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2F/当番ノート

「それは、この世界を愛しいと願う、あなたのその気持ちが力になるはず。」【UVERworld「I LOVE THE WORLD」(2015年8月26日リリース)】

当番ノート 第24期

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2015年3月21日。
FM-FUJIで震災特別番組 学校訪問「10代ラジオ」が放送された。
この写真は、共に番組を進行したフォトジャーナリストの佐藤慧さんがスタジオ収録の様子を捉えた一枚。
番組では、世界各国を取材している佐藤慧さんの講演を聞いた中学生が自らの感性でラジオから言葉を伝えた。

ディレクターから、この番組で最後にかける曲を選んで下さいと言われた。
震災特別番組、10代とのラジオ、それを考えながらいろいろな曲を聴いていた。
でもどれもピンとこない。
どうしたものかなと思っていた時に、
いつものように聴いていたiPod から流れてきたUVERworldの「Ø choir」に急にこれだ! と思った。

「世界が素敵だから」

この言葉こそが番組が伝えたいことなんじゃないかと思い、
私はこの曲を選んだ。

後に、番組に出演してくれた中学生から、
「番組での選曲をきっかけにUVERworldが大好きになった!」という声が届き、
40代の大人からも、
「これまでUVERworldには興味がなかったけど、
この番組でかかっているのを聴いて好きになった!」という嬉しい感想も送られてきた。

だから、9月に行った国立代々木競技場第一体育館でのUVERworldでは、
私は何よりも「Ø choir」をライブで体感したかった。

近年の彼らのライブでは、スクリーンにその曲をイメージした映像に歌詞をどんどん映し出してくる。
私はその演出を見ていると、言葉たちが 「自分自身への問いかけ」のように感じてしまう。
言葉がぐいぐい自分に迫ってくる。

アリーナ会場で鳴り響いた「Ø choir」。
「世界が素敵だから」という言葉をスクリーンで見た時に、
胸にじんわりと温かい感情が広がり、
改めて、未来と希望を願った特別番組のエンディングに選曲して良かったと思えた。

そして、その時のライブで、もう一つ私の中で衝撃的に残った景色が、
UVERworldの最新シングル「I LOVE THE WORLD」が演奏された時だった。

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2015年8月30日。
私は国会前にいた。安全保障関連法案をめぐっての反対運動となる、10万人行動の日。
私のツイッターのタイムラインには、前日から、全国各地からの国会前に駆けつける言葉を綴ったつぶやきで溢れていた。
その流れを見ていて、これは大変なことになると思った。

私がその場に行ったのは、ライブでそのバンドの本質を感じたい、
そういった感覚と同じで。
一体これから何が起こるのか?自分の目で見て、感じて、考えたい。
それがその時の私の行動にあった思いだった。

国会前に行く地下鉄の中で私は、
「I LOVE THE WORLD」を繰り返し聴いていた。
自分の中で勇気を奮い立たせるため、力を得たい時に、私はUVERworldの楽曲を聴くことが多い。

数多くの彼らの楽曲の中で、なぜその時この曲を聴いていたのかというと、
リリースされたばかりのニューシングルだということが一番の理由だが、
もう一つはイントロにある。

この曲のイントロの勢いと、
これから何が起こるのか想像がつかない得体のしれない感覚が自分の中で重なっていた。

私が辿り着いた場所は、何万人のライブに慣れている私でも、 ひるむくらいの猛烈な数の人で埋め尽くされていて、
東京に生まれて生きて、41年、こんな東京を見たことがないと思った。驚いた。
そのくらい、世の中に反対と疑問が渦巻いていることだと、肌身で感じた。

その後しばらく、この風景と熱が自分の中から抜けず、
随分いろんなことを考えていた。何もかもが強烈だった。

頭と心がパンクしそうな時に私が救いを求めるように駆けこむのがライブだ。
10代の頃から、ライブ会場が私にとって、一番安心して息ができる場所だ。

2015年9月6日。
国立代々木競技場第一体育館でのUVERworldのライブ。
会場に行く時の私の心境は、やっと息ができる。そんな気持ちだった。
しかも、今日は自分が情熱を注いだ、
「10代ラジオ」のエンディングで思いを込めて届けた「Ø choir」が聴けるかもしれない。
それだけで、だいぶ気持ちはラクになっていた。

ライブが始まり、
いつものようにこれまで親しんできた彼らのライブの音の中にいられるということは、
私にとって安らぎであり、聴きたいと思っていた「Ø choir」も聴けて、
身体には嬉しさと楽しさが充満していた。

そして、この日、私が一番衝撃を受けたのが、
「I LOVE THE WORLD」だった。

最新シングルを初めてライブで聴く。

どのアーティスト、どのバンドのライブに行っても、
それは心から楽しみな瞬間で、
一体ライブで聴くと、どうなるんだろう?と、
単純にわくわくした気分で待ち望んでいた。

「I LOVE THE WORLD」は、
サビでただひたすら、“I LOVE THE WORLD”という言葉を繰り返す。
サウンドはいわゆる“アガル”曲だ。
盛り上がって行こうぜ! な曲だ。

ライブではこれでもか! というボルテージの高さで、
オーディエンスの目前にリアルな姿を現した。

そして、10代から20代を中心とした若い世代のファンが、
力いっぱい曲に合わせて、“I LOVE THE WORLD”と叫ぶ。

会場は“I LOVE THE WORLD”の大合唱となった。
私は、その光景に震えるような気持ちでいた。

“I LOVE THE WORLD”、
つまり「世界を愛している」という言葉を、
これだけ多くの人が叫んでいる。
その言葉を共有しながら、今、この瞬間を最高に熱く楽しんでいる。

この事実が私にはあまりも尊くてたまらなかった。

2015年11月22日。
私は、あの時、自分が感じた感触をもう一度確かめたい。
その思いを抱いて、北海道の真駒内セキスイハイムスーパーアリーナにいた。
気温2度の冬の北海道。会場の中でも寒さを感じるほどだったが、
「I LOVE THE WORLD」という曲が持つ熱量はやはりすさまじかった。

首から下げたタオルで汗を拭いながら、拳を上げて“I LOVE THE WORLD”と叫ぶ男の子。
友達同士で手を握り合って飛び跳ねながら、笑顔で“I LOVE THE WORLD”と歌う女の子。

“I LOVE THE WORLD”という言葉が、
音楽を全力で楽しむという本気の表情と、
どこまでも高まる熱をおびて飛び交っている。

「世界を愛している」

私たちは普段の生活の中で言葉として発することができるだろうか。
「世界平和」と言っただけで、何か緊張感が走るような今、
「世界を愛している」と言ったら、おそらく驚かれる。
場合によっては、ドン引きだろう。

“I LOVE THE WORLD”

それでも音楽があれば、私たちはこの言葉を発することができる。
今、日本で10代20代を中心に絶大な人気を集めているバンドのライブで、
“I LOVE THE WORLD”という言葉が、
ライブ会場という解放的で楽しい場所で、高らかに鳴り響いている。

言葉の力は、想像以上に驚くような嬉しい現実を引き寄せることがある。

音楽と共に、楽しさと共に、
湧き上がるエナジーが押し上げる“I LOVE THE WORLD”という声は、
見えない力となり、この世界に思いもよらぬ、希望をもたらすのではないだろうか。

私は「I LOVE THE WORLD」が演奏されている時に、猛烈な渦となって巻き上がる、
あのエネルギーが呼び起こす、楽しくてたまらない未来を信じている。

【ラジオDJ武村貴世子の曲紹介】(“♪イントロ✕5秒〜24秒(Rockをくぐって)〜39秒”に乗せて)

今年は、結成15周年、デビュー10周年という記念すべき年を迎えた、UVERworld。
現在は過去の曲を中心にしたセットリストでツアー中。
私も札幌で観てきましたが、演奏している曲は昔の曲なのに、強烈に今のUVERworldを感じるという驚きの内容です。
そして、私が見た時のライブでは、過去の曲から現在に入る1曲目となっていたのが、この最新シングルです!
(Rock)
2015年も、信じられないような悲しい出来事、不安なニュースが数多くありました。
この世界は大丈夫なのか?そう思ってしまうことも多いと思います。
では、楽しい未来を引き寄せるためにはどうしたらいいのか?
それは、この世界を愛しいと願う、あなたのその気持ちが力になるはず。

UVERworld「I LOVE THE WORLD」

武村貴世子

武村貴世子

ラジオDJ、MC、ライター。
これまで、FM802、Fm yokohama、FM-FUJIなどで番組を担当。

ラジオ番組、司会、ライター、トーク&アナウンス講師はもちろん、
朗読と音楽のコラボレーションライブも展開中。

国連UNHCR協会 国連難民サポーターとして、
難民支援を始め、世界や社会への関心が深く、社会貢献活動にも積極的に取り組む。

また、タロット・リーディングの学びも深め、
フリーランスでその活動の幅を広げ続けている。

Reviewed by
中村むつお

太古の昔、言葉が出来る前、音楽は人々のコミュケーションツールであった。
言葉が出来、嘘が出来、人々が心を隠すようになった今、音楽に乗せて伝える言葉はより純粋なものになったのかもしれない。

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