長期滞在者
2月から3月にかけては、毎年美術系の学生たちの卒業展やゼミ展が各所で開かれます、 荒削りで言葉足らずではあるが、それを補って余りある勢いが心地よく、なるべくたくさん拝見するようにしていますが、コロナ禍の状況で今年はほとんどが中止です。代替えとしてウェブで作品を公開したり、ということが多いようですが、中には箱詰めして宅配するUberのような方法を考案した学生たちもいて、その環境適応能力が素晴らしいと…
当番ノート 第55期
武士は食わねど高楊枝とは見栄を張りやせ我慢している時に使う言葉だが、私にとってのアロマテラピーがちょうどこれに該当する。高校卒業した後に始めたので、もう8年の間私の大きな味方になってくれている大事な趣味が香りだ。 とにかくアロマオイルは高い。比較的安い柑橘系などの精油でも、一本600円はする。正直同じ値段で3日分のタンパク質が買える、などと猛スピードで算盤を弾いてしまう。生活保護を受給しはじめてか…
長期滞在者
10年前の私へ。 あなたにはここからとてつもない苦しみが待っているよ。何度も自分を終わらせたくなると思うほどに。 今、目の前で起きていることが信じられなくて混乱していることでしょう。車が海にのみこまれていく映像をスクリーンで見た瞬間、足の震えが止まらなくなって、自分でその足をぎゅっと押さえたよね。理解をするよりも先に、身体が震え出した。 翌日、家へと帰るとき。目の前に広がる青空。咲き始めたばかりの…
Mais ou Menos
まちゃんへ 3月に入って、だいぶ日も長くなってきたね。 新しい仕事も始まって、これからどうなるのかなあという不安もあるけど、日々目の前のことを一つ一つ取り組んでいます。 アクションノート、日々の良いことを書き出して、やりたいことを書くというのが、続けていて良いことだなと感じています。 目につくようにしておくのがいいのかもしれん。 新しい職場では、自己紹介のときにカミングアウトするかいつも悩むんやけ…
当番ノート 第55期
雷がすごかったね、お気に入りのスニーカを洗ったんだ、久しぶりに歌をたくさん歌ったんだ、あのねあのね、と息ができなくなるくらいに言葉を次々と発してたらしい少女の自分。その様子をおばあちゃんが笑い皺を作りながら言っていたことを思い出しながら絵の方向がどんどんわからなくなった。 たった7日間、ずいぶんと思ったことがあって、ここで手紙のように伝えたかったんだと思う。もっとわかりやすくまとめなきゃと慌てる。…
当番ノート 第55期
駅中にあるフレッシュフルーツを使ったミックスジュースは特別で、それを自分が飲みたい時に飲めるようになった時、大人になったんだなって思った。 髪色を明るくしてから、街で色んな人に声をかけられるようになったけれど、髪色変えたくらいで生まれた関係はやっぱり大したことなかった。 夜中の空いている電車でやること。目をつぶり、体の力をできるだけぬいて、浮き輪に乗り水の上で浮いてるこ…
当番ノート 第55期
千葉の実家を出たのは、横浜にある大学院に通い始める時だった。家事もほぼせず、家族に甘えて暮らしてきた私にしては、自分でも意外なほど、その出発はあっさりとしたものだった。 本来なら「一人でやっていけるのだろうか」「寂しさにうちのめされないかな」などと考えそうなのになぁ? そうだ、私はすでに「実家を出た」経験をしたんだった。 新宿の輝く街を見下ろしながら、大学病院で入院を半年間、さらに一ヶ月間の入院を…
当番ノート 第55期
>>通過儀礼6日目 友人Kが結婚した。大学時代のサークルで知り合った、ちょっとした悪友である。いや、私が勝手にそう思っているだけで、本人はただの同期だと思っているかもしれないが。「私たち友達よね」とかいちいち確認しないので、お互いにとっての関係性はきっと一生不明だろう。 先日、めでたく結婚式も行われたとのこと。コロナもあってか特に出席するような感じではなかったし、あまりしっかりお祝いす…
長期滞在者
部屋にこもって生活していると、それまでは何気なく見ていた出来事が大きく見える。誰かが居間にいる気配。音や匂い。誰かとご飯を食べることの「特別感」。 外に出れば咲いている花や温かさに敏感になる。 近頃、日記を書くことは写真を撮ることに近いように思う。残しておきたい、忘れたくないという気持ちが私のなかで連綿と続く。 家のなかにいても春の訪れを感じることを覚えておきたい。 2月1日(月) 深夜、お弁当の…
Do farmers in the dark
毎回すいません。今月もすごくどうでもいい事を書いています。とにかくユーモアのセンスが無いんだ。常軌を逸したつまらない人間。一年中誰にも気の利いた事言ってない。あいづちしか打ってないよ。「ホー」や「ホンホン」や「アッ」「そうスネ」「スイマセ」しか言ってない。どうか許して欲しい。でも歩いたり、ご飯を食べたり、寝たり、タバコを吸ったりで自分自身はそれなりに楽しく生活できています。クソぅ!ではよろしくお願…
当番ノート 第55期
軽いバイトには落ち、既卒ニート・フリーター向けの就職エージェントには「服薬・通院中の方は受け付けていません」と門前払いにされた私の精神的な打撃は大きく、できることなら今回のテーマは「生きることの苦しさ」とか「障害は社会の側にある話」とかにしたい。 でもそれは自分の心を抉って出た血で字を書くようなものなので、あえて関係ないことを話題にしようと思う。 ちょっとしたインフルエンサーにまで進化しそうな母の…
当番ノート 第55期
物理的な道でも、心理的な道でも、どこかへ進もうと思うと、やれ段差につまづくやら、思ってもいなかったことで苦しい思いをするやら。道端のねこがかわいかったり、カフェや本屋に目移りしたり、だからケガするのになあ。 時には自分で思ってもいない、とんでもない道に「ほいっ!」と掛け声をかけて飛び移ってみたりする。またケガするかもなあ、と思いながら、今までの傷をちょっとずつ縫ったりひとやすみしたり、もっと、そう…