入居者名・記事名・タグで
検索できます。

3F/長期滞在者&more

24時のブルース

長期滞在者

2月中旬のある日、アイスコーヒーを始めるにぴったりな日だと思ったが、まだ早かった。

朝起きてホットコーヒーを淹れたが、いつもより量が少なく、普段は午前中は1杯しかコーヒーを飲まないが、今日は特別にとコンビニでコーヒーを買って、井の頭線に乗り込んだ。

電車の中でコーヒーを飲むことにハマっている。片腕が否が応でもふさがるのがいいのかもしれない。

渋谷から終点の吉祥寺駅まで乗って、街を歩いた。

パルコの入り口で、学生時代によく読んでいた音楽雑誌の編集長を見かけた。

パルコの地下に移転したディスクユニオンに寄ると、Vivisickのパッチをジージャンに付けている店員さんを見かけた。

パルコのすぐ近くにある昔よく訪れていた立ち食いうどんを食べて、井の頭公園の奥にある芝生広場に座り込んで、アパートメントの原稿をスマホで書く。

書こうと思っても、なかなか気分が乗らなかったので、セブンイレブンで今日3杯目のコーヒーを買う。麗らかな日だったので、今年初めてのアイスコーヒーにしたが、芝生広場に持ち帰って飲んでみると、まだ早かったと感じた。

先日、関西を訪れた。

金曜の夜に新横浜から新幹線に乗り、新大阪に着き、駅ビルで友人と2杯ほど飲んだ。

そして、別れてから西成の宿に泊まった。

観光客はまだそこまで多くなく、翌日から始まる春節の前の嵐の前の静けさを感じた。

西成では中国語の歌に特化したカラオケのスナックが爆増していると聞いたが、観光客をターゲットにしているのか地元の人たちが集う場なのか。

翌朝、とにかくコーヒーが飲みたくて歩く、行こうと思っていた喫茶店は満席だった。

そこから目と鼻の先の向かいにあった喫茶店に入った。

玉子サンドのセットを頼んだら、なぜかおまけでゆで卵もついてきた。モーニング1食で3個分の卵を食べただろう。

デザートにヤクルトもどきのドリンクがついていてそれがまたよかった。サイフォンで入れてくれるコーヒーも美味しかったが。

普段たばこは吸わないが、その喫茶店の中の煙は嫌いじゃなかった。関西弁が飛び交う空間にたばこの煙がマッチするのかもしれない。

新聞を読みたかったが、店内で探すのが億劫になり、ただただ黙々と食べてコーヒーを流し込んだ。

喫茶店を出て歩くと、星野リゾートのホテルが見えた。やはり、どう控えめに考えてもおかしく感じる。ごった煮の街の中でも、ごった煮の中に入り切れず、完全に異物で街に溶け込む要素がない。

その日は、大阪の南の方に行ってみたいと思い、南海電車で南へ目指す。

途中、降りたことがない駅で降りてみようと、貝塚駅で降りみた。その周辺を15分ほど散策したが、こじんまりとした商店も並びいい街だった。

そこには分線があって、その分線の終点は水間観音駅という駅で、水間寺という寺院があるようだった。スマホでその寺院を調べてみると、周辺環境含めて神秘的でとてもよさそうな雰囲気に感じた。

が、30分に1本しか走ってなかったので行かなかった。数年前に一度訪れた天理駅のような雰囲気なのか。東京や神奈川にいては、なかなかあのような雰囲気を感じる空間には出くわさない。

この南海電車に乗り続けるともしかしたら新宮に着くのかと思い、調べてみたが4時間近くかかった。

あのとき、あのタイミングで新宮に行けて本当によかったと思う。中上健次の世界観がまだ生きていた。他の国に行くよりも新宮に行く方が異世界に踏み入れる感じがする。

和歌山大学前駅で降りると、そこは学園都市のようになっており、造成された都市ならではの異質な空気感を覚え、数十年後にはどういう状況になっているのかと要らぬ想像をしてしまう。造られた町の駅に直結している巨大なショッピングモールでたこ焼きを食べながら街並みを眺める。

その隣の駅が和歌山市駅だったので、せっかくなので行ってみることにした。

以前、和歌山駅周辺は散策したことがあり、とても気に入っていた。

クロスロードというCD屋に入り、棚を覗いていたら、まさかここでというCDに出くわした。まったく想像していなかったこともあり、ここ1年でも最も血が騒いだ瞬間だったかもしれない。

翌日、朝起きて京橋に移動し、立ち食いうどんを食べる。
お椀を受け取って、テーブルを使わずに、立って商店街を歩く人を見ながら食べるうどんは美味しい。

その後京都駅へ移動した。普段は行かない南側を歩いた。

パッチギのあの橋が近くにあったので行ってみた。色んな物が浮いていた。そして、しっかりと「切れ目」があった。

瀧尾神社という、拝殿の天井に龍の彫刻が彫られている神社に少し立ち寄る。
その後、荘厳な門とそれに連なる通りに出くわし歩いてみる。100m歩くごとに寺が続き、最終的に泉涌寺に繋がっていた。

せっかくなので拝観料を払って中に入る。

特別に、天井に龍の絵が描かれた空間にも入れるとのことで追加の拝観料を払って中に入る。

龍の絵は素晴らしかったし、その空間は特徴的な造りがされていて音が響くようで、何人かの人が大きく拍手して、そのこだまを確認していた。

開放的な境内で居心地がよかった。京都駅から徒歩で来れる場所とは思えないくらい、自然に囲まれた神秘的な空間だった。

誰にも見向きもされていない細い階段があり、その上には台座があったので、そこで靴を脱いで10分ほど座禅をした。

東福寺駅までの帰り、ラーメン屋に入り、530円のラーメンを食べた。格別だった。

その時は気づかなかったが、なんでこんなにも人が多かったんだろうと思ったら、今年の干支が辰だから、龍がモチーフの展示に人が集っていたのかと合点した。そういえば、自分も辰年だった。

日暮れ前、出町柳に移動し、京都大学の西部講堂で開かれていたアンビエント×トランスなイベントに参加した。
西部講堂の歴史を感じながら、中ではカオスな空間が繰り広げられていて、寺院とは違う京都ならではの文化を感じた。

出町柳からの帰り、ホームに停まっていた内装がきれいな電車が特急料金が必要な電車か予約なしで乗れる電車か分からず、乗客に尋ねると特に予約は不要の電車であった。心地よい受け答えで、気分も晴れた。

そのあと、鶴橋のホテルに帰った後、喉が痛く寒気が止まらず、コロナだと思ったが、横浜の家に戻り抗原検査をしたところ陰性だった。

と、関西を訪れていた前週のことを井の頭公園の奥の芝生で書いていた。

そろそろいい時間になってきたので、公園から吉祥寺駅へ移動し、途中荻窪で降りて、前日アド街ック天国で取り上げられていた店の前を通り少しだけ散策した。

その後、新宿へ行き、歌舞伎町のど真ん中の地下にできたZepp新宿でサニーデイサービスのライブを観た。

中でも、24時のブルースが格別だった。

帰りに日吉で味噌ラーメンを食べて家路についた。

トップへ戻る トップへ戻る トップへ戻る