長期滞在者
もうりひとみさん アパートメント当番ノート第13期/絵描き・絵本作家
長期滞在者
都心のあるホテルのラウンジの一角とか、大きなタワービルのエントランスに、写真集を含むアートブックがこれでもかと詰め込まれた棚が、空間装飾の一環として使われている場面を時々見かけます。あるホテルのそれは、本の選定から棚に収まる位置に至るまでデザイナーさんが、全部決めているのだそうです。ちょうど新人の従業員研修の場面に出くわして、先輩社員がそういう風に説明をしていました。主に、海外のファッションカメラ…
Mais ou Menos
________________________ DEAR : Pちゃん こんにちは。今日はすごく静かな日です。親知らずの抜歯入院をしてから、結構バタバタしていて、家の中が少しごちゃごちゃしていたから、今日はずっと朝から掃除をしたり、やりそびれていた細々としたことをやっていました。Pに頼まれていた荷物の準備も終わり、この手紙を書いたら、郵便局に行きます。 12月って、ほんとうに時間が過ぎるのがはや…
the power sink
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 今月も絵を載せます。ではよろしくお願いします! 根菜を運ぼう シワシワの中で胸を張る人 四つ葉のクローバー 太陽と花 形の良いブーメランのような物を舐める猿に似た人 頭から何かが発散されたんだ 雑巾を絞る人 ほとんど何もし…
にゃんともはや!のねこばなし
ロゼッタは、水の中の階段をおりていきました。ガラスがわれないように気をつけて、そろり、そろりとおりていくと、ドアに行きつきました。そこは、ネコの家の入り口でした。 (中略) 入ったところは、ろうかになっていて、そこでは、ほかの子ネコたちが、ほうきで床をはいたり、かべのクモの巣をはらったりしていました。 イタリアの昔話『ネコの家に行った女の子』より イタリアの昔話です。 (あらすじ) むかし、ロゼッ…
Slow times
あたらしい 家が とおくに 見える。 みちは うねりながら つづいてる。 ゆっくりと、たまに立ち止まり、けしきを たのしむこと。 そとのくうきは つめたくて きれいだ。 たくさん すいこもう。 ーーーーーーーーーーーーーー
にゃんともはや!のねこばなし
ある時、和尚さんが檀家の法事に行って、晩に暗うなってから帰ってきたら、いつも静かなお寺の中から、にぎやかな声がする。どうもふしぎなことじゃと、そっとのぞいてみたら、三毛猫が、えらい大けな猫になって、踊っておったそうな。それが、あきれたことに和尚さんの衣を着て、けさまでかけているがな。そいつを、またぎょうさんの猫が見物しょうるそうな。 ――日本の昔話『猫檀家』より 日本――広島の昔話です。 (あ…
長期滞在者
年末から体調を崩して静養していて、 ふと気がついたら新年でしたw 新年あけましておめでとうございます。 そして、なんと年男であることにもふと気がついてガビーンとなった。 よくぞここまで生き延びたものである、とか、 よくぞここまで何者にも成らずに来られたものである、とか、 よくぞここまで人の迷惑顧みず勝手気ままにやってこれたものである、とか、 そういう感慨はひとまず来月やってくる誕生日にまで保留して…
はてなを浮かべる
寄りかかっていることが当然になってきてる? 頑張りたいけど頑張れない? 頑張れるけど頑張らない? 正気の僕では行ける範囲が限られている? 自負があるから改まらないのかな? 自分以外の才能が怖い? 無意識を軽んじすぎ?…
にゃんともはや!のねこばなし
ねこが、しごとからかえってみると、おんどりが見えません。 ねこはたいそうかなしみましたが、すぐにおんどりを助けにでかけました。 まず、上着と赤い長ぐつと帽子と、ふくろとグースリを買いました。 そして、グースリひきにばけると、きつねの家の窓でうたいだしました。 ――ロシアの昔話『ねことおんどり』より 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたしニャす。今回はロシアから、『ねことおんどり…
日本のヤバい女の子
【1月のヤバい女の子/王子様とヤバい女の子】 ●猿婿入り いつか王子様が攫われた私を助けに来てくれる。ちょうどこんな顔をした王子様が。 ――――― 《猿婿入り》 老人は途方に暮れていた。畑へ牛蒡堀りに来たが、朝からひとつも掘れていなかった。痛む腰をさすり、広大な土地を前に困り果てていた。そこへ一匹の猿が現れ、自分が掘ってやろうかと名乗り出た。 「そのかわり、お前の娘を嫁に欲しい」 猿は労働の対価を…
長期滞在者
29年の人生の中で、最寄り駅への愛着って、実はいままで感じたことがなかった。だけど、この2年近く毎日のように通う最寄り駅は、わたしにとって初めての愛着ある最寄りの駅だ。 もちろん、東京で生活していたときも、群馬で生活していたときも、それぞれに最寄り駅はあった。だけど、いまの頻度とは、比べ物にならないほど利用回数は少なかったし、自分の行動範囲内にあるという感じは、正直あまりなかった。 いまの最寄りは…