先日、2回目のワクチンを打った。
私が住んでいる横浜市ではなかなかワクチン接種の予約が出来ず、予約ページまで辿り着くもののまったく空きを見つけることができないでいた。
そうした中、偶然Twitterで「楽天の職域接種の余り分を横浜市用に開放することになった」という投稿を目にし、翌々日の朝一にサイトのログイン画面にスタンバイをして、無事予約を取ることができた。そして、その4週間後に2回目を打った。
接種会場が楽天の本社だったこともあり、2回目の接種後に本社の脇にある楽天モバイルで機種を変更した。事前に決めていたわけでは無かったが、iPhoneの半額以下で最新機種が売られていたOppoの機種に切り替えた。
普段あまりスマホで写真を撮る機会は無く、出張で地方を訪れた際に撮影するぐらいだったが、この最新機種はカメラ性能が売りのようで、これからはスマホで写真を撮る機会が増えるかもしれないなと少し期待しながら帰路に着いた。
その週末、冷え込みも弱く晴れ渡った天気だったので、家の目の前を流れる鶴見川を源流まで登っていこうと、上流へと向かうサイクリングに出かけた。
以前何度か同じ道を通ったことがあったが、いつも新横浜付近で工事をしていて、回り道をしなければならなかった。
今回は工事が無事終わっていて、川に沿って自転車を走らせることができた。
途中、田んぼと畑が広がっているエリアがあったので、川沿いから少し離れて田園風景を走る。ついさっきまで日産スタジアムや高速のジャンクションの傍を走っていたとは思えない景色の変わりよう。無人販売で野菜を売っていたので、ピーマンを買う。
再び川沿いに戻ってそのままひたらすら自転車を漕ぐ。
徐々に川の様子も変わってきて、人工的な自然の中ではなく、自然な自然の中を水が流れている。
もともと生まれ育った街の川が半人工的な川で、それが私の中でのスタンダードな川だったので、自然な自然の中を川が流れていると、とても特別なものに感じる。
と、途中で川に変わった鳥がいるのを見つけ、自転車を停める。よく見てみると何の変哲もない鷺だった。
「なんや家の近くでもよく見つけるやつか」と思い、再び漕ごうと思ったとき、鷺からほんの少しの距離のところにエメラルド色に輝く小さな鳥を見つけた。カワセミだ。
私は鳥に疎く、山でライチョウに遭遇しても写真を撮ることもなかったが、このカワセミに関しては撮らざるを得ない気持ちになり、スマホで撮った。この機種変更したばかりのスマホの画質がすこぶるよく、撮るのが楽しくなる。
しばらくカワセミを眺めていたら、同じ場所にずっと佇むわけでは無く、様々な場所を行ったり来たりすることに気が付いた。岩から飛び立ち、嘴だけ水面につけて、また同じ岩に戻る。嘴には小魚が挟まれていた。
野鳥会のアイドルとはいえ、生存の原理にもとづいて行動している。
もう少し上流にいくと、再びカワセミを発見。スマホで撮影する。
一度撮影すると、徐々にもっと特別な瞬間を撮りたくなるのがヒトの性なのか。カワセミが飛ぶところをぜひ撮りたいという気持ちが押し寄せる。
もしかしたら大きな音を出せばカワセミは驚いて飛び立つのかもしれないが、ルール違反なことはしたくない。ずっとスマホを掲げて、その瞬間を待つが一向に訪れない。15分以上待っても飛び立たない。バードウォッチングとは忍耐なり。絶対あきらめずその瞬間を撮ろうと思っていたら、急に飛び立ち別の木の枝に飛び移っていた。
慌ててボタンを押したが、上手くは撮れていなかった。その後、カワセミは頻繁に場所を移動したが、何度飛んでいる瞬間を撮っても上手く収まらなかった。
スマホでは限界があるのだろう。
さらに上流にいくと、中学生くらいの子が大きなレンズを川の方向に構えて何度もシャッターを押していた。その先にはやはりカワセミがいた。その中学生が目印になってか、対岸には大きなレンズを持ったおじさん達が集まってくる。すると、川辺でジョギングや犬の散歩をしていた通行人たちも「なんだなんだ」と川の中を覗き込む。
これぞ、カワセミを写真に収めようとする人たちの集まりが、カワセミの居場所を指し示す場面。
全6時間ほどのサイクリングの中で1.5時間ほどをカワセミに費やしてしまい、家に辿り着く頃には日が暮れていた。
数日前に読んでいた雑誌の中で、ちょうどカワセミのことが取り上げられていて、その雑誌には高田馬場の公園でカワセミが見られることを書いてあったが、カワセミを探すコツはカワセミを狙うバードウォッチャーの姿を探すことという文がとても頭に残っていた。
今回、本当にその言葉通りであることを実感し、またキャッチーだなと思い、ことあるごとに友人や職場でカワセミを見つけた話とそのコツのエピソードを話した。
さらにカワセミのことが知りたくなっていたところ、運がよければホバリングという動きを見られるということを知った。
こんな瞬間をもし目に出来たら、そしてスマホに収められたら、周りの人達に自慢して、翌週の仕事も頑張られるなぁと思う。