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2F/当番ノート

つながる出会い-旅はつづく-

当番ノート 第26期

20151106_130034
たからさがし。2回目の旅は熊本のお隣、大分だった。
なんで大分に行ったかというと、
山田崇さんに会うため。
ヤマダタカシさんって誰なのかというと、
わたしたちも会ったことはなかった。

たまたまネットで見つけた動画のなかで
山田さんは自分が取り組んでいる商店街活性化について
プレゼンテーションをしていた。

そのアツい思いと面白さが気になって気になって仕方なくなって、
”この人にもまちづくりについて話が聞きたい!”と
「会いたいです」ってメールしてみた。

返信がくるなんて思ってもなかったけど、
「普段自分がいる長野は遠いだろうけど、近々大分なら仕事で行くよ」
というありがたいお返事がすぐにきた。

行くという選択しか頭のなかにはなかった。

そうして私たちは10月のとある平日のお昼すぎ、
熊本大学前の国道からヒッチハイクで大分に向かった。

2台の車の人たちにお世話になって、
大分についたら美味しいお酒と食べ物を楽しんで、ネカフェで寝た。

次の日の早朝、別府の温泉に入った後で、山田さんと合流。
カフェで2時間近く話して、そのなかで学んだことや刺激的なことは、いっぱいあった。

山田さんは『地域』『住民』と、ひとくくりにぼかして考えてはいない。
一人一人と本気で向き合いたいと思っている人だった。

だからこそ、商店街のなかで自ら動いてコミュニティをつくって、そこで完成じゃない。
どうやって○○さんと一緒に続けられるか
どうやったら△△さんのやりたいことが実現できるか
色んな場をつくって、繋げていた。

山田さんの商店街活性化への考え方、仕事と好きなことのバランスのとり方は
今の私たちにもとっても影響を与えている。

その日は山田さんに紹介していただいた音泉温楽プロデューサーというこれまた面白い方と、4人で別府を歩いた。
老舗の和菓子屋さん、アーティストが集まるアトリエ兼住居のシェアスペース、高架下商店街などなど
地元の人だからこそ知っている場所を紹介していただきながら
別府っていろんな文化が混在していて、温泉っていう重要なコミュニティーのおかげで人の動きが活発だなぁと思った。

山田さんと別府に、刺激をたっぷりもらってヒッチハイクでまた熊本に帰った。

別府から3台の車にお世話になって基山PAに着いたとき、おもむろにスケッチブックを開くと、
男性が声をかけてくれた。
「え、なにをしているの?」
何かを察してびっくりしたような、信じられないといった顔で、でもどこかわくわくしているような、
何とも言えない顔でわたしたちを見ていた。

事情を説明すると、快く次のSAまで乗せてくだることになった。
「わたし、まちづくり関係の仕事をしていますよ」
そう言われたときは耳を疑った。

旅をしているといつも、知りたいものと、出会いたい人と、出会えてしまう。
この男性は、福岡の古民家再生協会の代表をしている井上静夫さん。

ヨーロッパなどの外国に比べて、建物をすぐに壊す日本の流れに疑問をもち、歴史ある素材や建物の価値を発信していた。
乗せていただけるのは次のSAまでの少しの時間。
そんなんじゃ足りるわけもなく。

井上さんとの出会いが次の目的地を決めた。

大分の旅の1週間後、
わたしたちは井上さんのいる福岡県八女市にヒッチハイクで向かった。

「よく来たねぇ~~」って目をほそめてにっこり笑った井上さんは
まるで私たちを娘のように出迎えてくださった。

井上さんが古民家再生協会で動くことになった経緯や、古民家鑑定士という仕事への思いをたっぷり聞かせていただいた。

「良いものは残したいんだよ。簡単に壊す人にはどれだけこの木が、素材が、特別でいいものか知ってもらいたいんだよ。地域のために何かできないかなって素直な気持ちが今の原点。田舎の良さを発信しているけれど、べつに特別なことでもないよ。」
わたしたちは井上さんから”古い建物が残ることの意味”を教えてもらった。

その日の夜は、井上さんが紹介してくれたゲストハウスに遊びにいった。
オーナーの男性、悠さんが出迎えてくれて、旅のこと、まちづくりのこと、八女のことを3人でじっくり話すことができた。
軽やかで、まっすぐで、心地の良い空気を作ってくれる方。

悠さんが気になっている熊本の面白い動きや、
まちづくり関係のアツいイベントや団体を教えてくれた。
それは、わたしたちが知らないものだらけだった。

その話の中に出てきて、すぐに行けそうだなって思ったのは熊本の”玉名牧場”。

話し込んだ次の日は井上さんと、井上さんの教え子の古民家鑑定士の方が一緒に八女を案内してくださった。
2人で周るより地元の方と一緒がいい。
たからさがし。の旅では気づけばいつも地域を案内してくれる人が傍にいた。

八女の旅から帰ってくると、悠さんから玉名牧場へ行くお誘いが。

そして次の旅の目的地は玉名牧場になった。

悠さんのお友達や八女の地域おこし協力隊の方々とご一緒して、
玉名牧場で学ぶことはたくさんあった。
食の現実問題、いかに私たちが危ないものを口にしているかということ、
本来の食のありかたを教えてもらいながら牧場を案内してもらえた。

自然のままに育てられた玉名牧場の牛は、
悠さんが言う通り、優しくておだやかな顔をしていた。

11月はまた大分を目的地に旅をした。
別府で山田さんと見にいった、アーティストの集まるアトリエ兼住居のシェアスペース(清島アパート)で
バーベキューをすると聞いていたから。

この大分の旅でも不思議な出会いはたくさんあって、
「またいつでも大分に帰っておいでね」
と言ってくれる人たちとの繋がりができた。

きっと私たちはまた大分を目的地に旅をする。

すると今度は山田さんから
「福岡で会ってほしい人がいるから、今度のイベントに2人で行ってきたらどうかな!」
とありがたいお知らせをいただいて、私たちは福岡に飛んで向かった。

そこの会場で知り合ったのがまっくすさん。
福岡や京都で活動していて、ライフワークがたくさんあるような面白い人。

「たからさがし。っていいねぇ」と言ってくれて、
なんだか初めて”活動”として私たちのことを見てくれる人と出会えたことが嬉しくて仕方なかった。

そのイベントの場で3週間後に京都で「たからさがし。」のイベントをまっくすさんが企画してくださることが決定。

こうして、次の旅の目的地が、
山田さんの活動拠点の長野、そしてまっくすさんがイベントをしてくれる京都になった。
結局、愛知・長野・京都と旅して、たくさんの方に出会う旅となった。

まちづくりに精通しているというウワサの人との出会い、SNSで知り合った人との対面、前に旅で出会った人との再会。
そして「たからさがし。」について語り、みんなで自分の「たから」を考えてシェアするイベント。
インプットもアウトプットもさせてもらえる旅で、だんだんと「たからさがし。」の意味が広がっていった。

京都でイベントに来てくれた人のなかに「京都わかもん会議」のスタッフさんがいて、
勢いで1週間後にまた京都に行く約束をした。

そうして次の旅の目的地も京都になり、わかもん会議に参加。
不慣れな飛行機を使ってみると、帰りのフライトに乗り遅れるというネタができたりもした。

このわかもん会議でもたくさんの参加者と友達になれたけど、
そのなかでもすぐに次に繋がったのは、フリーランスでライターやバーテンをする、みじゃさん。

みじゃさんと再会するために、次の目的地は沖縄になった。

みっちり2日間、観光地とはまた違った沖縄を案内してもらえた。
空気も商店街も人の創るものも自然も、沖縄にしかないもので、
みじゃさんが自分の「たから」を見せてくれているみたいだった。
そして今こうやってアパートメントに入居する機会をくれたのだって、みじゃさん。

わたしたちは沖縄の旅を最後に大学を卒業して、それぞれ熊本と鹿児島に別れることになった。
自分の拠点ができると、今度は人が熊本や鹿児島に来てくれるようになった。

たからさがし。の旅は人との繋がりで動いていく。
少し動くと、次の目的が生まれていく。

知りたかったまちづくりについて知るために始めた旅。
見つけた「たから」を発信しながら、
気付いたらこれこそが地域をつくっていく、
まちづくりとやらの1つになるんじゃないかって気づかせてくれた。

当たり前の日常のなかに、実は「たから」がいっぱいあることを知った。

たからさがし。では、
自分の住んでる場所や行ったことのある場所で、
ちょっと視点をかえてみると「たから」に気付くような
きっかけを作ることができたらいいなと思っている。

これから、やりたいことはいっぱいある。

何でもないことで笑える時間を、
モノや場所にも人の思いがある背景を、
旅で出会う刺激的な人も繋がりも
たからさがし。が教えてくれた。

次の旅も実は決まっている。
来週、2人で東京へ。

田舎がだいすきな私たちが
大都会の東京で、どんな「たから」を見つけるのか、
わたしたち自身も楽しみ。

たからさがし。

たからさがし。

熊本・鹿児島在住。田舎のOL2人。
何度も飛び出したヒッチハイクの旅でも。繰り返している日々のなかでも。
変わらずそこにある地域の「たから」を見つけて旅をするわたしたち。
一緒に「たから」を見つけましょう。どこへでも、呼んでください。

Reviewed by
kanako_mizojiri


まちづくりのことを知りたくて始めた大分までのふたりの旅は、長野・福岡・京都・愛知や沖縄でそれぞれ活動しているたくさんの人と繋がって、刺激を受けて広がりを持っていく。
吉永さんの文章を読んでいると、たからさがし。のふたりがきっと素直でいつもとっても前向きで、”たからを知って広めたい”思いが出会いの先々で受け入れられ、顔を輝かせながら次々と行動に移して行くふたりの様子まで想像できて、ワクワクした。

つながりの旅を通して、”たからというのは視点を変えればいつも身近にあるんだ”ってふたりが気づかされたように、今度はふたりが、気づきのきっかけを与えられるように活動を続けている。

田舎好きだというふたりが来週東京に来るそうだけれど、時間の流れが大きく違うなかでどんな ”たから” を見つけてくれるんだろう、楽しみ。これからも続くふたりの活動が、豊かで実りがたくさんあることを祈って。

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