当番ノート 第33期
郵便受けがあふれそうになっていたので、2週間ぶりくらいにダイヤルロックを回した。嵩ばるちらしの中に電気料金の紙が埋まっていて、額を確認してから破いて捨てた。 必要な情報も、高鳴る伝言も、いまや絶対に電波を這ってやって来る。宅配便の不在票だけはたまに不意を突いてくるけども、それだってほとんどはLINEで予告が入る。「送りたいから住所教えて」。「土曜の午前中指定でいい?」。 それで、マンション広告の束…
当番ノート 第33期
アパートメントをお読みの皆さん、初めまして、こんにちは。 前田比奈と申します。 私は千葉県茂原市出身で、現在岩手県久慈市に移住して【海女】をやっています。 そうです、私【あまちゃん】なんです!じぇじぇじぇ~! 第1回目は、なぜ私が海女をやるようになったのか、自己紹介をしつつ、お話していきたいと思います。 【第1話 私が海女を目指したきっかけ】 私は平成4年3月21日に母親の地元である神奈川県茅ケ崎…
当番ノート 第33期
僕は多分、昔から自分の中に浮かんだ考えや思い出した出来事、 思い出の類のことをずっと頭の中でグルグルと考えては掘り下げていくのが好きな性質のようだ。 そしていろんなことに思い至り、妙に納得したり更に疑問を増したりしている。 そいつによってその日一日の気分が大きく左右されたりするので、 全くもって厄介だと思うのだけれど、こればっかりは完全なる癖というやつで治しようもない。 大体、治したいなんてこれっ…
当番ノート 第33期
今年の初め、管理人であるLeikoさんからこのアパートメントでの連載のお話をいただき、 今日から2ヶ月間入居させていただく事となりました。竹内俊人と申します、宜しくお願い致します。 何か世の中に対する不満や社会に対する罪滅ぼしの気持ちを発信したいだなんてざっくり考えていて、 丁度そのタイミングでお話を頂いたものですから、すぐにやります!と返事をしたのですが、 いざ書くとなると何をかけば良いのかさっ…
当番ノート 第33期
ストーリーテラーって何ですか? 3年ほど前から自己紹介をするときに「ストーリーテラーです。」と名乗ると「なんですか?それ?」となるので、「おはなしを語る人です。」と言うと「ああ、朗読ですね。」と返ってくる。(そうだよね。そう思うよね。)と思いながら見た目の違いはほとんどないようにも思うのだが「違いがあるとすれば、観客との間に媒体(本とか紙とか)を持たないでそのまま素語りをするんです。」と話すと、「…
当番ノート 第33期
半分こえた。 と思ったのは、25歳のときだった。人生の中で、家族と一緒に暮らした年数を、離れてから暮らした年数が追い越した。 12歳のとき実家を出て、中学1年生から下宿生活を始めた。中高一貫校で、そのまま大学で東京に来て、今も都内で働いている。実家は広島市にあって、中学高校は岡山の東の方、兵庫寄りの山の中にあった。通おうと思っても、新幹線と在来線を乗り継いで片道2時間以上かかる。だから、家を出るこ…
当番ノート 第32期
フランス人に書を見せると、決まって飛んでくる一番目の質問は、「これは一体何が書いてあるの?」だ。 「かな」もあるけれど、「かな」の書だって変体仮名交じりだったりして、今の日本語の感覚から読み解くには少々時間がかかったりする。漢字のカテゴリーだと大体中国語の古典文献から取ってきたものを書くことが多い上、私は中国語が分かるわけではないので、こういう反応が飛んでくると正直困る、けれど好奇心旺盛なフランス…
当番ノート 第32期
先日、中目黒にあるCafe & livespot FJ’sというお店がリニューアルすると言う事で、partyとやらにお呼ばれしてきた。そんなpartyなんて滅多に行かないし、その後の用事もあったもので少し顔を出すという生意気な感じでお邪魔する事となった。お店は大きい通りに面してはいるが、駅から少し離れた場所でのんびりした空気の中。路面に向かって扉が開いており、晴れた夕暮れがとっても気持ちよ…
当番ノート 第32期
2ヶ月間あっという間でした。 3月にアパートメントで記事を書くことが決まり、4月に1店舗、5月に1店舗の立上げに参画する事になりまして、考えていた10倍くらいの忙しさになっていまいました。 アパートメント関係者の皆様には大変なご迷惑をおかけいたしました。 (いつも原稿が遅れてすみませんでした汗) やっと仕事が落ち着いたところで、ラスト投稿です。 今思えば全8回(9回かな?)の構成組みをすればよかっ…
当番ノート 第32期
隣の男性が、囲炉裏の火を前に、焼き加減を細かく調整しながら真剣にほっけを焼いている。 その様子を私とサザエさんはにこにこして眺めている。 いい具合に焼けてきたところで、ほっけをお皿にうつして、3人は互いのおちょこに日本酒を注ぎ合う。 そして、3人で杯を交わす。 「乾杯!」 ゲストハウスの部屋に戻ってきた時、既に先客がいて、見慣れたヘアスタイルの女性の後ろ姿だと思ったら、サザエさんだった。 「あれ、…
当番ノート 第32期
二カ月の連載を振り返ると、これまでの自分のこと振り返ってしまった。 こうして、文章を書いているけれど、昔から文字を読むことは好きだった。 他の人が何を楽しんでいるかはよく分からない。 誰かを喜ばせようと行動することもほとんどない。 自分がしたいことをするばかりで、今もそうなってしまっている。 文字とは、絵本や小説が好きだったのではない。 ゲームの説明書をよく読んでいた。 家にはゲームの説明書が多く…
当番ノート 第32期
この記事が掲載される頃には、私はもうブルターニュの田舎へ行っている予定なのだけど、この記事を書いている今、私は日本にいる。 一年ぶりの日本。実家のある街まで帰ってきたのは、実に二年ぶりのこと。二年も家へ帰らなかったことは初めてではないか。最近ではYouTubeのおかげで、日本のテレビ番組が少し遅れて、しかし次の日には観れるということを覚えて、たまに観たりして、『ふむふむ、日本は今こういう感じなのだ…