当番ノート 第33期
卍第6章 北限の海女について その2卍 では、まだ時系列を戻して去年のお話から。 [2016年7月] なかなか海に潜っていくことが出来なかった私は、身体に重りをつけてみることにしました。 元々寒さ対策のために、絣半纏の下にウエットスーツ素材の薄いインナーを着ていたのですが、インナー自体がそもそも沈みにくいので2キロの重りをつけるようにしました。 重りを付け始めるとだんだん潜れるようになってきて、と…
当番ノート 第33期
海が昔から好きだった。 僕が子どもの頃、週末の僕たちの遊び場は海だった。 両親が潮干狩りや魚釣りをしている間、僕たちは砂浜の奥に口を開けた、 恐らくは波の浸食によって出来上がった天然の洞穴を探索しながら、遊んでいた。 砂浜の砂利の中からシーグラスを見つけたり、打ち上げられたゴミの山の中からボールとバットを見つけて野球をしたり、 フナムシの大群を追い回したり(絶対にあいつらには追いつけない)、 堤防…
当番ノート 第33期
疲れているときは、1輪でも、自分のためにお花を買います。 少しリセットできるような、優しい気持ちになれるような、いつもが特別に変化するような気がします。 お花みたいな、誰かの日常をふわりと包み込むような特別な珈琲を、淹れることができたらいいなあと思います。 好きなお花屋 ディリジェンスパーラー
当番ノート 第33期
夏が来るといつも思い出す人がいる。中学時代の美術の古屋先生のことだ。先生の夏休みは「鍋いっぱいにトウキビ(トウモロコシ)を茹でて、誰にもじゃまされないところで、一日中、トウキビを食べながら、推理小説を読むことだ。」と言っていた。かなりの変人で、美術室で演歌を歌いながら油絵を描いて、中学生に自分の入れたコーヒーをふるまった。インスタントコーヒーがメジャーの時代にドリップコーヒーを入れていたのだから、…
当番ノート 第33期
先日、このクラウドファンディングに支援をした。 タレは断固拒否!豆にこだわる”二代目福治郎”の納豆をご賞味あれ ちなみにいま私はクラウドファンディングサービスの運営会社で仕事をしているのだが、別に宣伝をしたいわけではない。というのも、私が支援した時点で、すでにこのプロジェクトは達成済だった。それでも私は支援せざるを得なかった。 納豆が好きだから。まあそうなんですが、それを超…
当番ノート 第33期
卍第五章 北限の海女シーズン到来卍 読者の皆様、大変お待たせいたしました・・・。 ようやく[海女]のお話に入っていきたいと思います。 そして実生活でも7月1日からシーズンに入りました!(イエーイ!) まずそもそも「海女さん」ってなにかといいますと・・・海に潜り、貝類や海藻などの漁をする女性のことを指します。日本と韓国の2か国のみ存在する職業です。 現在日本には、約2000人ほどいるといわれておりま…
当番ノート 第33期
僕はお酒ってやつが好きだ。 とはいえ、酒に弱い母方からの遺伝が強いのか、 残念ながら浴びるように飲めるというほどではなく まあ、嗜む程度といったところなのだが。 昔は会社の同僚なんかと結構飲みに行って、 それこそ仕事の愚痴とか、先輩の振り翳す仕事論なんかを酒の肴にしていたのだけれど もっぱら最近は仕事とは関係ない趣味の合う友達や、飲み友達と飲みに行くようになった。 そしてそれよりも何よりも、気の向…
当番ノート 第33期
僕は音楽が好きで、しかし僕なんかがとってもおこがましいのですが、たまに友人のイベントに誘われては不慣れながらDJをさせていただいています。どんなジャンルの音楽も好きなのですが、今はアコウスティックな音楽が気持ちよくて好きです。 ingsは僕のとても好きなアーティストの一人。彼女が音楽イベントのために来日していた3年前の夏、僕が働いているホステルに来たのがきっかけで知り合いました。とても気さくで柔ら…
当番ノート 第33期
今週は、ストーリーテリングから離れて、箸休めのようなおはなし。 私の目下の趣味はガーデニング。 2年前にあるきっかけから、九十九里浜近くに家を持った。そこには、庭がありちいさなちいさな畑もある。東京とは別の静かな暮らし。 写真上:ポタジェの風景 北海道生まれの私は、東京生まれ育ちの夫の言う、「紅葉を見にいく」というのが不思議に思った。 紅葉は、秋になればそのあたりで起こる自然現象だったから。東京…
当番ノート 第33期
半分こえた。 という文句で始めたこの連載も、半分をこえた。 というのは言いたかっただけで、本題は昨日「ソール・ライター」展に行ってきたことだ。渋谷のBunkamuraで開催されていた。 ソール・ライターというのはアメリカ人の写真家で、ニューヨークを舞台に写真を撮り続けてきた。ときどき絵も描いた。 若い頃は芸能人の華やかなグラビア写真で有名になったけど、60歳くらいに引退して、以降は何気ない街の風景…
当番ノート 第33期
[第四話 大切な仲間について] 突然ですが、皆さんに[仲間]っていますか? 私にはいます。 沢山いる中のひとつが「WHiTEBEACH」の皆だと思っています。 そう、私が所属していたアイドルグループのことです。 そもそも私がWHiTEBEACHをクビになったのは、端的に表現すれば、「素行不良」でした。 一生懸命だったのは間違いないのですが、自分のことばっかりで、メンバーやスタッフさん、ファンの皆さ…
当番ノート 第33期
魔法の言葉が手に入ったと思ったのに 気づかぬ間に僕の手の端からこぼれ落ちて いつの間にか灰色の抜け殻だけ あの輝きがなんだったのか思い出せない 土曜日の商店街の雑踏の中 僕の目は君の姿を捉えたはずなのに 僕は目を逸らした 君は気づかぬまま僕の横を通り過ぎた 雑踏と僕は溶けて同じになった 千切れた思ひ出つなぎ合わせて 寂しさを噛み殺す 夢に堕ちようとする 手首に漂うジャズクラブの香り 嘘みたいな本当…