愛とは常に無防備でいること、と俺は思う。
自分を守ることをしないまま、
不安と痛みと幸せを同程度に
受け入れること。
そして傷つく時には思いっきり痛みを感じ、
不安になった時には思いっきり暗闇に落ち、
幸せな時には振り向くことなく光の方へ飛び、
そしてお互いの中に永遠に落ちてゆく。
なんとなくそんな感じ?なぜなら俺は一度もそういうことを体験したことない。
だからこれはきっと…
本当の愛でしょう。
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「あなたは誰のものなの?」
あなたは笑顔で沈黙を破らない。心を見透かしながら俺もしばらく何も言わない。
「誰かのものだったらあなたといられないよ」苺のような甘酸っぱい唇が嘘をついている。あなたの口から枯れかけた薔薇の香りがする。そして舌から流れる雫が俺を酔わせる。
窓のそとでは雨がささやく、あなたがそのささやきにあわせて俺の耳に胸をくすぐる言葉をささやく。
酔った俺は恐怖をしらない。「いいでしょう」既に縛られながら思う。
2階のロフトへのぼる階段にベルトで縛られる。何故かすべてが新鮮に感じる。
あなたが俺の目をみつめる。
しばらくキスし合う俺たち。無駄に彼女を抱きしめたいと思うが、何も出来ない。まったく。
あなたが俺の不自由さを感じ、高い声をあげて笑う。膝の上にぽかぽかしてくる、俺。
「そんなに怖いのか、俺?悪いことはしないよ」
「あなたが常に私を分析し、見下している。当たってないわよ、あなたの分析。なのに言葉ではあなたに勝てない。だから、こうすれば私は安心」俺の上に思いっきりまたがりながらあなたがいう。
「おもい」
「我慢して」
「どう?作戦が成功している?」
「まあまあ。面白いけど、安心はしてない。」
確かに、あなたが正しい。いつになってもあなたは俺とじゃ安心しない。
「あなたのいう通りかも。俺は臆病者だから」
「なんで急に正直?」
「俺はいつもそうよ。勝手に人を分析し、勝手にその人のイメージを頭の中に作る。でもどうしようもない。他のやり方が分からん」
「じゃあ、私はあなたのイマジネーションでしかないかもしれない?私への愛もイマジネーションなんじゃない?」
「それはそうかもね。(俺の)中に確かなものは一つも無い」
「全く?」
「ま、自分を愛している気持ちは確かよ」
「さいてっ、本当にあんた何を考えているんだか?」
「今はあなたとエッチをしたいと考えている」
やっとあなたが笑う。まぶしい。
「本当に、あんたって… もうこのプレはやめ。」
「がっかりした?」
「うん。あんたが正直すぎるから難しいのよ。たまに嘘でもいいから、私をハッピーにして」
「…愛しているよ」
あなたがため息をつく。
「これでいい?」
うなずくあなたの目の先には光る水。
「愛してるよ」
泣き崩れているあなたを抱きしめる。
しばらくしたらあなたが落ち着く。二人で雨の音を聴こう。