長期滞在者
先日、仕事の休みの日に、ひっそりとした韓国料理店に足を運んだ。山間の人気が少なく、そこに店があることさえわからないような場所。以前より、連れの母がどうしても連れて行きたいと言っていたお店だった。冷麺と美味しいチジミをいただいた。 そこで、韓国からきたというお店のママさんと出会った。わたしは、基本初対面の人とはそれほど多くのことは語らない。だけれど、ものを言わなくても、なんとなく理解してくれる人とい…
長期滞在者
皆様はじめまして。クボと申します。友人に誘われ、このウェブマガジンに参加させてもらうことになって、私はすこし困っていました。様々な活動をされている方が日常的な思いや思考を綴る場所という説明を受け、さて、自分はここで何を書けるのだろうか、と。 この十年来、私は文化/社会人類学という学問をやっています。日々感じること、思うことの大半は研究とつながっていきます。例えばTVをつけバラエティ番組をだらだら…
長期滞在者
すこし前、ブルーム・ギャラリー(大阪)で林直さんの写真展を見た。 いろいろ重層的な意味合いで素晴らしい展示だったんだけれども、とりあえず今はあえて画質のことだけに限って書く。 まさに銀塩感材の精華ここに極まる素晴らしいモノクロプリントだった。今さらながらフィルムと印画紙というものの底知れなさを知る。 写真・映像というのは他のアート分野に比べて道具や材料への依存度が高いので、道具の事情で大きく趨勢が…
長期滞在者
高校野球 夏の甲子園大会は今年が100回目だとか。 近年の戦いですと、4~5年前の千葉県は習志野高校の戦いぶり。超一流のエースもパワーヒッターもいない小さな市立高校が緻密なチームプレイで次々と強豪校を破っていったのが印象に残っています。とりわけ初戦の対静岡高校のときに見せた、満塁からのトリプルスチール。つまり三塁ランナーが、ホームベースめがけ飛び込んできて1点をもぎ取ったあのプレーは格別です。 ト…
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「6本の腕について」 自分は鉱物標本を集めるのが好きですが、どうしても自分の手元に置いておくことができない鉱物結晶があります。 それは雪です。 結晶は、気体や液体になっていた物質が温度変化等により固体となるときに作られます。それぞれの物質により融点が違うので、純粋な物質として固体となりやすく、その分子構造が反映された独特の形状に固体化するのです。水晶の結晶などを思い出してみると、まるで地面から生え…
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やっと7月が終わってくれた。 夏休みが短く感じていた子供の頃には絶対に吐けなかった言葉だ。 お仕事をこなさなければならないような、 ある社会的役割を得てしまったからこそ、 こういう疲れたおっさん的言葉が出てくるわけだが、 だからと言って自分がすごく大人になったのかというと まあ、そんな気はしない。 昨日も、ちょっと気分の悪いことがあってむしゃくしゃしてたので、 それを理由に新しいスマホを買って、一…
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近々、引越しを考えている。関西での暮らしにはだいぶ慣れたし、この生活も好きではある。だけど、これからの自分たちの生活をより深く考えたとき、そろそろ次のステップを踏まないと、という気持ちが生まれてきた。自分の生活は、自分自身のもの。自分の人生も、自分自身のもの。だから、ひとに左右されてはいけない。 ほんとうは、すぐに海外に飛んで行きたい気持ちがあるけれど、今の経済状況ではなかなか難しいのが現実で…
長期滞在者
描けなくなると何だか食べるものを念入りに作りたくなる。食べて速やかに解決したりはしない。しかし、丁寧に作ったものを美味しく食べると、くしゃくしゃになった気分の灰汁が取れるような気がする。 凝ったモノではなく、冬だったら金柑を煮たり、春はイチゴ、今回はやらなきゃいけないことが纏まらなくて、Twitterで「アイスクリームに梅ジャムはキケンです」とつぶやいていたひとの言葉に乗っかって梅ソースに挑戦した…
長期滞在者
今週末(7月12日)まで、関西で主に活動する林 直さんの個展「みつめる写真舘」を開催しています。 もうすぐ終わってしまいますが、もっとこの写真に囲まれて過ごしたいと感じる素晴らしい展覧会でした。 この作品は、林さんがいろいろな方の愛着のある品物を見せていただき、持ち主との歴史を偲びながら丁寧に撮影を進めてきたモノのポートレートと呼びたくなるシリーズです。 被写体に宿る持ち主の想いと、伝統的な写真技…
長期滞在者
対象を知ることは、対象の構成要素を知ることなのだろうか? なにかをじっと見つめるとき、その対象と自分との距離感について考えるようになりました。 物事を見つめると、その構成要素、それらが成り立つ仕組みや理論が見えてきます。それはとても興味深く、自分の持っていたはずの前提条件さえ覆されてしまうことがあります。物事を知るためには欠かせない行動です。しかし、対象に近づきすぎると、自分が「何を見ているか」見…
長期滞在者
いとうせいこうの『想像ラジオ』を読んだ。 4年前、震災の一ヶ月後に被災地を訪れた時のことを生々しく思い返しながら。 今から思えば、津波の映像を見続けたせいで自分もいくらかショック状態のまま、なぜそこに行かなければならないのか、そこで自分に何ができるのかも不確かなまま、ただあの映像で見せつけられた途方もない惨事が本当にあったことなのかどうか自分の目で確かめなければ気が済まない、というか、何か途方もな…