ねこは仕事を持っています。
おそばやさんです。
いっぴきは、そばうち係、いっぴきは、お給仕係、もういっぴきは出前をしています。
でも、だしをひく鰹節を、さんびきはつまみぐいして全部たべてしまうので、
おつゆが作れないから、いつもお店をあけられません。
おかねはないけど、つまみ食いのおかげでお腹いっぱいのねこは、それなりにしあわせでした。
出前係のくろねこだけは、すこし残念におもっていました。
くろねこの目は金色で、夜になると車のヘッドライトのように光るのです。
出前をしたかったくろねこは、夜、ねこの目ライトをつけたり消したりしていました。
季節は夏になりました。ねこのおそばやさんも、夏休みをもらうことにしました。
ねこは飛行機にのったことがありませんでした。
テレビで見る空港の風景は、ねこはとてもおいしそうだなとかんがえていました。
「なんだか、飛行機って、築地のマグロ市場で並んでるマグロみたいだな」。
だから、飛行機に乗りたかったのです。
ねこは鳥をさそって旅にでることにしました。
目指すのは、魚がたくさんいる「おいしい島」。
〈つづく〉