長期滞在者
引っ越しをした、という話の続き。 大量の本の移動の際に、昔読んでいた本に再会しました。これまでも転居を繰り返して来たけれど、その度に古いアルバムに見入ってしまったり、昔夢中になってた何かに再会して、荷物の整理作業がその度中断します。皆さんもそういう経験ありますよね。 20年以上前に良く読んでいた二冊の本が出てきました。宮脇俊三の「最長片道切符の旅」野田知祐の「日本の川を旅する」。懐かしくなって、最…
長期滞在者
みなさんこにゃにゃちは。前回ちょっと長くなりすぎたので今回は反省を込めてちゃんと短くスッキリまとめて書こうかと思ったりしています。なので、本来ここで書こうと思っていた、イワン・イリイチとミッシェル・フーコーと高山宏の言語観と貨幣観をつなげて並べて現代にその問題点がどのように引き継がれていて、どんなふうに顕在化しているのか、またその問題は芸術の分野にも明らかに反映されているのですよ、というようなこと…
長期滞在者
≪眠れない夜、地上をやさしく照らしている月を思う。月が照らしている家の一軒にベットが2台並んでいる。2人の子。1人はすやすや寝ているが、傍らの1人は今にも泣きだしそうだ。何かにおびえ、じっと天井の一点を見つめている。彼女は何を見ているのだろう。≫ 私は小学生になっても、自分で部屋の灯りを消してから眠る、ということができなかった。私が布団に入ってから小一時間が経ち、もう寝ただろう頃を見計らい、母が…
長期滞在者
… ないてもないても まだいたむ ふいてもふいても ちがにじむ ひとりできった くすりゆび こばやしのぞみ 8さい (当時の日記より) … 子供の頃の私はひどく臆病だった。 「のぞみちゃんはおもしろいね」って言われるとほっとしていた。 いつも あとひとことを あとひとときを 急いでくしゃくしゃに固く固く丸めて そのちいさな塊を飲み込んでは 乱雑に見えない場所へと追いやって うずたかく積み上げてい…
長期滞在者
マイマイカブリという虫が好きだ。 少し正確ではない、言い直す。 マイマイカブリという虫が好きだったことを思い出した。 実物のマイマイカブリなんて、もう30年以上見ていない。 長い優美な形状の甲虫である。ロッテンマイヤー女史が着ていた濃紺の長い衣服を連想させる。 「舞舞被」という字を頭に浮かべれば典雅な舞楽のようであるが、実際は舞舞(マイマイ)とはカタツムリのことである。カタツムリの殻をカブっている…
長期滞在者
パリに来て最初の一ヵ月半は毎日語学学校に通った。 分かろうが分かるまいが毎朝3時間。 フランス語に対する免疫力を養うのにはうってつけだった。 日本人ばかりのクラスから始まって、終わる頃には外国人に囲まれて授業を受けていた。 それぞれにとても大切な出会いがあった。 それから音楽院が始まり、パリで暮らす人々との出会いも少しづつ増えて、気がつけば三ヶ月が経過している。 フランス語についてもフランス人につ…
長期滞在者
長らくこのアパートメントの自室に引き籠ってしまった。 そうこうしてるうちに冷たい冬が窓の外を叩き始めて余計に部屋から出づらくなった。 それでもわたしはどうにかキーボードを叩いて新しい景色に出逢いたいと思う。 さて、今回はわたしが今年の夏に出逢った演劇作品についてお話しする。 こどもを対象とした演劇祭“TACT/FEST”で上演された飴屋法水演出の「教室」という作品について。 この作品は、演出家の飴…
長期滞在者
10年近く暮らした新宿から、仕事場から5キロ程離れた杉並に引っ越す事にしました。 この記事が出る頃には、荷物の移動だけは終わっていると思うけれど、しばらくの間は大量の荷物に埋もれるような感じで暮らすのかもしれません。だいたい、滅多な事では新宿・四谷の町を出ないぼくにとって、杉並に引っ越すのは結構な大事件で、気分的には「移住」と呼びたいくらいなのです。 とにかく、本の量が半端ないため、この機会にかな…
長期滞在者
先日、引っ越しの手伝いをすることになった。晴れたり雨が降ったりと、定まらないお天気で、空はどんよりと暗いところもあれば、光が射して眩しいところもあった。平べったいアーチの虹がふたつ浮かんでいて、はっきりと虹の出ているところがみえた。子どものころ、虹のふもとには宝物が眠っていると聞いたことがある。だけど、虹は自分がいる場所によって見えたり見えなかったりするし、動いたら出ている場所だって変わるじゃな…
長期滞在者
================================================== 「(「ヤツシ」とは)常態を超えた、もしくは、身分的秩序を逸脱 した状態を示す言葉、あるいは、当人にとっては、異常なもしくは 非日常的な時空に存在する状態を表す言葉である。」 「身分を下降させて、本来の生活状況とは違う生活状況に生きる人 物をヤツシという。けれども、ヤツシにとって大切な点は、単に下 …
長期滞在者
ゆうやけビルジングに映る私のまわりには 柔らかい泡ぶくが生まれては溶けていく 足元から大地の熱気を包んで皮膚をなぞり 指のまたを這い上がって 頬をつたいのぼって 頭をかき回してしがみつく らせんはきらい そう囁いて鼓膜をびるびる震わさして ひとしきり三半規管を縦横無尽に跳ね回って暴れると 小さいうめき声をあげて舞い上がる そうすると瞬く間に泡ぶくは飛行魚に喰われて溶けてしまうのだ それは誰かが誰か…
長期滞在者
私のアパルトマンはモンマルトルの麓にある。 Abbesses(アベス)とPigalle(ピガール)というメトロ12番線のふたつの駅のちょうど中間で、Abbessesは日本でも大ヒットしたジャン=ピエール・ジュネ監督の「アメリ」で彼女がはじめて運命の恋人、ニノ・カンカンポワに出逢う駅だ。 尤もAbbessesを利用することは少ない。 なぜかというと、モンマルトルは丘なので駅自体が既に高台にあり、地上…