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2F/当番ノート

india

当番ノート 第5期


「india」より 2006


「india」より 2006

インドでの行程はニューデリーの空港に着いてバラナシへ向かい、そこからブッタガヤへというものでした。慣れない海外でしたので何を見ても新鮮に感じられ撮影したフィルムはかなりの本数になりました。インドは言うまでもなく混沌としたエネルギーに満ちあふれ、日本で培ってきた数十年ものの固定観念が何度も打ち砕かれていくのを驚愕としながらも、意外に心地よく思っていました。何故インドへ行く事にしたかというと数々のインド写真のマスターピースを見てきたという事や、菩提樹の根元でブッタが悟りを開いた場所だという事もあり、それら様々なものが相まっていつしかどうしても行きたい場所となっていました。実際訪れたインドは人々がパワフルに生のエネルギーを放ちながら生きているのと同時に、この世に生まれてしまったというどうしようもなさを含んだ鬱屈したエネルギーが空気中に同時に渦巻いているようでした。ブッタガヤで出会ったインド人が誘ってくれ、短期間ホームステイさせてもらった家族の中にもそのように両方のエネルギーが絶えず家庭内に渦巻いていました。酒浸りの父親と壁に貼ったヒンドゥの神々のステッカーとクリスチャンの娘とその家にホームステイしていたチベット人の僧侶が絶妙なバランスを保ちながら同じ食卓を囲む場に、自分も同席させてもらえたのは得難い経験だったように思います。その父親に見に行ってくるといいと言われたインドの祭りドゥルガプージャは、ドゥルガ神を奉る各地で行われている祭りで、ブッタガヤでは素朴な村祭りといった印象でした。祭り時期になると村のあちこちでドゥルガ神作りが始まり祭壇が設けられ、当日になると山車のように村中を引き回し大勢がその後について回ります。その途中で寄った村では若者たちのダンスが村の広場で始まり、まるで気が狂ったように激しく体を揺らす若者たちのダンスはいつまでも続き、朝から始まった祭りはいつしか夕方になっていました。ドゥルガ神の山車に導かれ着いた先は川のほとりで、もうその頃には日も落ちて大きな満月の光だけが辺りを照らす光源でした。薄暗がりの中かすかに見えるドゥルガ神と若者たちが川の中を歩き回る光景は、まるで三途の川を渡る死者たちの行列のように思えました。

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