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3F/長期滞在者&more

誰もいないのも価値

長期滞在者

ルーニィは、5月18日以降いつも通りの営業を再開していますが、来場者数はいつもの2割くらいで、とても静かな毎日です。というか、今年の入ってからずっとこんな感じだったような気がしています。ぼくにしたって、いつも観て歩く展覧会の半分も回れていないわけですから、どこも空いているようです。

15時ごろに近所のギャラリーにちょっと立ち寄ると、今日最初のお客様です、なんて言われることもしばしば。事業継続のための手は常に打ち続けていく必要があるけれど、ギャラリーを見て回る人たちの数ばかりは、コロナが収束するまでじっと我慢の日々なのかもしれません。

翻って考えると、ギャラリーは混雑しているよりも、空いている方がいい、できることならば、自分以外の誰もいない方がいい、なんて思ったことはありませんか?

赤字に苦しむローカル鉄道の論理とよく似ていて、人が集まらなければ、採算がとれないで潰れてしまうけれど、いざ行ってみたら、静かな里山の景色の中に、まるでパンダを見る行列のごとく、人波でごった返していたら、少し損をした気持ちになってしまうのも事実です。

かくいう、僕たちのギャラリーも、コロナ前の週末はちょっとありえないくらい、お客様で溢れかえっていました。だからこそ、売り上げも良かったのですが、いまは土日でも空いています。

ということは、いまは、静かな空間に身を置きながら、ゆっくりと作品に囲まれて思いを巡らせることができるチャンスであるとも言えます。

できれば、今だからこそ、ちょっと得難い体験ができるかもしれないアートギャラリーに遊びにお越しください。静かに歓迎いたします。

篠原 俊之

篠原 俊之

1972年東京生まれ 大阪芸術大学写真学科卒業 在学中から写真展を中心とした創作活動を行う。1996年〜2004年まで東京写真文化館の設立に参画しそのままディレクターとなる。2005年より、ルーニィ247フォトグラフィー設立 2011年 クロスロードギャラリー設立。国内外の著名作家から、新進の作家まで幅広く写真展をコーディネートする。

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