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2F/当番ノート

1人で眠る夜

当番ノート 第37期

時計の秒針の音。
冷蔵庫のモーター音。
1人で眠る部屋は、いやに静かで、そんな音が、時折大きく聞こえる。

電気を点けたまま、目を閉じる。
いつの頃からか、1人の時には明かりを点けたまま眠るのが、当たり前になってしまった。
一生こうするとすると、電気代、どれだけかかるんだろう、か。いつかはこの癖、やめなければ。

寝る時には近くに誰かがいるといい、と思う。
思い返せば、子どもの頃から、1人で寝るのが苦手で、中学生になっても祖母の隣に無理やり布団を敷いて寝ていた。
この間まで、シェアハウスをして暮らしていた頃は、相部屋だったり、襖越しに人がいたりして、誰かの気配を感じながら眠ることができた。眠りに入る時、目が覚めた時、誰かの寝息が聞こえるのが、私はとても好きだ。なんだか身体がふにゃん、と柔らかくなる感じがして、眠たくなる。
シェアハウス時代の写真には、誰かが寝ている姿をうつした写真がたくさんあった。人が寝ているのって、なんだか写真におさめたくなる。無防備な姿は、可愛いし面白い。すやすやと呼吸している姿は、気持ち良さそうで、羨ましい。誰かが安心して眠っていると、空気に安心感が満ちてくる。安心の伝播。

群れ、という言葉が頭に浮かぶ。
犬って、仲間とくっついて眠る。彼らって群れで一緒に眠るってことを、かなり重要視している、と思う。
私も群れで眠りたがっているんだな、と思うと、なぜだかすこし嬉しい。犬と一緒に眠るの、好きだ。というか、私は犬が大好きだ。毛がいっぱいなのは、触ると落ち着く。撫でられて、喜ぶところが可愛い。ひたすらに愛してくれるから、嬉しい。言葉以外の、色んな感覚を使って、コミュニーケーションをはかる。それがすこし切なくて、とても楽しい。一度、人間より犬の方が好きだと言ったら、付き合っていた人にギョッとされたことがあって、そんな人もいるのかー、と思った。彼は小さい頃に犬に噛み付かれたことがあって、どうしても犬は好きになれないと言った。そうか、人って、何かとの出会いで、出来上がっているんだなぁ、と思う。

まどろんでいると、思考がくるくると、色んなところに向かっていく。たがが外れたみたいに、ここぞとばかりに、思考が自由になる時間。いつも我慢させたり、抑えたり、ばかりしているんだろうな、ごめんね。
まどろみの中ではヘンテコな夢をみる。ミシェル・ゴンドリーの映画の登場人物になったような気分。
ふっと冴えて、現実世界に浮き戻ってくる。夢ってなんで、覚えていられないんだろう。みんなの夢をごちゃ混ぜにしたら素敵な映画が作れるだろうな。

羽毛布団が、心の底からが好き。
少しつめたい綿の枕カバーも、好き。
あの人の寝顔を想像してみる。
眠たくなってくる。
想像の力って、すごいな。
ほんとうも、いい顔して、眠ってるといいな。

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鈴木 睦海

鈴木 睦海

1988年に、福島県白河市で生まれ、育ちました 今は東京で、役者というものをやっています

Reviewed by
猫田 耳子

「寝る/起きる」がスイッチのように切り替えられたら良いのにな。暗闇の中で目を閉じて身体が眠りにつくのを待っていると「死ぬときもこんな感じなんだろうか」なんて考えちゃうもの。

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