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2F/当番ノート

free 参る 夜明け前①

当番ノート 第27期

只今5月28日(土)の19:00過ぎ。
明日は2ヶ月振りの「道明寺天満宮手づくりの市」。出店準備と車への積み込みが終わり、
奥さんと市で使う麻紐をホームセンターへ買いに行き、夕食の買い出しから戻って
これを書いています。

つい2日前には時折風呂に現れては我が家を離婚の危機に追い込む
黒光りするアイツのおかげで一悶着、網戸の無いほうの窓を開けた犯人は特定出来つつも
このやり取り何度目?と頭の中を巡るデジャヴのような日常。

そう、常に解散寸前の緊張感を持ちつつも、喜怒哀楽の感情を包み隠さず
屁を放るようにまろび出すほうが、お互い後引く事無くストレスも溜まらない
という事をこの8年で学んだ気がします。

家業の糸屋(糸商)に入って丸15年、saredo -されど- と言うあたらしいアクションを
起こして妻の萱澤良子(カヤザワリョウコ、以下奥さん)と共に活動を始め1年半。
本業と平行してというよりは、本業を続ける為にもつくった第二の本業も
皆さまのおかげで2年目に入り少しずつ忙しく。
ハイシーズンでもある5月は明石、神戸、京都、愛知、高知、大阪とまさしく
「saredo free mile(参る)」な東奔西走の日々。
そんな僕たちの活動前夜について少し書きたいと思います。

まず改めて自己紹介、私萱澤有淳(カヤザワアリアツ)は生まれ育った故郷奈良にて
祖父の代から続く家業の糸商を営む会社 株式会社 萱澤商店に入り、
奈良県下の靴下工場さん始め、東京(関東)、愛知(中京)、大阪、兵庫、京都(関西)など
全国の靴下、ニット(横編セーター、帽子、丸編みカットソー、経編テキスタイル)、
織物などをつくる工場さんに原料となる糸を卸す仕事をしています。

卸すと言っても何もしないで注文が来る訳ではないので、春夏、秋冬の
シーズンごとにお客さまに提案する素材のカタログのようなものを作り
スーツケースに糸の色見本帳を詰め込み素材提案に伺い、サンプル発注を頂いた後展示会、
展示会後製品発注数と原料使用数量が確定し本発注、大まかに言うと各シーズン
こんな流れに沿って、仕入先さんから仕入れた糸やお客さまの別注でつくったり
染めたりした糸、弊社オリジナルの糸などをお客さまに納入しています。

創業者の祖父は既に鬼籍に入って居ますが元々実家が飲食業(料理旅館)で
自身も近所で食堂をしてたんですが、第二次世界大戦で食料物資が不足しそのまま兵役へ。
海軍に配属され扶桑と言う戦艦に主計兵(めしたき、コック兵)として乗り組みますが
漬物樽の落下事故で大けがをして下船。そのまま乗っていればこの舟は沈没して
僕はこの世に居なかったので不幸中の幸いか、帰って戦後間もなく知人と3人で
東大阪でワイシャツの生地のブローカーをした後に、やはり一人で独立しようと
昭和23年頃、現在の糸の仕事を起こしたそうです。
ちょうど戦後奈良で靴下工場さんが需要の拡大とともに一気に広がろうとしている頃に
工場さんのものづくりのお手伝いをさせていただく事から我が社ははじまりました。

そんな会社に入って10年、学卒後3年半紳士用スラックスを製造販売するメーカーさんに
お世話になった後10年の時を経て名刺をリニューアル
自分を追い込むように名刺に刷り込んだ saredo の文字がどのように胎動し始めるかは
ブログに微に入り細に入り。

写真右下の遺影ではありませんが(笑)、撮影者(奥さん)と被写体(僕)
と言う関係性、写すと言う行為と写されると言う行為の鬩ぎ合いによって
レンズが捉える何か=「二人の写真」や、未読了のものもあり
全て吸収出来ているかはわかりませんが、写真に写る様々な書籍や作家に
脈々と流れる精神性(の・ようなもの)が saredo の暁を蠢き血肉となって行くさまを
と言えば大げさですが、奥さんと出会う事で知った新しい世界に
大股開きで大安売りの僕の感受性がいちいちギンギンに反応しトップリとハマり
影響されて行くさまをこの連載でご紹介して行ければと思います。

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萱澤 有淳

萱澤 有淳

hito - ito - saredo
http://saredo-watanowa.hatenablog.com
https://www.facebook.com/saredo.watanowa
https://www.facebook.com/wata.no.war.in.cottonproject

Reviewed by
akira kusaka

たかが〜、されど〜。

「糸」という素材を通して、「作る」ことまで考えている萱澤さんのブランド「saredo -されど-」。
その言葉の通り、私たちの暮らしに必要なものを丁寧に見直して、作り手のことまで考えた働きは、紡ぐだけでなく、ひとや暮らしを強く編んでいく。
一本の「糸」から始まって、循環していく物語。

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