12月があっという間に過ぎていった。
2021年12月、大切な仲間が突然命を奪われた。
今月、私は何をしていたか、あまりよく覚えていない。
気づいたら、2022年が目の前に迫っている。
2021年12月25日。
UVERworld、日本武道館。
彼らのライブを観るのは1年ぶり。今年はUVERworldのライブは12月25日にしか観ないと心に決めて、この1年を生きてきた。それは昨年この場所で初めて聴いた「EN」という曲の力をこの胸に叩きつけたから。1年後のクリスマスにこの曲をライブで聴くときに自分がどうなっているか。そのときに自分は懸命に生きたと思えるような日々を過ごそうとこの1年を生き抜いてきた。
「EN」は昨年聴いたときは、曲から感情がはみ出しすぎていて、もはや曲というより、叫びの印象があったが、1年経つと、さらに見事なまでの音楽として昇華していて、楽曲としての強度を増していた。
「あの日から突然何もかもが変わってしまった」
この言葉が1年後の12月に強烈な痛みを伴って響いてくるとは思わなかった。
1年前に最初に「EN」を聴いたときは、コロナ禍での突然の変化のことが頭をよぎっていたのだが、この12月に聴いたときに頭に浮かんできたのは、今年起きた信じられないような突然の幕切れだった。
今年は本当に幸せなことがあった。
しかし、その幸せはあまりにも短くて、突如信じられないような地獄に突き落とされた。それも2度も。
まるで神様から「おまえは幸せになっちゃいけないんだよ!」と言われているかのように、私が大切にしたいことを一瞬で奪われた。
なんでだよ、なんでだよ、なんでだよ。
悔しくて、悲しくて、打ちのめされるという言葉以上に、自分が痛いのか苦しいのかもよくわからなくなってしまった。
誰かがいなくなったときに、泣ける方がまだましだと思った。
涙が出ない。悲しいのに、泣きたいのに、涙が身体からほとんど出ない。
悲しい人が必ず涙を流しているわけではない。
今日に至るまで悲しい別れが何度もあって、そのたびに、どうやって乗り越えようともがいて、少しずつ「こういうときにどうしたらいいか」の知恵はついたのかもしれない。
けれども、私は悲しみに慣れることはない。
また背負うのか。この悲しみを。
また背負うのか。この苦しみを。
また背負うのか。この寂しさを。
そんなことを考えてしまう自分がイヤだった。
以前なら悲しみを背負ってでも生き抜くと思っていたのだが、その重さに何度も何度も苦しくなってきたことも事実。
しかし、その悲しみがあったからこそ立ち上がり、乗り越えてきた。
そして、やっとここからは安心できると思ったら、またすぐに奈落の底に落とされる。
生きていく以上、別れはこれからも何度も訪れる。
だから、安心なんて時間は私の人生でほとんどないのだと思う。
それでも、穏やかだと感じられるときを、もう怖くないと思える時間を生きる日々を過ごしたいと望んでいる私がいる。
そんなことを考えているときに「EN」を改めて聴いて思った。
「生き物である以上明日が来る保証なんて何処にもない」
人生や自分が思うよりもきっと短い。
あっという間に終わっていく命の中で、苦しみや悲しみに苛まれて終わる人生でいいのかと。
生きていく中で、喜びの時間は短いのかもしれない。
けれども、確かにそこに喜びは在った。
自分を苦しめる感情で、喜びの高揚を覆い尽くしてしまっていいのかと。
「今日も何処かで飢えて死んで行く子供達を平気でシカトする神様が
俺たちの夢に興味持つ訳ねぇだろ!
願う以上に自分で変えろ!」
この曲を聴いていると、本当に神様なんかクソ喰らえだなと思う。
それでも願ってしまう自分も捨てきれない。
ならば、願い以上の行動だ。
自分の人生は自分でなんとかする。
何をどんなに予測したって、何をどんなに準備したって、何をどんなにこれで安全と思っても、何が起きるかわからない。
もうこのことからは逃れようがない。
私には、まだ奪われていないものがある。
どうしようもないくらいに好きなことがある。
どこにいても笑っていて欲しいと幸せを願う大切な人がいる。
何よりこの命がある。
生きたいと思っていても、生きられなかった人の分まで、この命は燃やす。
来年がどんな年になるかなんて全くわからない。
良い年になって欲しいと願ってもぶん殴られるような衝撃もあるだろう。
まさかこんな幸せに出会えるなんてと思うような日も来るだろう。
どんな瞬間でも「私は私を生きているだろうか?」と問いかけながら、私はこの人生を、全うしていきたい。
何が起きるかわからない。
だからこそ、生きよう。
【ラジオDJ武村貴世子の曲紹介】(“♪イントロ〜13秒”に乗せて)
12月22日に約2年ぶり、通算11枚目となるニューアルバム『30』をリリースしたUVERworld。
アルバムの1曲目は、魂からの叫びの歌。この音楽があなたの明日を生きる力となりますように。
UVERworld「EN」