2ヶ月間、絵についてのごく個人的な事柄を書いてきました。
自分がなぜ絵を描き続けているのかということもいくつかの角度から考えてみましたが、一番大きかったのはインターネットという場があったためだろうと思うのです。
思えばずっとインターネットをしてきました。
「coca」というハンドルネームも、中学2年生で初めてイラストサイトを作った時のもので、それをずっと使っています。
売り物でもなく、賞に出品するのでもない絵を不特定多数の人に見てもらえる環境は本当に貴重で居心地のいいものです。
(本当は、評価されるのにおびえていた部分が大きいのです。私の絵は地味で、分かりやすく技巧的でも力強い表現でもなく、評価の付けられる場で目を見張るような評価を与えられたことはありませんでした。ですから自分の描く絵が他の人にとって価値があるのかまったく自信がなく、絵を描くことを職業にしようなんて考えませんでしたし、これからもそうでしょう)
ここ何年かを思い返してみると、木版画、アクリル画、透明水彩などデジタルからの脱却が大きな部分でもありました。
もちろんデジタルならデジタルでしかできない表現があり、それは尊いものであることは知っていました。
自分の目に入ればそれが紙上でもモニター上でも変わらないものと思っていました。
しかし、どこかでデジタルとは味気ないもの、巧妙に作られた偽物に過ぎないという感触を抱いていました。
ブラウザによって見え方も違い、出力されたものも偽物のようで、なんとも不安定なものです。
しかし最近、すこしずつ数学でものを見ることを学び、デジタルの違う面が見えてきました。
何かを叩いたりはじいたりするのではなく、波形から音を作り出す。
太陽光の反射ではなく、光から色を作り出す。
日常の、もう一歩奥まで踏み込めるのがデジタル世界のような気がしました。気がしているだけなのですが。
さて、そんなデジタル上のアパートメント暮らしも今日でおしまいとなりました。
デジタル上の出会いと、見ていてくれていた方々に愛と感謝を。