長期滞在者
人生で一番ハンコを押した一週間だった。色んな書類にハンコを押した。 最寄りの区役所で自分が印鑑登録をしていたかを確認したところ、未登録だったのでその場で登録し、印鑑登録証明書を受け取り、提出する。 行ったり来たりの生活をしていると、何かが欠けていく。 都心の店はあまり好きではないけれど、なぜか青山ブックセンターだけは落ち着く。 渋谷駅からブックセンターに向かって坂を登っいると、その途中に国連大学前…
長期滞在者
高校の頃、僕は文系だし数学なんて大の苦手だったが、数学部の何人かと仲が良く、部室には学校に秘密で煮炊きの設備があったりして、そんなこんなで部員でもないのによく数学部の部室にたむろしていた。ある日、その数学部の部室で、何人かでサッポロ一番か何かを食べながら、ふと誰かがつぶやいたのだ。 「もしかしたら、『正しいこと』っていうのは存在しないのでは」 何の会話の続きなのかも思い出せない。そこだけがクリアに…
Do farmers in the dark
前回までのあらすじ クァンツ木村(カンツキムラ)は50代の青ヒゲが目立つタイプの中年男性かつ純粋無垢な紳士で、バターが大好き。髪はくせ毛でねっとりしていた。ベターという単語が好きで、自身が所有するほら穴への招待券、ほら穴チケットを販売して毎日何不自由なく大好きなバターを3切れほど食べられる生活を送っている。 「う〜ん、バターがベタァ〜」 この日もライトニング数馬(ライトニングカズウマ)が仕事を手伝…