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2F/当番ノート

バースデイ

当番ノート 第1期

風呂につかりながらtobaccojuiceの「ママ」を聴いていると、
いつのまにか0時をまわり、13日になっていた。
ボクは本日13日をもって30歳になる。
時というのはゆっくり流れているようで実にあっという間で、
ちょっと前って思っていたことが実は数年前のことだったりするのである。
そういえばtobaccojuiceをCDを誕生日プレゼントにくれたあの子とも何年も会ってないんだななんて思っていた。
そんな風に思い出すとなんだか無性にその子に会いたくなった。

もうちょっとtobaccojuiceを聴いていよう。

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なんて考えながらtobaccojuiceに聴き入っているうちにボクはうっかり眠ってしまった。
だから今日は、仕事から帰ってきて続きを書き出してこんな時間の投稿(笑)

1年前の3月11日。東日本大震災。
翌朝家に帰って台所の割れたグラスの破片を拾い集め、
余震やテレビから流れる信じられない光景を見ながら迎えた。
正直あまり誕生日を迎えたという感慨みたいなものはなかった。微塵もなかった。
ただ、「生きててよかった」と思った。
少し気持ちを落ち着かせようと、そのとき思ったことを自分のホームページに投稿した。

そのとき何人の人から言われた「ありがとう」が忘れられない。
誕生日は「おめでとう」って言われて「ありがとう」を言う日だと思う。
だけど、そのときは「ありがとう」と言われた。
大げさかもしれないけれど、生まれてきてよかったと心の底から思ったんだ。

今年の11日は、手持ちをフィルム3本をポケットに入れて写真を撮りに行った。
はじめは新しく住み始めたこの街と、あの頃住んでいたあの街を撮ろうと思っていたが、
結局いつもの友達の写真が撮りたいなと思って日比谷公園に行った。
いつも通り笑う友達の顔、青く晴れた空。
なんのことはないいつもの風景。
いつも通りの笑顔にあふれていた。
じんわりわきあがる言葉にできないものを指先に込めて一回一回シャッターを切った。

あの日のあの時のちょうど一年後、黙祷をした。
公園に響き渡る「黙祷」の言葉に、心の中からこみ上げる赤黒いような感情。
なんと表現したらいいのかわからない気持ちに心が支配されそうになったけど、
沈黙の中聞こえた子どもの笑い声で心がゆるんだ。ほっとした。

黙祷のとき笑っていたあの子も大きくなって今のボクみたいに30歳を迎えることになる。
そのころのこの世界はどんな世界だろう?
きっといろんな技術が今以上に進歩して、もっと便利な世界になっていることだろう。
今ある素敵なものたちが時の流れの中でなくなってしまっているかもしれない。
世の中を悲しい出来事が襲っているかもしれない。

でもきっとあの子の周りにも、友達や、家族や、恋人の笑い声にあふれているに違いない。
30年後のボクの周りも、そうであったら最高にハッピーだと思う。

今日はイラストではなく、11日に撮った写真の一部を載せることにします。
イラストはまた来週。
(楽しみにしてくれていた人がいたらごめんなさい、来週その分気合い入れて描きます)






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