当番ノート 第31期
僕は、色んなところがヘタクソだ。 感情を表に出すのも、本当に聞きたい事を人に聞く事も、自分が言いたいことを口に出すことも。 嬉しいとか悲しいとか怒りとか甘えたりとか、そういったものを人に表現するのが。 周りの目を気にして、余裕があるように見せて、本当は辛かったり大変だったりすることもなるべく外には見せない。 妙なプライドや自己意識が邪魔をする。 それでいて、内弁慶だから尚のことだ。 色んな場所へ出…
当番ノート 第31期
少年は物書きになりたかった。 漠然とした夢に少し輪郭を加えると、物語を描きたかった。 小説をものにしたい。自分のつくる物語を世に出したい。 少年が人知れずに抱いていた展望だった。 夢を掲げるに至ったきっかけは分からない。分かるのは物心がついたころにはそう強く思っていたということ。 誰かに知られたら叶わないかもしれない。だから誰にも言わなかった。 一種の願い事のような、夜に目を閉じてみる類いの夢に近…
当番ノート 第31期
考えるへんな人は、ふつうの人とはちょっと違った選択肢をしている/持っている人とも言えるかもしれない。 やはり、東京は、人口1300万超、「人種のるつぼ」のような街が点在していて、多様性に溢れているから、そんな風変わりな人も多いわけだ。けど、その多様性を認めにくいような社会はあるのかもなあ、と思うようになったしまったのはいつからだろう。 ぼくが考えるへんな人に出会うようになったのは、大学を機に沖縄か…
当番ノート 第31期
朝はいつだってわたしを裏切らない。 中学生だった頃に朝型に覚醒したわたしは、それ以降の人生をずっと、言うなれば、朝と手をたずさえるようにして生きてきた。早朝のまだ静かな時間に、クリアな頭で、のっしのしと勉強やお仕事を進めていく。きっちりと着実に何かが積み上がっていく快い感覚。メールを送ってくる人も電話をかけてくる人もおらず、同僚の気配に気を散らされることもない、すてきな独りの時間。 最近「朝活」と…
当番ノート 第31期
今回は古本屋の話を。 まず、古本屋にはいろいろな形態が存在する。店舗を持っている店もあれば、ネットだけでやっている店もある。あるいは、デパートや催事場で開催される古書市や古本祭りのような即売会にのみ出店している古本屋もある。さらに、ごくごく少数の顧客のみを相手にしている古本屋、古書目録を独自に発行し、その目録から注文をとっている古本屋。 販売形態を考えただけでも、古本屋という言葉が指し示すものはと…
当番ノート 第31期
カメラを立ち上げた時のモニターに一瞬残像の様に映る、ぼんやりとした画像を残す方法を知りたい。普段、写真については、なるべく端正な画面構成で撮ろうとする一方、無為の存在感にはかなわない、と実は思っている。 目の前の対象よりその反射や投影、透過に、実体よりその影や背景、空白に、どうにも目耳が向いてしまう。 何が、そんな視点や価値観に影響しているのかと過去を振り返ると、通っていた画塾…
当番ノート 第31期
絵本を描いています、というと、「まずおはなしを考えて、それに合った絵を描いていくんですよね?」と尋ねられることがありますが、私はそういう順序では描いていません。 落書きからちょっとしたストーリーやおはなしのワンシーンが浮かんだら、そこからすこしずつ膨らませて絵本にしていきます。ストーリーより絵のほうが先なのです。 絵本をつくり始めたころはあまり深く考えず、いきあたりばったりで描き始めて、最後に辻褄…
当番ノート 第31期
僕は、ひょんなことから2014年の夏に鹿児島に引っ越した。 僕個人としては、”移住”ではなく”引越”、そんな感覚だった。 はっきり言ってしまえば、今も昔も場所にそこまでの執着は無い。 こうやって書くと、冷たいとか強がりだとか言われたりもするけど、 自分が住む土地以外で、面白そうだと思った”最初”の場所が鹿児島だったから。 本当…
当番ノート 第31期
書き始めてみたものの、逃げ出したくなっているのだ。僕の当番ノートは明日に迫っていたのだった。 もっと先に出すようにと言われながらもこの体たらく。半日後の自分が書いてくれるはずだと一時逃れを重ねていたら、もう掲載前日なのだ。言い逃れのできない現実である。 盗んだバイクがあったら走り出してやろうかとも思うが、盗んでいる時間すら惜しい。そんなヒマがあったら書かねばならぬ。 当番ノートのシステム上、前任者…
当番ノート 第31期
考えるへんな人 ー 独特の価値観を持ちながら暮らしていて、見方によっては近寄りがたいが、噛めば噛むほどに味わいぶかいスルメのように話せば話すほどのめり込んでしまう人。 前回は、つなぐ人として岡田昭人さんを紹介させてもらったが、今回は彼につなげてもらった人について書いてみようかと思う。ぼくの先輩を紹介します。 現在は、プロのMC/DJ/ナレーターとして「声」の仕事をしているリスケさん。…
当番ノート 第31期
はじめに断っておかなければならないのは、この世の中には、サンドイッチを愛する人の数だけ「善きサンドイッチ」がある、ということです。いいですか、しっかり頭に入れておいてください。そうすれば、俺のサンドイッチが一番だの、あのサンドイッチは下等だの、そうした不毛な議論に陥らずに済みます。サンドイッチに唯一絶対の正解などないのです。ピース。 とはいえ、ここで、わたしにとっての「善きサンドイッチ」の条件をま…
当番ノート 第31期
古本屋をやっているので、この先、本がますます読まれなくなり、その結果本が売れなくなるのでは、と少しは不安に思っている。書物という形ではなくても、今ならパソコンやスマホ、あるいは電子ブックで簡単に本を読むことができるからだ。 1995年に、OSとしてインターネットへの接続を標準搭載(正確には追加のバージョンアップで)したウィンドウズ95が発売され、その後1999年にアップルから、比較的安価で可愛い筐…