長期滞在者
Octobre. 秋の月が好きだ.昔から太陽よりも月の存在に惹かれる性分なのだけれど、秋の月は、特別. 夏の生温い空気に倦んだ星空とは違う.秋の夜空には、凛としていて、頭のてっぺんから足の先まで、澄んだ空気が通り抜けていくような清潔感がある.フルートグラスにつがれた冷たくて美しいシャンパンのようだ. 秋の月は、頼もしい.寂しげだけれども、媚びたりしない.真っ白な強い光を放つ、孤高のかっこよさがある…
長期滞在者
「家族はどうしてるの?」 恩師に何気なく聞かれ、思わず言葉に詰まった。元気そうだよって答えたけれど、心中なんと答えるべきなのかわからない。そもそも、家族とは2万キロもの距離を隔てているし、彼らと連絡をとることはほとんどない。元気そうにしているのは、Facebookごしに見ているけれど、ネット上で見ることのできるのは、多分人生の良い面だけで、彼らがどんな生活をしているのか、実際のところわたしには何も…
ギャラリー・カラバコ
ここはとあるアパートの一角にある、小さなギャラリー「カラバコ」。 白い壁に空っぽの額縁が無造作にならび、その下には題字だけが添えられています。 タイトルだけを頼りに、二人の作家が別々に文と絵を寄せ、2つが合わさった時に初めて作品が完成するのです。 01 桟橋 02 物差し 03 帯 04 時化 第5回は、「吃り」 「どもりはあともどりではない、前進だ」という音楽家の言葉を教えてくれた先生がおりまし…
長期滞在者
もう二十何年も前の話だが、劇団に所属して舞台活動をしていた頃、指の先端から各関節、体の重心の移動・受け渡しというものを全部意識の上に引っ張りあげながら、全身にテンションをかけてとにかくゆっくり動いてみる、というエチュードを、劇団のトレーナーに指示されて身体訓練の一環として行っていた。 いつもは無意識の領域に委ねている身体各部の動きを、全部意識の表層に引きあげてから動くことで、まずは自分の体との対話…
長期滞在者
随分と笑った。 2016年8月28日。 エイズ孤児支援NGO PLAS10周年記念Thanks Partyで司会を担当した。 この時に初めてお会いした、土屋アンナさんとのトークセッションがたまらなく楽しかった。 言葉を交わし合うことで、こんなに気持ちがわくわくする方には滅多に会えない。 何時間でも話していたいと思える素敵な方だった。 言葉が途切れずにいられる人に出会えることは、そんなに多くはない。…
長期滞在者
このビルを少し離れたところから見ると、とても味わい深いかたちをしていることに気がつきます。 ぼくが、ここに来たばかりの頃は、レンガのタイルが貼られていましたが、現在では白のモルタルが吹き付けられています。どちらの時代もよく似合っていました。 特徴的なエントランスの屋根を支える黒御影石で化粧した柱があり、上に向かって細く削られるようなかたちをして、左右非対称に広がる屋根に結ばれています。屋根の庇は両…
Mais ou Menos
まちゃんへ 金曜日は2人で初めて夜通し遊ぶということをしましたね。 自分もああいうイベントは初めてて、最初は緊張もしたけど、なじみのお店のパーティー的なイベントだったので、すごく楽しめた。 今、これファミコンの音楽聞きながら書いてる。 ほんまにファミコン好きでよかった!! あと、音楽聞きながら踊るの気持ちいい。知ってる曲がかかったらテンション上がる。まちゃんが朝までずっと踊っててすごいなと尊敬した…
the power sink
こんばんは!今回も絵を載せます。見て頂けると嬉しいです。 ではよろしくお願いします! 僕はどこかに詰まった 三角の帽子を被って三角の木のところをずっと歩いているので、気分が良くない この人達は心底焼き魚を食べたいと思っているのに、一体何でなのか誰も魚を全然見ていないんだ 海の中で光る米粒を見ている バイパスの上にいる人。いいトレ…
長期滞在者
物事には「期限」というのがある。その線を超えてしまうと、取り返しのつかないことも起こる。 食べものであれば、賞味期限を過ぎて口にすると、お腹を壊してしまうかもしれない。付き合いの長いカップルであれば、「いつまでに結婚してくれるの?」と思ってはいるが口にしない彼女がいたときに、それを彼氏がむやみやたらに先延ばしにしてしまうことで、破局につながったなんて話もよく耳にする。 俗に言うクリエイティブであれ…
長期滞在者
暑い。とっても蒸し暑い。これを書いているのは8月末の週末なのだけど、先週末くらいから、まだ夏なのだということをベルギーの空がふと思い出したように暑くなっている。 いくら日照時間の少ない、四季の区別のない、天候が不順だから7月8月になっても上着をしまいこむ事が出来ない、そういう国に住んでいるからといっても、やはり暑すぎるものは暑すぎるので、贅沢な話だとは思いながら愚痴も言いたくなる。 エアコンが一部…
はてなを浮かべる
「では、お願いします。」 僕は腕の中に抱えていたはてなを差し出した。 白衣を着た人がそれを両手で受け取って、薄汚れた秤にそっと乗せる。 「うーん、残念。もう少しといったところですね。」 「はぁ。そうですか。」 「見た目は大きいのになあ。」 また来てください、の一言を添えて、手馴れた様子で僕のはてなは返される。 「次の方。」 すぐさま別の人が入ってくる。 同じようにして、抱えていたはてなを差し出す。…
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