上がってしまい、ほっぺたの辺りから変なものが出てしまったんだ 変な…
当番ノート 第30期
Photo by Ryo Onodera 映像制作をしている友人に久しぶりに会い、あるミュージックビデオに衣装を一着作ることになったのが、ちょうど去年の年末だった。 彼の知り合いのミュージシャンの曲で、彼が映像の脚本を書き、監督を務める作品だという。 私はその頃会社に勤めていて、仕事に日々追われていた。 衣装の製作とか興味があるし、いつかはやってみたいな。 じゃあ作ってよ。 いいよ。 そんな軽い感…
風景のある図鑑
「接吻数 : kissing number」 接吻数とは一つの次元に一つしか存在しない数です。 二次元の接吻数を求める場合、まず一つの円を平面上に置きます。その周りを同じ大きさの円で囲んでいきます。 周りの円は、常に中心の円に接するように、つまり「接吻」するようにし、さらに円同士が重なり合わないように並べます。その時、中心の円を囲むことができる最大の円の数は「6」です。この「6」が二次元における接…