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2F/当番ノート

さんぽのひつよう

当番ノート 第12期

近ごろ絵が描けない日が続いているのです。
とくにそれが仕事だとかそういう身分ではないので、
絵が描けなくても、とたんにご飯が食べれないとかじゃないのですけれど、
それでも絵が描くのが好きなので、そういうときは辛いです。

ぼくの好きな映画で魔女の宅急便というものがあります。
そこに出てくる絵描きの女の子が、絵が描けないとき、
「描くのをやめる。散歩したり、景色を見たり、昼寝したり、、何もしない」
と言っているのです。

そのことばを思い出して、そういえば最近、
さんぽをしていないことに気づきました。
ぼくはさんぽが大好きです。迷子になるのがとても楽しいので、
さんぽするのです。迷子になると、不安よりも、わくわくが大きくて、
この道はどこに続いているんだろう、喫茶店があるかなあ、
知ってるところに出れるかな??と思うと楽しいのです。
目的地のないさんぽは意味がないと言われたことがあります。
目的地がないのがさんぽではないかなあとは、思ってます。

小さいころ、おばあちゃんの家から本屋さんまでよく歩いていました。
いつも行きの景色はとてもなれたものなのに、
帰り道はまったく違う町に来たみたいな気持ちになって、ドキドキしてました。
今でも、いつもの道を逆に通るだけで、
見ているものが違ってくるなあと思っています。
ほんとはいつも見ているものも
見ていないことにされてるのかもしれない。
頭はすごく賢いらしくって、見ないでいい、見たくないものは
見えないようにするらしいです。
写真と鏡との自分の印象が違うのも、そんな頭の賢い仕業らしいです。
でもほんとは見えているものだったら、
どんなものでも見えたらいいのにって思います。

そんなことをゆっくり思いながら、さんぽをしたいなあ。
遅い速度でいっぱいじっくり見る時間が、ほんとに大切。
せかせかすると残像すらも線になってしまって、何も見えないですね。

さんぽの休憩には喫茶店であったかい珈琲、それか、あったかレモンティーがいいです。
それをじっくりと味わいながら、
「ふう」
とため息をついて、少しだけ楽になれば、また絵をかけるかもしれないな。

ねこ

熊野 英信

熊野 英信

1984年から生きてます。
絵とことば。
カレーと珈琲。
音楽とさんぽ。

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