当番ノート 第43期
アントン・ナヌート クラシック音楽愛好家の間では知る人ぞ知るスロヴェニア出身の指揮者である。 私はナヌートと出会わなければ、今も指揮者を志すことはなかったと思っている。 ナヌートとの出会いは、紀尾井シンフォニエッタ東京(現・紀尾井ホール室内管弦楽団)で指揮研究員をしていた時期であった。彼は同オーケストラに召喚され、ブラームスの交響曲4番を演奏した。 私は全てのリハーサルを見学し、休憩中も指揮者の控…
当番ノート 第43期
18 人権、決闘 目が覚めると完全に鳥貴族にしか見えないチェーン系居酒屋にいて、タラコとマヨネーズのポテトフライ(399円)を注文したところだった。目の前にはまったく知らない奴が居て、僕はそいつに口に含んでいたハイボールを毒霧した。numero tokyoっていうクリエイションが詰まったインターナショナル・モード誌があるんですけど、僕にはnumeroって単語が50代成人男性の生きづらさを表象してい…
当番ノート 第43期
他人は私のことを理解していない、という実感は、人と人はわかりあえないかもしれない、という予感とセットである。 この人は私のすべてを理解していない、知り尽くしているわけではない、というのは、 一方では相手の察しとか配慮とかいうものに乗っかるのを控えるという意味で謙虚かもしれないけれど、 他方で「まだまだ私はこんなもんじゃないぜ」という傲慢な自意識(というか矮小な自己防衛)の現れでもある…
当番ノート 第43期
どうもどうも、 そにっくなーす a.k.a. ひのはらみめいです。 食わず嫌いはないですが負けず嫌いで有名です。 先日、モグテレビさんのポエトリースラッシュというインターネット番組で3人で戦うスラムに出てぼろ負けしてしまいました。 ポエトリースラム(持ってきた自作の詩をルールに則って各自朗読し聴衆に点数をつけてもらい勝敗を決める試合のこと)にて負けるたびになんでこんな嫌な思いや辛い思いしてまで詩の…
当番ノート 第43期
ヨーロッパには、各国にいくつものオペラ座が存在する。そしてオペラ座にはコレペティトゥールという職業がある。これは、歌手やバレエダンサーに対して、ピアノを弾きながら音楽稽古をつけるコーチングの役割を果たす。ただ、ピアノが弾けるだけではなく、語学も堪能でなければ務まらない。 一昨年のハンガリーで行われた国際指揮コンクールの終わった後、ありがたいことに、このコレペティトゥールの仕事の話をいくつかいただい…
当番ノート 第43期
最近、友人の批評家である黒嵜想が、GAINAX京都代表の武田康廣さんと「万博、GAINAX、アーギュメンツ」というイベントを開催した。このイベントは、私が企画し黒嵜が編集したアーギュメンツという三号雑誌の総括イベントなのだが、そこで交わされた議論の中心が「同人から法人へ」であったと聞いた。少し私事になるが、これは私という個人が渋都市株式会社(旧:渋家株式会社)に法人成りしたことを受けての部分もあっ…
当番ノート 第43期
あなたは私のことを面白いとか好きとか言ってくれますが、あなたの中の私は私全体のうちのほんの一部なんです、いうなれば私A。私の中には私A以外に実は私Bもいて、あなたは私Bのことあんまり好きじゃないかもなあ、それ以外に私Cというのもいるんですけど、私Cに関してはそうだな、むしろあなたが血管が切れそうになりながら憤慨するような所業も結構平気でできちゃうと思います。あなたがそれを目撃して憤慨したとしてもた…
当番ノート 第43期
記事を書いてから寝たと思ったら夢だった、そにっくなーす a.k.a.ひのはらみめいです。 みなさんいかがお過ごしでしょうか。 花粉の時期に役に立つグッズの一つであるマスクとかありますけども、マスクについての医療パロディ記事を以前書いたのでそれを載せておきます。暇つぶしにどうぞ。 http://kuzu-tsuu.hatenablog.com/entry/2015/11/22/210000 さて、き…
当番ノート 第43期
今回は、吹奏楽についてふれてみたいと思う。 私が吹奏楽と出会ったのは、中学1年生の頃。 幼少期から父と行くプロ野球観戦が大好きで、父に肩車をしてもらって後楽園球場に巨人戦を見に行った。父は根っからの野球好きで、休日は草野球や少年野球の代表などをやっていた。家には野球の試合の際に使われるスコアブックがいくつも置いてあり、玄関にはゴルフバッグとともに野球バッグもでかでかと並び、当時子どもであった私には…
当番ノート 第43期
15 簡単で典型的で消費主義 さて、そろそろ私たちはアパートに帰ろう。私たちは近代という革命が、私たちのアパートから一体なにを喪失させたのか考えてきた。愛と友情、家族と戦争、芸術と無、それらが森羅万象から取り除かれた時、私たちの前には便利な世界が広がっている。そうなった時、私たちはいかにして愛情を示すだろう。かわいさ、や、ときめき、が世界を豊かにする時、そこで失われるものは何だろう。それは、ある固…
当番ノート 第43期
ジョン・ロールズという政治哲学者は、ソクラテスを引用しながら人間の動機の在り方について説明した。 人間は、一般に自分の能力を行使することを楽しむ。このとき、その能力がより高次で複雑になればなるほど、その楽しみが大きくなる。 でも、どんな人間でも、その潜在的な能力や成功は、一人の人生の中で表現できるものをはるかに超えている。大きな楽しみをもたらすような高次で複雑な活動のうち、一人の人間がすべてをやり…
当番ノート 第43期
どうもこんにちは。 そにっくなーす a.k.a.ひのはらみめいです。 ツイッター上にて、連載でどんなのよみたいですかーって聞いてみたら、 1.現象学的精神医学 2.私のメンヘラエピソード 3.詩を書くときのこと 4.きょうのそに村さん の4択のうち、『きょうのそに村さん』がなぜかいちばん得票数が多かったので、そにっくなーす版『きょうの猫村さん』的な記事を書こうと思います。 通勤中や通学中の暇つぶし…