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3F/長期滞在者&more

軽いけど重たい

長期滞在者

E3642C84-E38C-4888-A3B0-764FC3452CE9展覧会の余興のような位置付けではあるけれど、年に何度か演奏家の方が投げ銭ライブをやってくれることがあります。小さなスペースで15人とか30人のお客様を前にしての演奏は、お客様にとってみれば、大きなホールでの演奏よりも体全体でその魅力を受け止めることになり、喜びも大きいわけですが、それゆえに演奏家も一切手を抜くことができない、心地よい緊張感がここにはあります。ささやかな空間でありながら、演奏家の方々のプロ意識の高さに毎回頭が下がる思いです。私たちにとっても、どのようなジャンルのパフォーマンスであっても、とても贅沢な時間をいただいていると思っています。
それを展覧会に置き換えたらどうなんでしょうか?小さな展覧会に足を運んで、20回のうち19回は、いまのような感動を覚えることがありません。とっても残念です。

小さな会場でささやかな展示と聞くと、大抵の人は、良い意味で力の抜けた軽やかな作品展が楽しめるという期待を持ちます。
しかし、小空間で何らかの表現を展開することを甘く考えていると、とんでもない失敗を犯すことになります。小さく軽やかな展示は、より一層の緻密な設計であったり、他人を巻き込んでいく戦略をつもり重ねていくものです。思考の積み上げが高ければ高いほど、作家さんが送るシグナルにお客様が気がついてくれる。積もり積もった重たい思考の結果として軽やかな表現が生まれるものです。

ライブパフォーマンスがそうであるように、小さな空間での展示であっても、作家さんの息遣いを間近に感じるような、それこそ、アトリエの中で作品が生まれた瞬間に感じるキラキラした心躍る瞬間のようなものが伝わる、来てよかったと思える展覧会にしたい、そういう機会を持ちたいと願っている作家さんと今年も出会っていきたい。

篠原 俊之

篠原 俊之

1972年東京生まれ 大阪芸術大学写真学科卒業 在学中から写真展を中心とした創作活動を行う。1996年〜2004年まで東京写真文化館の設立に参画しそのままディレクターとなる。2005年より、ルーニィ247フォトグラフィー設立 2011年 クロスロードギャラリー設立。国内外の著名作家から、新進の作家まで幅広く写真展をコーディネートする。

Reviewed by
モク

軽やかな表現は積もり積もった重い思考の結果として生まれてくる、という今回のお話。
軽やかさにも深みが必要だ。重い思考は泥のようなもの。その上で何度もステップを踏むうちに、次第に乾いて丈夫な土になる。

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