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3F/長期滞在者&more

寒川辺りで

長期滞在者

普段欲しいCDや本を買う際によくメルカリを利用している。

先日、私と同年代(少し上)で情景描写にいつもうなされる作家の講演会が木更津の図書館で行われるという告知を見て即座に予約をしたが、イベント前夜に辛ラーメンを食べたのがあたってしまたったのか翌朝激しい腹痛で参加を諦めた。

そのことが悔やまれて、メルカリでその作家のことを検索していると新聞の連鎖切り抜き20回分が800円で売られていた。

プロムナードというタイトルで毎週日経新聞に連載されていたようだが知らなかった。本は古本か図書館で買うことが多く、800円という値段でも構えてしまうが、一回辺りの連載が40円で読める。練りに練られた1500字ほどの文が読めるとしたら、破格だ。そう思い、ポチッと購入するのクリックを押した。

新聞の切り抜きなので薄い封筒に包まれて届くのかと思いきら、しっかり濡れないよう内袋まで準備されダンボール型の容器で届いた。

細長い切り抜きが20枚だけ。それに800円の価値があるのか。日付順になってることを確認し、早速左上にホッチキス止めをした。その途端に、文庫本よりもとてつもない価値のある、一生の財産になるような気がしてくる。

そのホッチキス止めした20枚分の連載を持って、最寄りに新設された相鉄線の新綱島駅に乗り込む。

コンクリート剥き出しの無機質な階段をこれでもかというほど降りると、改札の中に花束が並べられていた。

相鉄線が繋がったとは言え、路線の乗り入れ数が少ないのか、15分待ってようやく電車が来た。

歩いたことの無いエリアを歩こうと、事前に海老名の近くの相模川沿いを狙っていたのだが、車窓から公園が広がっている場所があり、気になって相模大塚駅に降りてみた。

個人的に好きなサイズ感の駅で駅前の看板もいい感じだ。

天気のいい休日の昼だしビールを飲んでもよかったが、途中でマクドナルド(スーパーの中に併設されたるタイプ)を見つけたので、公園で食べるマクドの美味しさを妄想しながら、店に入ると長蛇の列で諦めた。

何も買わずに公園に着く。

想像と異なりとてもとても立派な公園で、手入れされてる部分と手つかずな部分のバランスが最高だった。

いとうたかおと金延幸子を聴きながら歩いた。

公園内の自販機で麦茶を飲む。少し汗をかいて、真っ昼間の公園で飲む麦茶はビールよりも美味しかった。

公園の中で、和菓子が売られていた。が、誰も立ち寄る人がおらず、大量に余っていたので1つお餅を購入する。

買う際に、「この辺りの桜もあと2週間で満開ですかね?」と尋ねると、「いや先週満開でもう散った後ですよ」と教わる。

そこから海老名へ移動し、巨大ショッピングモールを背に厚木まで歩いた。

Spotify内のBeckに2000年頃の日本でのライブアルバムが入っており、曲目が変なカタカナ翻訳だったので、どうせブート盤で音悪いんだろうとあまり期待してなかったが、意外や意外によい音質で熱気が伝わるライブ盤だった。

完全にこの辺りは車社会で、やたらと大きな病院が多かった。

その後相模線に乗る。厚木駅は名前からも大きな駅と思っていたが、双方向を同一線路に停まるとても小さな駅だった。その数駅先の社家駅は、駅が高速道路のJCTの真下で、高速道路から乗り降りする車しか見えないような駅だった。夜はどんな雰囲気なのだろう。

倉見駅で降りて、寒川駅まで歩くことにした。順調にいけば5キロほどの距離。

本当はグーグルマップを開きたくないが、そうすると大通りばかり歩いてしまいそうで、水辺のコースを見逃してしまう可能性があるので、やはり開いてしまう。

駅から歩いて10分ほどしたところで、ママチャリに乗ったやんちゃそうな人がこっちに向かってきた。と、いきなり自転車をUターンさせ、菜の花畑でパシャリと撮影していた。

その後、ミニバイクに乗った3人組も菜の花畑の前に止めて、ヘルメットを脱ぎ撮影していた。

私はそのまま通り過ぎ、目に入ったセブンイレブンでホットコーヒーとプロテインバーを買って、徒歩の疲れを癒やしていた。

と、さっき菜の花を写真に収めなかったことが悔やまれて来て、引き換えした。ちょうど誰もいなかったので、何枚かパシャリと撮影した。

満足した気持ちになり、細い水路沿いを歩く。

すると、寒川神社の案内が出てくる。大きめのパーキングエリアもあり、神社に近づくにつれて厳かな雰囲気が出てくる。

正門では無いなと思いつつ、近くにあった入口から入ると中はとても立派な神社だった。

せっかくなので「これからもいい散策ができますように」と祈る。あいにく財布の中に100円玉と1円玉しか無く、迷って1円玉にしたので、どこまで御利益があるかは不明だが。

神社をあとにして、最終目的地の寒川駅へ向かう。途中にスポーツセンターと併設された芝生の公園に立ち寄ると、小学生や中学生が集まって、バスケをしたり、ゲームをしたり、何をするでもなく座ってたりとしていた。

それが羨ましくもあり、一方で土日も集まらないとLINEグループから外されちゃったりするんかなと、もしいま自分が中学生だったらどうしていただろうと考える。

寒川駅に着くと日が沈む少し前の時間だった。

帰り道に茅ヶ崎や辻堂などビーチ沿いを通るので、夕陽を見に行ってもいいなと思ったが、歩いた思い出が薄れそうでやめた。

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