入居者名・記事名・タグで
検索できます。

3F/長期滞在者&more

残すとは…

長期滞在者

BBAB1106-A396-464C-BBE0-82934F6215EB
いくつかの作品を引き取るために、先日 レジェンドと呼んでも差し支えない作家さんのご自宅へ行ってきました。今はご遺族がプリントと原版の管理をされているが、アトリエを処分してしまったので、自宅のマンションに棚をたくさん入れて、50年分の写真のことを全部収納してるということで、実際行ってみたら、自宅の一角どころか、自宅の大半がその作家さんが残した作品などで、むしろ塊の中で暮らしているようにも見えました。
創作活動とは、形を作り、そして残していくものだと聞かされてきたし、実際そう思っていたし、信じていました。
玄関から部屋の奥の奥まで、床すれすれから、天井近くまでもうこれ以上入る余地はない、というくらいの大量のフィルムと、プリント原稿、過去の展示で使われたパネルや、マッティング済みの作品などが隙間なく収まっている様子を見てしまうと、形を残す、という言葉の重みがぼくに向かって殴りかかってくるような気がしました。

思索と試行を繰り返しながら、積もらせてきた時間の流れが、そのまま形になって積み上がっている。膨大な資料本に埋もれるような仕事場というのは、何度も見たことがある。もちろん今までも数多くの作家さんのアトリエや自宅へお邪魔して山のようなワークプリントの量に驚いたこともあったけれど、今回のはちょっと違った。ひとつのことに邁進する人間の凄まじさを目の当たりにして今も適切な言葉が見つからない。

篠原 俊之

篠原 俊之

1972年東京生まれ 大阪芸術大学写真学科卒業 在学中から写真展を中心とした創作活動を行う。1996年〜2004年まで東京写真文化館の設立に参画しそのままディレクターとなる。2005年より、ルーニィ247フォトグラフィー設立 2011年 クロスロードギャラリー設立。国内外の著名作家から、新進の作家まで幅広く写真展をコーディネートする。

トップへ戻る トップへ戻る トップへ戻る