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「自分が心から好きだと思う道に迷いなく踏み出せる」【UVERworld「DECIDED」(2017年7月12日リリース)】

長期滞在者

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どういうわけか、夏は毎年必ず、とてつもない緊張感を抱える仕事が入る。

2017年の夏は、バスケットボール女子U24 4カ国対抗2017での競技MCがそれだった。
8月12日、13日、15日に開催されたこの試合で、私は12日と15日の2日間を担当した。
国際試合でのMCを務めるのは初めてのことで、前日となった11日夜のリハーサルからわくわくしていたが、
同時に、経験したことのない国際試合の空気に飲み込まれないように必死だった。

国際試合は会場に参加国の国旗が並ぶ。
今まで見てきた、世界バスケもオリンピックも、
会場に入った瞬間に目に入ってくる国旗の並びに、いつも胸が熱くなっていた。
そういう会場で、コートサイドの競技MCの席に座るチャンスを頂いた。こんなに光栄なことはない。

試合の間中、手に汗はかきっぱなしだったけど、
全て終了した時のやりきった感覚は爽快だった。

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「本当に心が一番選びたいもの選んでるか?ってことだろう」

とてつもなく緊張すると、UVERworldの出番である。
彼らの音楽を聴き、自分の気持ちをまっすぐに集中して、目の前の今と向き合う。

2017年8月2日に通算9枚目、約3年ぶりとなるアルバム『TYCOON』が発売された。
フラゲと呼ばれる発売日前日に、CDショップにアルバムを買いに行くことからわくわくした待望のニューアルバムだ。
手に入れたその日の夜は、アルバムを聴きながら、
言葉の一つ一つが、今の自分の心と密接なことばかりで泣けて仕方なかった。

最近買ったお気に入りの白いヘッドフォンから『TYCOON』を聴きながら、会場に向かって歩いた。
ちょうど入り口が見えた時に、「DECIDED」の「本当に心が一番選びたいもの選んでるか?ってことだろう」の歌詞が頭に飛び込んできて、まさに今日までの道のりがそうだったじゃないかと思った。

「きみは一流のバスケMCになるわけじゃない。音楽のDJとしてやっていくんだ。」

ラジオDJとして、本格的にスタートを切った20年前となる1997年。
指導してくれていたディレクターからこう言われた。
当時から、バスケットボールの試合でのMCをしていた私はその仕事について話した時、
とても苦い顔で反対されたことを覚えている。
それは、今はラジオのDJとして集中して音楽だけに取り組むべきだという意味合いだったのだが、
私はその言葉には従わなかった。

ラジオ以外でも、自分の声を活かせる場所があるという嬉しさと共に、競技MCの仕事は楽しかった。
コートサイドで選手の必死な背中を追い続けてきたことで、強さや勇気を学んだ。
ここで知った強さは、私が自分を生きる上でとてつもなく大きな力となっている。

そして、バスケの現場にいる仲間が好きだ。
スタッフと声を交わし合いながら、一つの試合と向き合う。
時にはコートや会場の椅子を一緒に片付けて、共に帰る。その1日が私はとても好きだった。

私は各地の体育館やアリーナにいるとわくわくしていた。
だから、バスケのMCを辞めるなんて思ったことは、1度もない。

今年の2月のこと。
ある小学校にキャリア教育の授業の講師として呼んで頂いた。
宇宙飛行士、獣医、ファッションデザイナー、起業家と様々な職業の人が生徒たちに仕事の話をして、
将来どんな仕事につきたいかを考えていく授業だった。
呼ばれた講師の人たちは、皆、一つの肩書で呼ばれていたが、
私だけ「ラジオDJ、国連UNHCR協会広報委員」と二つの肩書で紹介された。
そんな私がここで伝えられることは、
「好きなことは一つに決めなければいけない」という以外の生き方もあるということを、話すことなのではないだろうか? と考えた。

生徒たちにラジオDJの曲紹介のやり方を教えたり、シリア難民キャンプの写真を見せながら、
「これは好きだな」「これはわくわくするな」ということをいくつも持って生きている人もいるよという話をした。
何より私は彼らに、これからの未来に向かって、可能性を多く持っていて欲しかった。

バスケットボール女子U24 4カ国対抗2017の試合が全て終わった時にコートサイドで考えた。
もしもあの時、私が音楽だけを選んでいたら。
2017年の夏に、こんなに刺激的で自分が挑戦できる現場にいることは無かっただろう。

「本当に心が一番選びたいもの選んでるか?ってことだろう」

あの頃、私はわくわくしていた。
心から、ここにいたいと望んだ。

当時20代だった私は、今40代になって、状況がだいぶ変わってきていることを、ひしひしと実感している。
その最たるものは、時間の限りだ。

20年前はどこまでも続いていく未来に思いを馳せていた。
20年後の今は、自分の命の残り時間を強く意識している。

1秒でも長く自分が好きな自分を生きていきたい。
それを決める時に私はわくわくしているかどうか、自分に問いかける。

この人と話している自分。この曲を聴いている自分。この景色を見ている自分。

今、私はわくわくしている?

「愛するって決めたから 愛して
 そう信じるって決めたから もう信じていくだけ」

心が輝き出せば、あとはもう進むだけ。
その生き方を、私は変えることはない。

【ラジオDJ武村貴世子の曲紹介】(“♪イントロ☓15秒〜25秒”に乗せて)

この夏、約3年ぶりのニューアルバムをリリースしたUVERworld。
聴いているだけで胸がわくわくするこの作品から、
自分が心から好きだと思う道に迷いなく踏み出せるナンバー。

UVERworld「DECIDED」

武村貴世子

武村貴世子

ラジオDJ、MC、ライター。
これまで、FM802、Fm yokohama、FM-FUJIなどで番組を担当。

ラジオ番組、司会、ライター、トーク&アナウンス講師はもちろん、
朗読と音楽のコラボレーションライブも展開中。

国連UNHCR協会 国連難民サポーターとして、
難民支援を始め、世界や社会への関心が深く、社会貢献活動にも積極的に取り組む。

また、タロット・リーディングの学びも深め、
フリーランスでその活動の幅を広げ続けている。

Reviewed by
宮本 英実

先日、2年間暮らしたニューヨークから日本に戻ってきた。多くの人が私に言う、「東京に住むの?」、「また音楽の仕事するの?」。いくつかの場所を拠点とし、ジャンルにとらわれず仕事を選び、ずっと心躍らせながら生きていたい。楽しみは、1つじゃなくていい。いろんな生き方があって、それでいいし、それがいい。何を選んでもいいことばかりじゃない。ならばせめて、自分の気持ちに嘘がないように。今、ワクワクしてますか?

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