当番ノート 第50期
3週目の投稿ということで、簡単に自分自身とヨルダンの紹介をしたいと思います。 青年海外協力隊として2019年7月からヨルダンに派遣されています。海外で年を越すことは初めての経験でしたが、ヨルダンは日本に比べると年末年始のムードが薄く、特筆するイベントは無いまま2020年を迎えました。 ショッピングモールに行くと少しだけクリスマス気分を味わえます。 青年海外協力隊とは国際協力機構(JICA)の事業の…
長期滞在者
仕事の帰路、自転車で武庫川沿いの自転車道を走っていて、暗中、河川敷をジョギングする人を追い抜いた。風の強い夜だった。びょおびょおと風の音の巻く中、追い抜いたはずのランナーの足音がざん、ざん、ざんと横から離れない。僕は20km/hくらいの速度で走行しているから、すごいなぁ、この向かい風でマラソンの国際レースくらいのペースで走ってるんだなぁ、と感心したが、いつまで経っても音が消えないので、さすがにちょ…
当番ノート 第50期
高校の時、物理の授業で、「この世に一度生まれたものは絶対になくならない。形を変えて、残り続ける」と習った。 はたして、それは本当なのだろうか。 だとしたら、今年もまた変わらず咲いた八重桜を、父も楽しめているといい。 — 四十九日の朝、空は珍しく快晴で、緑色になった桜の木がさわさわと揺れていた。 納骨が終わり、ぐったり疲れて帰宅する。 骨さえいなくなってしまった居間は、なんだかとても広い。広くて、寂…
当番ノート 第50期
「あ、この歌なつかしい」 不意に流れた『葛飾ラプソディー』を聴いて、なんちゃんとひとみちゃんがその続きを口ずさんでいる。 普段はお客さんに勧めていただいた『ハンバートハンバート』が流れるゆるやかな店内。平日に何かの拍子で久しぶりに聴いていたこの歌が、土曜日に何かの間違いで紛れ込んでいた。 「いい歌だよね」 店内にいた他の同世代もうなずいている。子どもの頃の夕食時に、テレビで流れていた国民的アニメの…
長期滞在者
通勤電車は少し人が減りました。 ギュウギュウ詰めではないけれど、都心に近づくとそこそこ混んでいます。つり革を掴む人がほとんどいないのと、車内で話し込む人がほとんどいない。ひたすらスマホの小さな画面と向き合いながら、いつも以上に他人との関わりを持たないようにすることで、目に見えない火の粉が自分に降りかかることを避けているように見える。 マスクとアルコール除菌剤は、相変わらず品薄だ。毎日ドラッグストア…
当番ノート 第50期
回転していなかったかざぐるま。よく動く普段とはまた違った姿をみれた。風力発電には風車が地面に対して垂直にまわる水平軸風車と風車地面に対して並行横に回転する垂直軸風車の2種類がある。今回出会ったのは主力の水平軸風車。より細かくなると、揚力型のプロペラ式で日本では多数の風力発電のフォームがこれである。この横浜に1台ある風車は横浜市風力発電事業の一環で別名ハマウィングというらしい。いつか真下から眺めてみ…
鍵を開けて 詩人が「しょぼい喫茶店」に立った日々のこと
「ポエムイズマネー」の日には、白紙をたくさん持っていく。それからカラーペン、マスキングテープ、そして、前の晩につくったたっぷりのマドレーヌ。看板にはこう書く。 「詩を書くとあなたの詩でマドレーヌを買えるよ!」 ここは、「マドレーヌがもらえる」でも、「マドレーヌと交換できる」でもなく、かたくなに「買える」だ。だって、今日はポエムイズマネーだから。今晩だけは、詩を書くことがお金のかわりになる夜なんだか…
当番ノート 第50期
春夏秋冬というが、冬から春に明確に変わったなと思える日が好きだ。そう、一つネジが動いたなという感じで嬉しい。2020年春。あまり春が好きと感じたことはないのだが(どちらかといえば新緑の美しい5月の方が記憶に残っている)私の誕生日は4月。人生のネジもこの月に動く(正直このネジは動いて欲しくないなと思える年齢に達してしまった)。地球の時点のスピードは少しずつ遅くなっているみたいだが、宇宙レベルの変化に…
Mais ou Menos
まちゃんへ 今日は病院の日やね。まちゃんがコロナにかからへんかいつも心配しています。 その分自分も持って帰らんようにしんとと、気をつけてる。 少し前にまちゃんの目眩がひどくなって少し寝たきりみたいな状態になったときは、本当に心配した。 今少し落ち着いているみたいやから安心してるけど、春やからホルモンバランスが乱れやすいんやろうか? 自分のほうは、薬効いてて、前より随分動けるようになってると思う。ク…
当番ノート 第50期
踊り疲れて眠ってしまう。踊りきったね.という自分への労いなどする暇もなく、ただ気がつけば。 曲は一時停止。別の世界線に放り込まれる。 寝たくて寝たくて仕方がないというわけではなくて、気づけば寝入っていた。窓から燦々と日が差している。まだカーテンのない我が家、家の奥のほうに入ると暗くなっているスペースが現れる。そこに布団を移動させる。その日は、アパートから歩いて5秒の所にあるパン屋さんでパンを買って…
当番ノート 第50期
アブドゥッラーさんという友人がいる。30代前半のヨルダン人、男性。難民支援を行うNGOの職員で、ヨルダン国内でシリア難民の支援を行っている。 2011年のはじまり、「アラブの春」が中東全域に広がり、シリア国内でも反政府デモが始まった。同年5月にはシリアからヨルダンへの避難民が報告された。11月にアラブ連盟がシリアの加盟資格停止を決定すると、ヨルダン政府はシリアからの避難民を「難民」として認定するよ…
スケッチブック
色々なことが取りやめや延期になってようやく、日常を広げて考えられる感覚がある。地球の裏の友達と、数年ぶりのやりとりが再開している。「そっちは大丈夫?」「そっちの様子はどう?」なんて、いままでにない共通言語で会話をしている。 怖いんだよね。と布団の向こうで声がした。これから、たくさんの人が亡くなって、大事な人が死ぬかもしれないのが怖いんだよね。 SNSを1ヶ月閉じていても平気だったのが、いつのまにか…