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2F/当番ノート

パソコンの前に座って 第8回

当番ノート 第22期

早いもので、この連載も残すところあと1回となりました。
今回はデジタルでイラストレーションを描いていて思ったもどかしい部分を。

前々回ぐらいに記事を書かせていただきましたが、木鳥worksさんからさそっていただき、谷町6丁目の整体院「草枕」さんの店内の壁に絵を埋め込んでいただきました。その時の発注ですが、壁に埋め込むもの、額の中に入れるものと直接壁に絵を描くものそれぞれを発注いただきました。額や壁に埋め込むものは、シルクスクリーンやジークレープリントで問題なかったのですが、壁に直接絵を描く部分をデジタルイラストレーションではどうしたものか、大変頭を悩ませました。

この時は転写シールなどを使い、木鳥worksさんとも相談してこの問題をクリアしましたが、今だに他に方法はないか考えています。

思えばこれまで行ってきた個展でも同じような問題はずっと起こってきました。
大きな作品が欲しいなと思った時、デジタルイラストレーションの場合大きめに出力すればいいのですが、単純に引き伸ばすだけだと解像度の問題で絵が荒れてしまう場合もあります。例えばA4サイズを想定して絵を描く場合、photoshopの初期設定を210mm × 297mm 解像度を350で設定して描いていきます。最終出力がA4サイズを想定し、A4サイズで見てバランスがいいように調整しているため、それを拡大してしまうとなんとなくバランスが変わり「うーん」って感じになってしまう時もしばしば。

それにただ拡大するだけだと自分の気持ち的にもなんだか味気ない気もしてしまいます。

仕事として描く場合色々メリットがあるデジタルイラストレーションですが、壁に直接描いたり大きなものを描く場合、やっぱり手描きの迫力ってすごいなーと思ったり羨ましく思ったり。かといって、今の自分の絵の雰囲気はデジタルでしか出せないので、この問題はこれからもずっと悶々とするんだろうなあと覚悟はしています!

最近、デジタルイラストレーションの良さってなんだろうとずっと考えていました。自分なりに考えて行き着いた答えですが、やっぱりデジタルイラストレーションの良さは「使い勝手の良さ」にあるんじゃないかって思っています。

僕はグラフィックデザインの仕事もしていますので、自分の絵を素材としてデザインする事が多いので「使い勝手の良さ」はよく感じています。デザインの仕事は基本的にクライアントあっての事なので、クライアントの意向やデザインする対象に沿って絵を描いたりデザインをしたりするわけですが、じゃあもういっその事、その部分を作品として昇華してしまえばいいんじゃないかと考えています。

今考えているのは「架空の映画館」。

自分自身がこの「架空の映画館」の店主になり、その映画館に飾られているであろうポスターだったりパンフレットだったり、それらを絵を描いてデザインする。さらにそこで上映されているであろう作品のシナリオも考え、原作本を作り、サントラまで作る。そう考えたら自分が創っている絵や音や言葉たちに一本の筋が入り、自分の仕事としての経験も活きるんじゃないかと思っています。大きな作品もポスターとして表現できるし!

ちょうど今年の11月、兵庫県西宮の夙川にある「galerie 6c」さんにてrepairの個展を開催します。ここで先に言った「架空の映画館」を表現する予定です。
その映画館の名前は「filmless cinema」。

repairにとっても僕にとっても新しい試みで、予定している作業量を考えると吐き気がしますが、何か新しい扉が開くんじゃないかとワクワクもしています。また個展の日が近づいたらお知らせさせていただきますので、頭の片隅にでも置いていただけたら幸いです!

ではでは今日は最近描いた絵を。

pegasus7_a

いよいよ次回は最終回。何度も言いますが本当に時間が経つのは早いですね。なんだか寂しい気もしますが、残り1回お付き合いいただければ幸いです!

akira kusaka

akira kusaka

イラストレーター&グラフィックデザイナー。repairというユニットでも活動中。絵とトロンボーンを担当。

Reviewed by
白水 麻耶子

新しい試みをどんどん開けて行くrepairの冒険。

印刷されるということで、見えてくる世界もある。
画面の中にあるものを、
委ねて写し取ってみると
同じものでありながらも別物のような
新しい喜びがある。

架空が架空でなくなる11月も楽しみです。

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