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2F/当番ノート

当番ノート 第38期

はじめまして。

これからこのアパートメントの滞在でどのような出会いがあり、
自分自身が何を見つけるのか、とても楽しみです。

私は今ルーマニアの黒海沿岸の小さな町にあるバレエ団で踊っています。
今年の3月の初めに1年に1度のガラ公演があり、自分の作品を上演することができました。

どこにいてどこに行くのか

それをテーマにコロンビア人の同僚と作品を創作しました。

2人で創る
2人の関係性
自分がそこにどういるか
自分が実際どこにいるのか
これからどこに行こうとしているのか

それを見つけたくて作品を創り始めました。

2人での創作だったので、お互いが納得する方向を話し合い、選び、色んなことを決めていきました。
コロンビア人の同僚はとても自由な雰囲気があり、私が思ってもいない発想を出すため、いつも新鮮さを感じながら創ることができました。
私は倉敷のゆっくりした環境で育ったのですが、彼女はコロンビアの首都で育ちました。
作品を創っている過程では、育った環境によって培われた感覚や選択の違いをよく感じました。彼女の踊りに都会の速さを感じました。
意見が違うことが多かったのですが、2人が納得する方向を探すことに時間をかけました。
そしてそれが見つかった時に私たちの間に踊りが生まれたような感覚を感じました。

この作品は、リハーサルの度に全く違うものになる気がして、それもまた面白い感覚がありました。
その場にどういう空間を創るかを意識して毎回踊りました。

創作過程では、合間に彼女と何度もcafeに行ってコーヒーを飲んだり、ビールを飲んだりしながら沢山の時間を一緒に過ごしました。
この作品にはそのように相手と過ごした時間が含まれているなと思います。
そしてその時間がとても楽しく好きだったので、私はこの作品が好きなんだなと思います。

作品の最後には、2人で並んで何かを見つけ歩いていくという結末が生まれました。
その最後が見つけられた瞬間が印象に残っています。
突然最後が見つかったのです。
それを見つけた時、これがこの作品の最後だということがお互いに分かりました。
私たちは作品の長さを決めていなかったのですが、最後を探しながら踊りを創っていたのかもしれません。

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本番ではお互いとお客さんの空気を感じながら踊ることができ、
お客さんのエネルギーと共にその空間を創ることができました。
その日のその時にしかできない踊りを踊れたような気がしました。

舞台は異空間です。
私にとっての舞台とは、舞台を通して遠くにいる人とも繋がれるような、
世界が繋がっていることを感じられるような特別な場所です。

舞台終了後外に出ると、冷たいキーンとした空気で
先日からの大雪の影響で地面は凍っていて、全く違う場所にやってきた感じがしました。
お客さんから頂いたバラを片手に飲み屋さんまで歩きながら
だんだんと現実に戻っていきました。
飲み屋さんでみんなで飲んで、
そこまででその日の私の舞台が終わったようなそんな気がしました。

この作品をまた違う場所、違う時に踊ることが出来たら
どんな踊りになるだろうと思っています。
あでさき
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合田 紗希

合田 紗希

倉敷市出身  
ルーマニア黒海近くの劇場でバレエを踊っています。
ビールとcafeと海が好きです。

Reviewed by
高野 裕子

紗希さんの文章を読んでいると、風景とそこに生きる人が、心の中に見えてくる。

共に作品を作り、やりとりを紡いでいく中で感じる差異や共感、そして新しい感覚。
スタジオでの稽古はもちろん、一緒にコーヒーを飲んだり、ビールを飲んだりすることも、大切な時間。
話すこと、踊ること、それからそれから... 一緒に作品を作ることは、生きることの続きなのかもしれない。

そして終演後、劇場を出てからも、ずっと続いてく、二人の道。
共に歩いてく二人の姿をいつか拝見してみたい。



文章を綴られている合田紗希さんとは、数年前にベルリンで一度お目にかかったことがありました。
今回不思議なご縁でレビューを書かせていただくことになり、紗希さんの今を読ませていただけること、そして私自身が他者の言葉にどんな風に自分の言葉を紡いでいけるのか、とても楽しみです。

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