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2F/当番ノート

立ち返る

当番ノート 第45期

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あんまり普段からささやかな幸せをほんわかと感じられる体質でもないので、嬉しいことが起こりそうだと、この機会を逃してはならないといろんな手段で底上げをする癖があります。

なんていうか、ポテトチップスを食べていて、そろそろのどがかわいたから飲み物が飲みたいな、って思ったときに、ぐっとこらえて塩気の限界がくるまでポテトチップスを食べたりしています。ポテトチップスを食べること自体はもう結構どうでもよくて、ポテトチップスのあとの飲み物への喜びに焦点をあてて、それを高めるための助走としてポテトチップスを利用するんです。

仕事の側面では、とてもやってみたかったイラストの依頼が来たときとかに、高鳴る胸をおさえつつ、相手になにかがおこって連絡がとれなくなる、とかパソコンが壊れて仕上げたイラストがだめになる、などで仕事が納品できなかったときの自分をうまく想像しておいて、いざ無事に納品ができたときには、数々の苦難を乗り越えたふりをして、喜びを噛みしめたりしています。

嬉しいときだけじゃなくて、悲しいことが起こりそうなときも同じように体勢を整えがちです。これから起こる出来事よりも、もっと悲しいことを考えておいて、悲しみの受け入れ先を広げておくんです。

こういうことが起こりそう、って思うとあらかじめそれを受け止める最良の、自分なりのキャパシティをつくりこんでおくっていうことなんですけど、そうやって生きていたら意外とうまく行くことも多くて。仕事とかだと最悪の事態を想定しておくから、スケジュール前倒ししておいたり、何個もイラストつくっておいて備えておいたりします。ポテトチップスに関しては、次の日に胃がもたれただけだったけど。

ただただ嬉しいことや悲しいことを享受するだけだとうまく消化しきれないので、なにか起こりそうだな、って思ったら、なるべく自分の心に立ち返って、細工する余裕を持つようにしています。素直でいること以上に自分をだますことも生きることには欠かせないなって思います。

Reviewed by
マスブチ ミナコ

嬉しいことや悲しいこと、色々な出来事がやってきたときに、素直に受け止めるのは実はなかなかむずかしいものです。
些細なことに気持ちを向けることが得意な人もいれば、そうでない人もいますよね。
三好さんは、自分なりの「感情の受け取り方」として、事前に色々と細工をしておくのだそうです。
自分なりの生き方をするため、まず自分に立ち返る。そんなお話です。

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