とうとう、あたしは 身体をほうりなげてゆけるひとがいなくなってしまったのかもしれないということに、気がついたのだった。
なんの躊躇もせず、恐れもなく、向かってゆけるひと。
7つをすぎれば、20をすぎれば、神も親もそうではなくなるということ。
やさしい歌をうたってはくれない。
けれど、しかし、穴埋めのようにその存在を求めてどうするのだろう。
3つの頃ほどの、親からのどうしようもないほどの愛情と、周りからの無条件の慈愛を、
再び与えられる日などこないというのに、
22の今、渇望して、いったい、なにが得られるのだろう。
生きていたり存在していい理由なんてものは誰に求めるものでもなく結局は自分の納得でしかないのに。
あの瞳がほしい。あの瞳がほしい。あの瞳がほしい。どうしようもない。
どうしようもなく、たったひとりになったとき。
ひとりじゃたちあがれなくなるほど、ずたぼろで、かわいそうになったとき。
そのまるまった背中をだれがだきしめてくれるだろう。あたためてくれるだろうか。
あたしにはそのたったひとりですらもいやしないのだ。
あたしは、もう、心をちいさくして、
一本の銀の針になりたい。
「 あなたもひとりぼっちだったらよかったのに 」
花火が遠くの方で爆ぜていた。
夏が終わってしまうことばかりが悲しみの理由ではないことくらい気がついていた。
両手で目を覆ってもなにもかわりやしなかった。