当番ノート 第32期
「いつまで音楽続けるの?」「どうなりたいの?」 要は将来のビジョンとか目標とかを問いたいのだろう。それでも、どう答える事を求めているのか迷う事が多い。ちょっと長く深くなりすぎない程度に、答えになるかどうか分からないけど気持ちを紐解いてみる。 ある時、知り合いがライブを見に来てくれた時に私に言った。「ちょっとひどい言い方かもしれないけど、自分はミズハちゃんの歌を聞きに行ってるんじゃない。音楽に対する…
当番ノート 第32期
「樋口さんは最初とっつきにくい人だと思いました。」 会社の女性スタッフに最近言われた言葉です。 僕は多くの方にとってとっつきやすいタイプ(自称)だと思います。 そんな僕がなぜそんな事を言われなきゃならないのか。 それは僕のせいなのです。 わざと話しかけたり目を合わせないようにしているのです。 なぜそんな事をするのか・・・ それは、僕がセクハラと思われるのを恐れている臆病者だからなのです。 スズメの…
当番ノート 第32期
「きたー!」「着いたね!」 想像以上に登りごたえのある道を登り終えて、 私たちは衣張山の山頂にたどり着いた。 山頂からは、海と山に囲まれた鎌倉の街が見渡せて、 歴史の授業で鎌倉は攻められにくく守りやすい地形だと習ったことを思い出す。 山には深い緑色の木々がこんもりと広がっている。 海と空は淡い群青色で、どちらも似た色をしているから、境界線が曖昧だ。 空には白い雲がふんわりとたちこめていて、雲の切れ…
当番ノート 第32期
大学2年生の夏休み。 神戸から東京へ走って帰ろうとした。 そこに比喩とかはなくて、走って帰ろうとした。 荷物はハードカバーの本が入らないくらいの小さなリュック一つ。 中身は、スマホの充電器と 何万円かチャージしたSuica、財布 それと、Tシャツとランニング用パンツ ほとんどノープランで、 なんとかなるかなあと思っていた。 結論から言うと、そんな甘いことはなかった。 神戸から三重県伊賀市で諦めた。…
当番ノート 第32期
あれだけお稽古したはずなのに、やはり白い紙に向かうと、恐い。それは自由に書けばいいと言われているようでもあり、と同時に、見えない罫線が張り巡らされているようにも見えるからだ。せっかく作品のアイディアが浮かんできても、いざ紙に向かって筆を入れてみると、それは見るに耐えない字だったり、思い描いていたものとは全然違ったりする。せっかくのアイディアは、その瞬間に墨の泡となって消えてしまう。 もっと、思い描…
当番ノート 第32期
おひとりさま、にいつから慣れていただろう。 私が物心ついた頃には、ウチには母親しかいなかった。父親がいることは知っていたし、たまに会う事はあったけど一緒には住んでいない。そんな状況を、今思えば子供ながらどう捉えていたのかは、よく覚えていない。母は普段仕事に出ていて、日が暮れてから自転車で帰ってくる。ブレーキの音で母親が帰って来た事に気づく。薄暗い家に響くブレーキ音を、今でも何となく覚えている。兄が…
当番ノート 第32期
妻に草間彌生展に誘われました。 草間彌生展なんて、ミーハーなやつらがデートするか美術かじった難しい顔してるやつらでどうせ溢れてて、パシャパシャ写真撮りまくってるだけなんだろ! 自分は集中力も無いし、興味もないし、とうんたらかんたら言ってたら、 心が荒んでいると心が狭くなるらしいよ、と妻に諭され首を掴まれた犬状態で六本木へ。 さて、芸術やアートの事は歴史も鑑賞方法も全く分からないし、そもそも草間彌生…
当番ノート 第32期
翌朝、目を覚ますと部屋に寝ているのは私だけで、横に並んでいる布団はみんなきちんと畳まれていた。 どうやら私が一番の朝寝坊らしい。 布団をめくって、うーんと背伸びをする。 障子から差し込む朝の光が心地よい。 今日もお休みで、気ままに過ごせる1日なのだと思うと嬉しくなる。 連休が取りづらい仕事で、夏以来連休が取れていなかった。翌日仕事だと思うと、休みの日でも気持ちが安らげなくて、いつも疲れていたような…
当番ノート 第32期
頑張れっていう言葉はあんまり好きじゃなかった。 頑張っている人には頑張れなんて言う必要はない。 頑張ってない人にだけ言えばいい。 だから、頑張れという言葉は 「頑張ってないように見えるぞ」 という意味なんじゃないかと思っていた。 高校野球の応援は、今でもよく覚えている。 バックスクリーンに反射する掛け声、 グラウンドを揺らすブラスバンド。 湿気のある夏の球場にはたくさんの応援があった。 特別に野球…
当番ノート 第32期
青山杉雨に金子鷗亭、手島右卿、篠田桃紅、石川九楊、柿沼康二… 昭和から現代まで、好きな書家の名前を挙げればキリがない。(もちろん今のパリの先生も。) 私が好きな書には、何か共通していることがあるのかなと思って、そういう視点でもう一度画集を眺めてみる。黒と白のバランス、力強さ、モダンさ、空間の取り方・見せ方、線の美しさ… どこか光があり、風が吹き抜けていくような感じがあるとこ…
当番ノート 第32期
「30過ぎたら、年取るの早いよ〜」 最近よく言われる、この言葉。これ以上早くなったら、あっという間におばあちゃんである。 — オトナになると時間が早く過ぎるように感じる、っていうのは結構多くの人が感じているんじゃないかなと思う。小学生の頃の夏休み1ヶ月はすごーく長く感じたのに、今では1ヶ月なんてあっという間に過ぎ去っていく。過ぎ去る、という表現は何もなかったかのようで嫌だけど、その表現が合うくらい…
当番ノート 第32期
株式会社WATは2017年5月時点で、会社設立から4期目の途中。 3年前、6人くらいでわちゃわちゃやってた頃から、今ではスタッフは約50人ほど。 (週3のアルバイトもいれて、ですが) 人が増える度に初期の頃を思い出しては色々あったなー、とか感慨深くなります。 さて、会社のフェーズに合わせ、人材も増えたり減ったりしてきました。 3歩進んで2歩下がって来たわけで、水前寺清子に見事に予言されていたと言わ…