父方の祖母のお下がりの服をよく着る。
祖母にもらったアクセサリーもよく身につける。
祖母は洋服もアクセサリーも沢山持っていて、時折帰省したとき出してきては「私はもう着ねっけやるわね」と言って譲ってくれる。
ゆかりの品で装うのは嬉しい。
思い出の品だからというだけでなく、良い素材で、何十年も手入れして使われてきたものは、独特の凄みのようなものを帯びていると思う。
今使っている新しいもので、自分が孫の代まで渡せるものがどれくらいあるだろう。
私が服作りを勉強しだしたのは祖母の影響かと尋ねられることがあるけれど、祖母がとってもお洒落だと気付いたのは、上京して服飾の専門学校へ入った後のことだった。
お下がりを沢山もらうようになったのも、それからだ。
祖母はいつも渋い色の服を着て、主張のあるアクセサリーを好んでつけ、背筋がいつも真っ直ぐで、とても華奢だ。
家族に向ける静かで暖かい眼差しと、ゆっくり動くしわしわの手は、安心と愛の象徴のようだ。
素朴に歳をとった人は男性も女性も美しいと思うが、祖母は本当に綺麗だなといつも思う。
私は早くおばあちゃんになりたいのだと思う。そんなことを今年、何度か口にしたりもした。
どうすればなれるのか分からないけれど、願わくば、自分の祖母のようなおばあちゃんに。
そんなことを思っていた折、ふと気づいた。
私がおばあちゃんになるその時には、当然、祖母も祖父も両親も、もういないのだ。
ごく当たり前の話だ。
もうすぐ年の瀬がやって来る。
いつもと同じように、年末に帰省して家族で食卓を囲むだろう。
祖母も祖父も、変わらず元気にしているという。
聞きたい話もあるし、料理もいくつか教わりたい。