Native Language
長期滞在者
去年の10月半ばくらいに多くの数のテーブルウェアの注文を受けたのだけど、 やっと先週末に最後のアイテムの成形が終わってホッとしているところです。 西洋ではテーブルウェアのメインはもちろん丸い皿なので今回もたくさん作った。 中型と大型のを合わせると皿だけで80枚の注文があったのだけど、 やきものの皿というのは製作過程で歪んだり割れたりすることが多く、 だいたい注文の倍くらい作らないと、焼成後に数が足…
長期滞在者
「サラリーマンなんて割りに合わないよなあ」 電車のドアが開いてすぐ、そんな声が聞こえてきた。目の前にいる若い男の子が、連れに愚痴をこぼしながら電車を降りた。男の子は新卒くらいの年頃で、スーツとピカピカした靴を身につけていた。仕事でなにか嫌なことがあったのかもしれない。 仕事は嫌なことが多いし、割りに合わないよね…って、頭の中からそんな声が聞こえてくると思った。だって、これまでのわたしだったら、絶対…
長期滞在者
ブラック企業や自殺未遂、生活保護。こうした話は、多くの人の関心を引く。でも、それをきちんと伝えることも、きちんと受け取ることも、とても難しいと感じる。その要因の一つは、語る方も聞く方も、少なからず興奮してしまうことだ。 語り手が興奮すれば感情は鮮烈に伝わるかもしれないけれど、できごとが歪んでしまうことがある。一方、聞き手はどうしても強烈なエピソードにゴシップ的な興味を抱きがちだ。無意識のうちに私た…
長期滞在者
見慣れた光景が普段と違う表情になるのを見るのが好きだ。たとえば年末年始の東京の都心部はきわめて無表情になり、わたしはその数日間だけ、無条件に東京のことが大好きだと言えるようになる。 12月も29日くらいになると、街や電車には目立って人が少なくなり、いつもはたくさんの人の波にもまれて辟易する通勤なんかも、すいすいと楽にこなせるようになる。日々の東京を染める殺伐とした空気がふっとゆるみ、妙に手持ちぶさ…
長期滞在者
瀬戸内海にあるうさぎの島に、また行ってきた。 別にうさぎを飼ったことがあるわけでもないし、数ある動物の中でとくにうさぎが好きというわけでもない。なのにもう三回目の上陸である。 何年か前に行ったときは島内にうさぎ300匹とか言ってたのに、今年のインフォメーションでは700匹だという。たしかに以前はあまり出会わなかった山の上の方でもひょこひょこ餌をねだりに出てくるから、増えてるのは確かなようだ。増減の…
長期滞在者
「判断基準が外にある不安をどうにかしたいよね。もっと素直に生きて。」 そう言った彼のことを、知り合ってからの長い間、わたしは“判断基準”にしていた。 彼の好きなものを、わたしも好きになりたかった。 今なら分かるけれど、それは、彼に好かれたいとか、同じものを共有したいという動機とは、多分違った。 知り合った頃に彼が教えてくれた生き方や、表現は、自分にとっても必要なものではないかと感じたからだ。 その…
長期滞在者
展示スペースの中に入る手前に、もうひとつの小さな展示空間として「リコメンドウォール」というスペースを設けています。小伝馬町の移転後に新たに設けたスペースで、小さな棚と4.8mの壁を使って、毎月一人の作家さんを特集するというコンセプトです。 このスペースの良い点は、コンパクトなスペースゆえに、低予算でありながら、良質な作品を長期間にわたり展示することで、確実に作品のこと、作家さんのことをお伝えするこ…
長期滞在者
「音楽がわからなくなってしまうよ。」 極限まで落ちた。 身体が動かない。起き上がれない。朝も昼も夜も眠りの中にいるような状態。 「本当に自分を見失ってしまったら、音楽がわからなくなってしまうよ。」 それはいつも、最後の最後で、私を救う言葉だ。 飛び出した。ここにいたら自分が全てダメになってしまう。 そうだ、前から気になっていたバンドのライブを観に行こう。 その会場は、自分が通っていた大学の近くだっ…
Mais ou Menos
————– まちゃんへ 明けました。今年はどんな年にしたい? ぴは、英語と制作をがんばる年にしたい。 あとは、去年に引き続き、ヴィーガンの食生活をできるときはしたい。 したいことばかり書きましたが、やりたくないことはやらない、いらないものは買わない、など、減らせる部分は減らして、シンプルな生活を心がけていきたい。 年末年始は、昨年に引き続…
画家と7人の肖像
自分が好きで仕方ないものを、必ずしも人類全員が好きなわけではない。 自分が素晴らしいと信じているものが、必ずしも評価されるわけではない。 そんな当たり前のことに、未だハッとさせられる。 Photo by Kazuki Hiro 嫌いなものが同じ者同士の方が仲良くやっていけるなんて説もあるが、許せないものを共有する一時の結束より、好きな世界観を共有する付き合いが多くなった。今のところ体現しているのは…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
たった一度だけ会った人と、フェイスブックでつながれる時代。 だけどほんの2時間ともにした人のことを琥珀みたいに止まった時間のまま覚えている。覚えているだけでたぶん、もう連絡を取ることはないような気がしている。あまりに素敵な時間を過ごしたので、再び偶然が重ならないならこのままにしておきたい。そんな風に思うのも、「古風だね」と言われるようにそのうちなってしまうのだろうか。 その人と出会ったのはスウェー…