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「確実に、あなたの第6感を開くでしょう。」【nurié「RooM-6-」2022年1月5日リリース】

長期滞在者

今年最初にマイクの前で声を発したのは、レギュラーラジオ番組、練馬放送「Voice of Heart」だった。

2022年1月6日。
東京は4年ぶりの大雪だった。
この日に収録を行う他の番組のパーソナリティは全て収録を延期していた。

けれども私はスタジオに向かった。
番組の準備を詰め込んだリュックサックには、届いたばかりのnuriéの最新シングル「RooM-6」を入れた。1月5日にリリースされたこのシングルをラジオからリスナーに聴いて欲しい。
何よりも私自身が、nuriéの最新の楽曲をラジオから紹介できることにわくわくしていた。

「Room-6-」のイントロがヘッドフォンから流れる。マイクのカフを上げる。
好きな楽曲を初めて紹介するときに訪れる独特の緊張感。曲紹介をしながら、胸が高鳴る。

届け! あなたの第6感に。

新大久保駅から新宿駅に向かって歩くことがよくある。歩きながら考え事をしたり、あるいは思考の中を整理するために。

昨年の夏頃までは、この道を歩いているときは、憂いに沈んだ愁然とした心持ちでいることが多かった。新宿の大ガードの前の横断歩道を歩きながら見える景色もなんだか靄がかかったように見えていた。

2021年10月27日。
ずっとそのライブを観たいと願ってきた、nuriéのライブが初めて観られた。
会場は、新宿club SCIENCE。ヴォーカルの大角龍太朗のバースデーライブだった。
音源を聴いてとても期待していただけに、ライブがイマイチだったらどうしよう? という不安もあったのだが、彼らのライブは私の想像以上で、どうしていいかわからない気持ちになった。

演奏は結成2年のバンドだとは思えないくらい、4人の気持ちがしっかりと重なりあう音。
曲から曲への立ち上がりの早さ。
声に、言葉に、確実に思いが込められた歌が、ストレートに自分の中に入ってくる。
どんどん自分の中に響いて仕方がなかった。
ヴォーカルの大角龍太朗とベースの小鳥遊やひろの関西弁による思わず笑い出してしまうようなMCも楽しくて。

あぁ、これは本格的に出会ってしまったと思った。

私がラジオDJを目指したのは「まだ世の中に広く知られていないバンドを応援していきたい」と思ったこと。その原点に、完全に火がつけられた。

ライブのあと、初めてメンバーと直接会った。
それまでインターネットを介してコミュニケーションを重ねていたせいか、最初にメンバーから「初めて会った気がしませんね」と言われたことは嬉しかったし、私も全く同じ気持ちだった。
このライブの直前に私は、大角龍太朗に単独インタビューをしていた。その際に、nuriéを結成する前の彼のエピソードを聞いていたからか、この日のライブの感想として最初に彼らに伝えた言葉は、「大角くんはいいメンバーに出会えたね」ということだった。

素晴らしく良いライブを観た日は言葉が止まらなくなるのだが、この日の私は「これは本気になるやつだ。この先何よりもnuriéを応援したくなる気持ちが勝ってしまう」という「これはヤバい」という心の動きに、何をどう言葉にしていいかわからなくなっていた。

事実、この日のライブ本編の最後に聴いた「透明に混ざる。」で、私は泣いていた。
nuriéの音源を聴いてきた中で1番好きな曲がこの曲だっただけに、ついにライブで聴けた嬉しさと、音源以上の輝きに涙が溢れた。

この日のライブの観客は40名ほどで。「透明に混ざる。」の演奏を浴びながら、こんなすごいライブをやっているバンドのライブの動員人数として少なすぎる。こんなの絶対おかしい。これはしっかり伝えていかなければと、強く心に決めていた。

帰り道は、いつも自分が自分自身と会話をするために歩く新宿駅までの道を歩いた。新宿の大ガード前を歩いていたとき、横断歩道の白と黒の線ばかり見ていた私の瞳は光を見ていた。

ずっと歩んできたこの道が意味を変え始めた。
あんなに脱出不能だった心が解放された。

本気で好きだと思えるバンドに出会うと、あっという間に世界は輝く。

2022年1月5日。
nuriéの3rd Single 「Room-6-」がリリースされた。これまでのnuriéの楽曲からはまた一段と飛躍した、スピード感のあるトリッキーな曲展開に中毒性があって、聴くたびに新しい発見があり、何度も聴くことを止められない。そして、煌びやかなサウンドに、大角龍太朗にしか歌えないテンポと熱量で歌が進む。
その歌詞には、
「最低だ 瞳の色や言葉の違いだけで
 みんな息を潜めて、心の形を変えているんだ」
と、今の現実世界へのメッセージもしっかりと込める。

このシングルが発売された日、私は外を歩きながら「Room-6-」を聴いた。

「手を握っていて その先の景色を見せたくて」

その歌声を聴いた瞬間に、堪えていた気持ちが全て涙となって溢れた。

2021年12月8日。
11月14日にZepp Hanedaで開催されたアルルカン Presents 「束の世界-SONOSAKAI-」に出演して、注目度が増した彼らは、急遽12月8日、東京にある東高円寺二万電圧にて、ワンマンライブを開催することを決めた。
「この勢いを絶対に止めない」という熱意と共に挑む大事なワンマンライブだった。
しかし、東京に向かう途中で彼らは事故に巻き込まれ、ベースの小鳥遊やひろが永眠した。

この4人で歩む未来が楽しみだった。彼らはどんな景色を見せてくれるのだろうか? そのことを想像するだけで、胸が高鳴った。その手は決して離さないと思った。

「出会う前の時間が形変えようが
君と出会う前に戻る必要はないね」

そう、出会う前に戻ることはない。
あのとき、nuriéの音楽が、私の魂に火をつけた。その火は決して消えない。

今は彼らは4人で作った3rd Single 「Room-6-」を1人でも多くの人に聴いて欲しいという強い思いを持って、発信を続けている。このシングルには、タイトルナンバーの「Room-6-」に加え、私が初めてライブを観たときに披露された、ミッドテンポのラブソング「カンセツショウメイ」、nuriéというバンドを象徴するようなロックチューン「白を溢す。」の3曲が収録されている。

全ての曲に、大角龍太朗、廣瀬彩人、小鳥遊やひろ、染谷悠太の生き様が刻まれている。

最近、音楽の現場に行くと必ず言われる。
「大変でしたね、残念でしたね。」と。
その度に私は言っている。

「nuriéは終わっていないですから。これからですから。」

その先の景色を彼らは必ず見せてくれる。
nuriéの音楽で開いた私の第6感は、揺らぐことはなく、彼らが想像を超える光へと向かう未来を信じている。

【ラジオDJ武村貴世子の曲紹介】(“♪イントロ〜12秒〜22秒”に乗せて)
私が今1番あなたに聴いて欲しいバンドといえば、関西出身のヴィジュアル系ロックバンド、nurié。
1月5日に最新シングル「RooM-6-」をリリースしました。
聴くたびに新しい発見がある、何度でも聴きたくなるこのナンバー。
煌びやかなロックサウンドの中に秘める、この世界を確実に捉えた歌詞にもじっくり耳を傾けてみてください。
確実に、あなたの第6感を開くでしょう。

nurié「RooM-6-」








武村貴世子

武村貴世子

ラジオDJ、MC、ライター。
これまで、FM802、Fm yokohama、FM-FUJIなどで番組を担当。

ラジオ番組、司会、ライター、トーク&アナウンス講師はもちろん、
朗読と音楽のコラボレーションライブも展開中。

国連UNHCR協会 国連難民サポーターとして、
難民支援を始め、世界や社会への関心が深く、社会貢献活動にも積極的に取り組む。

また、タロット・リーディングの学びも深め、
フリーランスでその活動の幅を広げ続けている。

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